2022年06月26日

「見上げの美」(軒裏の美しさ)

沖縄の梅雨がやっと明けたので現場が動き始めました。現在屋根下地の垂木(タルキ)打ちが道半ばです。大屋根のタルキ打ちは反りや蓑甲(みのこう)があって大変です。
今回は図面上見えないところ、例えば「見上げの美」(軒天井の美しさ)について書きます。

法隆寺五重塔立面図.jpg


【これは法隆寺五重塔の立面図です。立面図は水平距離が無限の位置から見た図面です。】

法隆寺五重塔.jpg


【これは法隆寺五重塔の立面図です。ともに「軒裏」(軒天井)の姿は見えません。ところがこの住宅を設計する時気に掛けたのは、図面には見えないけれど実際には見える部分の美しさです。実際の目線でみると「軒裏」は全部見えます。だから化粧で見えるタルキの材質や間隔には気を配りました。】

法隆寺五重塔 (2).jpg


【これが実際みえる五重塔です。立面や断面では見えなくても、実際の目線では軒裏(軒天井)は全部見えます。立面や断面では水平距離無限なので、面積計算などには必要です。】

(有)気流東西立面図.jpg


【これは現在進行中の住宅の立面図です。軒裏(軒天井)は見えません。】

箱棟.JPG


【大屋根部分の垂木打ちは進みました。上部に見えるのは「箱棟」の下地です。これに熨斗瓦(のしかわら)が9段かぶり先端には人間国宝の渡部鬼師が製作した「鬼瓦」が鎮座します。妻側の端は「蓑甲(みのこう)」になります。蓑甲はそもそも妻側の納まりを美しく見せるための構法です。タルキ間隔は通常400oにしていましたが、今回は317oです。玄関屋根組みはこれからですが、237.5o間隔の予定です。】

あや.JPG


【大工見習いの次女・亜和(あや)も屋根下地づくりで頑張っています。】

段々.JPG


【道路が敷地に徐々に入ってくるので、それに合わせて屋根も段々になります。この部分の屋根納まりは瓦1枚ずつ割り付けるので大変複雑です。ただ面倒な分、完成したらうなるような軒裏の美しさが見えてくると思います。


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【柱のない部分のモヤを支える「持ち送り板」です。】

軒先の美しさ(途中)見上げ美.JPG


【昨日現在の垂木打ち状況を下から「見上げ」た写真です。足場の間(写真右側)から段々に切れて登りあがっていく「軒裏(軒天井)の美しさ」を垣間見ることができます。】

DSCN5968_R.JPG


はは.JPG


【昨日、木のベランダに「柿渋」を塗りました。透湿防水シートで覆っていましたが、梅雨も明けたので全部取り、少しシミが入ったところを私がサンダーを当て、その後を家内が塗りました。「柿渋」が浸透したので少し雨で濡れても安心です。】

見えないところに力を入れるのは、服でいえば「裏地」のようなものです。図面では表現できなくても、私が木材を拾い出しした時や納材の時、大工さんが加工する時にも化粧垂木には1本1本気を使いました。大工さんは道路側には無節、その他は特1等品に・・・、と選別もしました。

表も裏も大事です。図面では表現できないところ、木造建築でいえば軒裏。間隔や品質などに気を配り完成後その配慮や美しさを感じ取ってもらえればありがたいと思っています。

「見上げの美」(軒裏:軒天井の美しさ)にも増して大事なことは、かかわる人たちの「心の美しさ」ではないかと思っています。
posted by 塾長 at 12:01| 建築