2018年06月16日

ホテルライカム(昭和の建築文化)見学会 報告速報!

 本日(6月16日)、北中城村にある築後50年をこえるホテルライカムで「昭和の建築文化」をテーマに見学会を開催しました。(主催:公益社団法人 沖縄県建築士会中部支部)

 ちょうど、台風6号が最接近した午前10時にスタート。雨台風の脅威にもめげず、約30名の老若男女の方々が県内からお集まりいただきました。
 
 趣旨に賛同いただき、貴重な営業時間を割いてご協力いただきましたホテルライカムのオーナーやご親戚の方々をはじめ、主催者の建築士会中部支部、歓迎のご挨拶をいただきました北中城村、ご参加いただきました皆様に感謝申し上げます。

 以下に簡単ですが、速報としてその様子をご紹介します。

最初の説明.JPG


 【台風6号がもたらす雨が降りしきるので、ロビーにて趣旨や特徴をまず説明。ロビーで見学できる人造石研ぎ出しやひさし裏のモザイクタイル貼りなど手作り感を彷彿させる建築技術や木造建築のモジュール(一間を6尺3寸とした平面計画)などを作成した復元図をもとに説明しました。】

外観の説明.JPG


【雨が小降りになったのでこれをチャンスに外で外観デザインについて説明。当初建築の2階建ての部分は、部屋の内部に柱を見せないように設計しているので、外部に柱や梁が見えるデザインになったこと、さらに出窓やひさしを設けたため外部がその分、凸凹になったこと、3階は逆に壁芯を柱の外側に移動したので柱型は消えたこと、しかし、出窓やひさしは残したデザインになっていることなどを話しました。】

室内1.jpg


【この後、客室内に移動。オーナーの計らいで2階のシングル2室と3階のツイン1室を開放していただきました。ここは3階のツインの部屋。柱型が出ていますが、部屋の面積は2階より広く、またこの部屋は階段室分を利用した唯一のツインで一番人気。アイドルや俳優が撮影に使う部屋のひとつです。外国人が書いたと思われる壁への落書きも、ここではベトナム戦争などを経た沖縄独自の歴史を感じさせる足跡として違和感がありません。】

浴室.jpg


【各室の浴室。36(さぶろく)タイル(1枚のタイルの寸法が3寸6分(約109ミリ角)の団子貼り。モジュールの行く着く先は細部のタイル寸法でした。また、コーナーや上部の仕上げとの見切りには役物(曲線を持つ竹割りタイルなど)が使われており、浴槽も背もたれ付きの大型で洋風になっています。】

IMG_0722.jpg


【もうひとつの人気スポット・屋上。大型の鉄製看板や沖縄特有の突き出た柱型などと、周りの風景、自然との関係が絶妙の雰囲気を醸し出しています。あいにくの雨でしたが、熱心な見学者は雨にも負けず、風にも負けず・・・。】

○ある当時の生き字引.jpg


【客室内の黒電話やラジオ、受付にある電話交換機、ホテル裏にある業務用洗濯機、乾燥機、アイロン台など建築以外の機器も「昭和」を感じさせました。いったん説明を終えたのち、アンケートを書いていただきました。その間、この日のために来ていただいたオーナーのご親戚の方が、建設当時のエピソードを語ってくれました。設計者や施工者のことや当時の社会背景など、これまで知らなかったことを聞いて、さらに奥が深くなりました。見学会のあと、おかげで楽しく解散まで時間を過ごすことができました。】

 雨の中でふつつかな説明を耳を澄まして熱心に聞いていただき感謝いたします。アンケートの回答の中に新聞掲載のタイトルになった「無重力の文化」について、安易に「チャンプルー」に収れんされない奥深さに共感の意を示された方もいらっしゃいました。

 建築士ではない方々は「手作り感、人間味を感じた」、「レトロだけではなく、オーナー以下スタッフの思いやりがありがたかった」などの感想がありました。また、構造劣化への対処、石綿除去などへの課題もありました。

 アンケートから見えてきたことは、今のホテルは人間味が少なく、機械的なサービスであるということでもあります。ただ共通して言えるのは、時代を感じさせる建築物を簡単に解体せずのこしてほしいということでした。何を残すかというと、建築物を通した「沖縄の歴史・文化」ではないかと思います。

 「無重力の文化」を感じさせる貴重な建物「ホテル ライカム」。これからどのようにしてのこすか、今、できることは「国の登録有形文化財」として登録することが先決と考え、職能とかつて住んでいた肥薩線・旧国鉄矢岳駅駅長官舎を登録文化財にした経験を生かして、無償の報酬で取り組みます。

 本日は、ありがとうございました。 
posted by 塾長 at 21:00| 建築