2010年11月29日

生きものと一緒の棲み家=環境共生住宅!

沖縄県(住宅課)が、蒸暑地域における環境共生住宅を探るため調査をしています。我が家も古民家以外の最近の木造住宅として、通年調査対象の2件のうちの1件としてエントリーされています。もう一軒は同じく、私の設計で宮古島に造った住宅です。

 これまでにも書いていますが、調査項目が温度や湿度、室内風速、窓の開け閉め回数などで、物理的な調査が主です。アンケートでも、テレビを見る時間や冷暖房の使用時間もありましたが、我が家には、もともとテレビもクーラーもありません。

 環境共生を冠する調査としては偏っているような気がします。何が足らないかと思うと、やはり生命系の視点ではないのでしょうか?
 虫一匹入れない機密性の高い住宅で、人工的に空調機で快適さを追い求めていながら、省エネを実行したとしても、それは環境共生とは言い難いものです。

D棟のコピーR.jpg
 

                  (自宅兼環境教育施設のD棟(学習棟)の矩計図)

 強度や利便性、デザイン性を言う前に、地球に負荷の少ない家造りや暮らし方をよくよく吟味する必要があります。特に最近は「虫」を嫌う傾向が強いように感じます。(意識さえない)これこそ「虫のいい話です」。

 人間にとってどうかだけではなく、虫にとってはどうか?という観点を持つべきです。沖縄では亜熱帯地域の属するのでシロアリの被害を極端に不安がります。
 シロアリも虫の一種です。コンクリートをかじることもあるし、木だけではなく、断熱材も食べます。確かにシロアリの被害が大きいと、家が倒れる危険性もあるので、用心はしなければなりません。

 シロアリは目が見えない、吹きさらしの土の表面では活動が低調、幼虫は皮膚が薄く裸の状態だから風に当たるのを嫌う、逆に湿気が多く、風が停滞している所が棲みやすいなどの生態や特徴を見極めると、それ相応のシロアリ対策を入れた設計ができます。

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                 (自宅兼環境教育施設のC棟(和室棟)の上棟)

 私が施主の言い分を聞かずに設計した木造住宅の基礎は礎石か布基礎です。防湿コンクリートも打設しません。なぜなら、土壌の生態系に配慮しているからです。
 家には適当な湿気が必要です。乾燥した部屋にはウィルスがいっぱいです。(だからのどを痛めて風邪をひく)
 床下も乾燥しすぎるとハウスダストの原因にもなります。

 コンクリートで固めたような床下には分解能力を持った微生物が土の床下よりはるかに少ないため、ゴミや木切れはそのまま残ります。これがシロアリの食べものとなって繁殖します。
 土だとアリやムカデなどがいるので、シロアリを食べてくれます。これが床下の生態系です。地上でも羽を持ったシロアリが光に向かって飛来しますが、これはヤモリが「待ってました!」とばかり狙っています。

建築(柱の金輪継ぎ)R.jpg


       (自宅兼環境教育施設のA棟(母屋)の床下(柱は金輪継ぎとし、取り換え可能))   

 現在進行中の沖縄市の木造住宅の床高は900oが標準です。敷地にゆるやかな傾斜があるので、幾分上がったところは、さらに床高も400o上げます。居間のタタミ間はさらに400o上がるので、地盤から1700oもあります。
 我が家も低いところで800o、高いところは3mも地盤から床が上がります。これはシロアリ対策のためでもあります。床下の「通風」が大切、というのは、皮膚が薄いシロアリが活動しにくいからです。土の上では天敵から狙われるし、家の中に入ろうとしても風に弱いので活動は低調にならざるを得ません。

命(石の隙間)R.jpg


           (植物をはじめ、ネズミも、天敵のヘビも棲み家となる間隙の多い石積み)

 どんなに強力な薬剤を使っても、シロアリは来ます。最近流行りのベイト(誘引)式のシロアリ対策でも絶対ではありません。私は「来ること」を前提に設計をします。来ても天敵が多く、棲み心地が悪いと定着しないと考えています。

 高床にするもう一つの理由は、「点検」ができるようにするためです。癌と同じで「早期発見・早期治療」です。布基礎は昔の礎石基礎とベタ基礎の間にあると考えています。建築基準法で一定の面積以上は礎石基礎ではできません。
 布基礎はその礎石基礎の延長です。だから、なるべく礎石のように点々と基礎は離します。風通しを良くするためとタタミを一枚あけると、悠々と点検できるためです。

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            (完成パース:生きものは13種類入っています。わかるかなー?)

 シロアリに限らず、住宅にはさまざまな生きものが寄ってきます。我が家は別名、環境教育施設:木組みの家・「ぬちゆるやー」と呼びます。「命がたくさん寄って来る家」という意味です。「生きものと一緒の棲み家」で1昨年、住宅建築賞もいただきました。また、20年前から「生きものと一緒のまちづくり」を提唱していて、人工的な景観づくりではなく、生きものと共存する「生きた景観」づくりを目指しています。

 住宅の分野でも環境共生という言葉は多用されていますが、どっこい、生きものとの共生の視点が全く外れている場合が多いように感じています。
 多くの生きものと共存する日本的「自然観」をしっかり認識して、複雑で多様な自然とうまく付き合って欲しいな、と思っています。
posted by 塾長 at 02:09| 環境・生きもの