2022年03月31日

渡部(わたなべ)鬼師の来訪と「鬼瓦談義」

一昨日夕方、愛媛県今治市から軽トラックに鬼瓦を積んで自宅に来訪されました。鬼師の「渡部一馬(わたなべかずま)さん(66歳)。
奥さんの富美代さん(63歳)もご一緒でした。

事前にあったこともなく、電話やメール、図面とかでやり取りしていました。初めての沖縄なので道案内が必要と思い、と到着予定の本部港に迎えに行きました。

先導して我が家について保護シートを外すと軽トラックの荷台に鬼瓦などがいっぱい載っていました。
複雑で大型の鬼瓦や鯱(しゃちほこ)などがびっちり細いロープでつながれていました。「芸術品!」というのが第一印象です。
鬼瓦の制作は施主が直接依頼されているので、明日直接見せたいとのことでしたが、明日は雨の予報。保管場所の我が家の学習棟は道から10mほど高く足元が悪いので半分は降ろすことに。

子どもたちに応援願って無事、搬入しました。
ヒノキ風呂にご夫婦とも入っていただいた後、12時まで夜なべ談義。

「にじのうた」団子3姉妹.JPG


【手話を使って「にじ」の歌を披露した3きょうだい。歓迎の歌でスタート】

鑑賞中の渡部夫妻.JPG


【現代の名工に昨年登録なった渡部 一馬氏と奥様】

これまでの鬼瓦は熊本の藤本さんにお願いしていたので、四国の鬼師さんとは初共演。談義の中身は
1、鬼瓦は工芸品ではなく建築の一部なので自然を相手に壊れにくくしなければならない。
2、これまでの実績(今治城などのお城、公園、よしもと花月劇場入口、イオンモールなど)
3、渡部氏の作品の特徴は穏やかで優しい印象(笑う鬼瓦や歯に金歯が入っていたりする)

盛り上がったのは、愛媛と熊本をつないだ高校野球。「奇跡のバックホーム」で名勝負のひとつに入る夏の甲子園決勝戦の松山商業対熊工。9回裏1年生の澤村が同点にした後の10回裏、ランナー3塁で犠牲フライ。ライトにフライが上がった瞬間、サヨナラ勝ちで熊工の優勝を確信した。あの時の松商の監督采配、ライトを肩のいい選手に変えて、見事キャッチャーに「ストライク」を返してタッチアウトにした試合。熊工は準優勝。(私は熊工出身、1996年当時、熊工卒業者の会・熊工会青年部長)

また自分自身と愛媛の関係では建築士会連合会で青年委員長をしていた時、全国大会が愛媛で行われたとき、20ほどあった楽屋を全部使って「タコ部屋談義」と言われた青年建築士の交流をしたことや、3階席まで満員(約5500人)だった愛媛文化会館で青年委員会報告をしたこと、接待で受けた小魚の骨に参ったことなどいろいろ。

DSCN0568_R.JPG


【現在最終段階にある切り込み場にも鬼瓦を見せに行った。大工さんたちも渡部さんの作品に圧倒されていた。鬼瓦に負けない立派な木組みも早く披露してみたい。】

次の日はいつも通り朝6時から家族で家の周辺850mの掃除をしたが、渡部氏も同行され、一緒に清掃活動された。その後、施主に鬼瓦を見せに行った。施主は満足されていた。

ヤードから帰ったら、国の重要指定文化財である「中村家住宅」が見たいとのことだったので、事前に連絡して見せていただいた。(コロナで休館中だったが、開けていただいた。中村氏に感謝)

やっぱり関心はシーサー.JPG


【中村家住宅。渡部鬼師、やっぱり一番先に目にはいったのは屋根に載る「シーサー」だった。前回の修理で回収されたシーサーにも魅入られていた。】

裏にはないんですねーシーサー.JPG


【内外を案内したが裏に回った時、「裏にはシーサーがいないんだなぁ」とこぼされた。なるほど鬼師の視点は違う。】

中村國宏への説明.JPG


【次の日は逆に中村さんに鬼瓦を見てもらうことに・・・。バラバラだった部材をセットしたら中村さんもうなるほど素晴らしい鬼瓦になった。】

大屋根鬼・龍虎.JPG


【大屋根に載る鬼瓦。鬼面の両側は龍と虎。角の間に「丸に梶の葉」の家紋。】

不死鳥・鳳凰.JPG


【玄関の小屋根の鬼は東洋の不死鳥と言われる「鳳凰(ほうおう)」。姿は「朱雀」に近い。ここにも家紋がさりげなく入っている。】

シャチ.JPG


シャチ平ふすま.JPG


【鬼瓦のすぐ後ろに配置する「シャチ」。】

から獅子.JPG


【四隅に載る唐獅子。跳ね上げた両足の高さが違うのは下から見上げた時、同じ高さに見えるように細工されたそうだ。】

アマリリス.JPG


【鬼師の来訪を歓迎するように敷地内の「アマリリス」が開花した。自然との調和が芸術の基本にあるように思う。】
posted by 塾長 at 12:21| 教育・子育て