2021年02月02日

「ゲストティーチャー」

今日は子ども10人のうち二人(中3、中1)が通う北中城中学校の国語の授業に「ゲストティーチャー」の講師として出かけました。
(お陰様で今年の4月から第9子の「わかみこ」が北中城幼稚園に2年間通うことになりました。11月から10年ぶり妻が仕事に復帰するからです。従いまして、幼稚園1、小学校2(うち1人は特別支援学校)、中学校2、高校2(長男の朴然(ぼくねん)は三女と同じ球陽高校理数科に推薦入学(内定済み)、大学1(千葉大)、社会人1、在宅保育1となります。伝統構法大工見習いの次女は今月から自動車学校へ短期通学の予定)

対象は中学2年生でコロナの影響があってクラス別(36人)で行われ、2年3組(2時限目)と2年1組(6時限目)でした。

国語の教科書に登場する故・西岡常一棟梁とサグラダファミリア教会の彫刻家の一人、外尾悦郎氏の「達人のことば」の一環として呼ばれました。どうも3年前、北中城小学校(小3〜小6対象の一斉授業)で「宙に浮く心柱」と「厚さ6ミクロンのカンナ削り」の体験授業を覚えていた当時の児童が推薦したようです。

私は達人ではありませんが、呼ばれた以上はそれなりの授業をしたいと思い、現在、積算の業務を抱えて忙しくしていますが、「日本再生の原動力「伝統文化」」と題して話しました。

金物だらけの木造.jpg


【ゲストティーチャーでの授業風景。沖縄も木造は増えたが、ほとんどは木の癖を無視して機械製材された木材を使い、釘や金物で強制的に打ち付けられている現状を説明中。「現在のほとんどの住宅建築には、木の性格を活かして適材適所に使う、としてきた日本独自の文化(技術と心遣い)が残されているとはとても言えない・・・」】

講演の様子 (2).jpg


【日本建築の伝統文化のひとつは循環文化。その象徴として伊勢神宮の式年遷宮を説明中。土から生まれ土に戻る自然素材を(木・土・草など)ゆるやかに循環させる思想と技術、森さえも更新しようとする壮大な考え方も紹介した。】

現代社会は理不尽事件やハレンチな事件で多くの犯罪被害者が出ています。その原因の一端が自然を排除した気密な住まいにもあると考え、日本の伝統的な住まいの具体例をあげて話しました。

国語の授業と聞いたので徒然草(吉田兼好)や方丈記(鴨長明)の一節、三島由紀夫氏の論文の一部も取り入れました。また縄文の家づくりから沖縄の住まいの歴史も簡単に振り返り、自然とともにあった昔は争いごとがなかった話もパワーポイントを使って振り返りました。

そこでは自然の豊かな日本では質素で慎ましく暮らすことを美徳としたことや、法隆寺など柔構造が最新技術として東京スカイツリーや明石海峡大橋に使われていることを説明しました。
強調したのは、戦後の日本で主流になった快適・便利の一方で人心の荒廃が起きていることです。人間中心の身勝手な振る舞いが高じて事件に至る経緯や経済性や合理性を優先し機械力で木の性格を押し殺す無文化の家づくりの具体例を示しました。

根っこには西洋の自然対決の考えがあります。自然との親和性に優れた日本では自然を敵対視せず、自然を取り込みながらかかる自然力を「逃がす、よける、避ける」技術が進化しました。これが「伝統文化」として今に残っています。

建築の世界から社会をみるとても丁度50年前になくなった三島由紀夫の「日本はなくなっていて、その代わりに、無機質な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目のない、或る経済的大国が極東の一部に残るのであろう。」という論文の一節がそのまま当てはまることも話しました。

質疑応答 (1).jpg


質疑応答 (2).jpg


【授業の半分は質疑応答。現実は講演の方が長くなってしまったが、残る時間を活かして答えた。事前に質問事項を聞いていたので、全部書面で返してはおいたが、それでも鋭い質問や意外な質問があった。
例えば、「やりがいは何か?」「失敗した例」「予算」「仕事上大切なこと」「美学とは」などなど。】

見かけは日本人だが、中身がない、なんとか数千年の日本人のDNAでしのいではいるが、空虚な現在の日本社会はそのうち内部から崩壊してしまうのではないかと心配をしています。

現に講演中にひとりの中学生が退席しました。これまで数ある講演での途中退席は初めてです。国語の担任の担任や教頭、校長先生がいる前で、です。その場で「失礼ではないか!」と言いましたが、あとで先生方にきくと通常は授業にも参加しないときが多く、今回はいつもの3倍(の時間)は席に着いていた・・・と聞きました。

授業(講演)主旨が顕在化した感じです。これは個人的な話ではありません。今の日本社会を象徴しています。勝手気まま、わずかの時間もじっとできない・・・。自由すぎて自己中心がまかり通る社会にしたのは私たちの責任でもあります。
もういくところまでいって、多くの難題を解決できないところまでこないと人間、とくに日本人はわからないことを私は知っています。そろそろ日本の弱体化を目的とした現憲法の改正を本気で考える時期に来ていることを実感しました。

しかし、圧倒的多数の子どもたちは熱心に聞き入ってくれました。2回目の講演(授業)は6時限ということもあって話終えた後も持参した木組みの周りに寄ってきて触ったり外したりして興味深く日本の長い伝統の中から生まれた木造技術を間近で感じ取ったようです。

最後の挨拶で「(伝統構法に携わる)大工さんや設計者はすばらしい!」と言ってくれた代表の生徒とは禁止されている握手をしてしまいました。

握手.jpg


【クラスの代表あつさつのあと嬉しさのあまり握手してしまいました。】

今の世の中の価値観に流されず、日本の長い歴史に育まれた文化を大事にして健全な社会を築いて欲しいと願いました。

木組みの説明 (1).jpg


木組みの説明 (2).jpg


【圧倒的多数は熱心に学校の先生以外の講師の話に耳を傾けました。授業終了後も持参したマス組を手に取りとったり外したりして興味を示してくれました。この中のひとりでも現在の社会に疑問を感じ、日本人の遺伝子を後世に引き継ぎ、質素で慎ましくも安心して暮らせる社会に貢献してもらいたいと思いました。実はこの後、多くの生徒から握手を求められ、紙資料へのサインまでせがまれたので喜んで応じたことを付け加えます。】
posted by 塾長 at 02:02| 教育・子育て