2022年06月12日

6月・シロアリ?

昨日、7年前設計した那覇市内の住宅の床下に潜りました。「シロアリかもしれない」と連絡を受けて写真も送られてきました。なんとなくそんな気がしましたが、もしもシロアリならと思い、代替の床束も持参しました。

現場は高床式の平屋建て。7年前生まれたばかりの子どもさんと兄ちゃんも一緒に応援してくれました。床高1m50センチなので子どもは少しかがめば歩ける高さです。

案内された床束(ゆかづか)をよく見るとどうもシロアリ被害ではなさそう。シロアリとの共存が設計思想にあり、被害を早期発見して防蟻剤などを塗布することにしています。
何故かというと生命力の強いシロアリを殺す薬は人間にとっては猛毒に他ならないからです。また、効き目もそう長くは続きません。

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蟻道がない、床下に入れば防虫網を通して冷たい風が入ってきます。時々床下点検をしている施主に「冬の床下は寒いでしょう。」と聞くと「寒いです。」と返ってきた。
シロアリの幼虫はまさしく「白」くて裸なので寒さには弱い。また梅雨なのに床下がカラカラに乾燥していてシロアリが住みたい環境ではありませんでした。
どうも山から木材を出したり製材するときに使う先のとがった鳶口(とびくち)のあとのようでした。トビクチは猛禽類のトビ(鳥類のトンビ)の口ばしのような鋭利な金物を木の柄の先に付けた道具で、木材の移動や運搬などに使います。昔の町の火消しはとび職が主で、一番先に行って火元の家の棟にあがって纏(まとい)を上げたものです。有名なのは「め組」(いろは・・48組のうち辰五郎率いる「め組」と力士らとの喧嘩)。

小径木を使った床束(ゆかづか)だったので、トビクチのあとが残っていたと思われます。せっかく持って行ったので防蟻剤を塗布したヒノキの床束に変えました。

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【施主のこどもさんたちは興味津々で、かつ、懐中電灯やヘッドライトで照明してくれたおかげでわずか2時間で終えることができました。それにしても床下に入り込む冷たい風が印象的でした。家のメンテナンスの重要性については6月15日付の沖縄建設新聞の「建設論壇」で詳しく書いています。偶然にも昨日の例で実証したことになります。】

さて長雨で現場は止まっていますが、ヤード(作業場)では玄関小屋組の墨出しで毎日大工さんが頭を抱えています。・・とはいえいろいろと勉強になるので楽しそうです。

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【反りのチェック。最終的に少し変更して決定しました。】

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【私が書いたマス組の施工図をもとに、建築確認で示した矩計図(かなばかりず)を参考にして原寸の墨だし中です。】

今週から晴れが続きそうなので一気に屋根仕舞いを進めたいと思っています。
posted by 塾長 at 18:05| 教育・子育て