2011年03月26日

自然脅威の天敵は自然!


 先日、「第1階木造建築学習会」がありましたが、主催者が施主でした(参加費無料)。通常、このような公共性の高い学習会を個人が主催することはありません。施主に敬意を表します。

 恩師の先生が調査で来沖する機会をとらえ、迅速に段取りされました。自宅の隣接する実家のひと部屋を貸し切っての開催。十人余りの参加者でしたが、これも計画に入っています。広く浅くではなく、狭く深くの学習会もあっていいのです。

 集ったみなさん、それぞれ分野は違いますが、一定の知識を持ち合わせています。したがって、質問も専門的なものでした。
 
学習会報告1.jpg


【施主が企画し施主がまとめた報告書。全国に発信します。まちづくの視点でとらえると、「個人」の考え方、行動で山や現場、住まい手、街が元気になることができる。新しい街づくりの第一歩!】

           【見にくいと思いますが、図をクリックすると大きくなります】


報告2.jpg


                        【報告書2】


報告3.jpg


                        【報告書3】





 私も、ゲストの先生のあとに少しだけお話をさせていただきました。私は講演依頼があると必ず「自分で実践したこと」を話します。実践すると課題も問題点も見えるからです。

 私の場合、今回は「伝統構法」と「在来軸組み工法」の違いからスタート。それぞれ歴史も考え方も違います。残念ながら、伝統構法は現建築基準法では、使える範囲が限定されますが、街づくりの観点から紐解くと、伝統構法は「山も住み手も造り手もみんな元気になる」手法です。

 内容は割愛しますが、縄文時代からつながる日本固有の住宅構法を使い続けることは、家族の活力だけでなく、生産者も造り手にも活気がでるのは間違いありません。普及しないのは、法律、専門職や木材の調達、住宅建設のシステムなどの課題もありますが、最大の問題点として提案したのは「本来の木造を知らない」ことです。

 だから、課題解決策は「本物の木造をつくること」だと考えています。


合志林工社手紙1.jpg



【わが家と沖縄市の伝統構法+在来軸組み工法の現場を見学に来られた山もとの製材所の代表者から届いた手紙1】


手紙2.jpg


                            【手紙2】


 社会の在り方が問題になるのは、まちづくりの目的が「活力」だけに集中していることです。
中央集権の少子・高齢社会のなか、世の中で叫ばれるのが、「地方の活性化」。しかし、活性化だけが能ではありません。

 今度の震災でも「暴動や略奪がない日本はすばらいしい」という外国の評価がありますが、それでも振り込め詐欺や嘘の募金などの犯罪が起こっています。阪神・淡路や関東大震災ではありませんでした。

 日本の社会も徐々に利己主義がはびこってきました。活力も大事ですが、社会秩序や慎ましい生活も大切です。このような「気持ち」を醸成するのは、一気には無理です。やはり、毎日の暮らしぶりのなかで、落ち着いた心を育む必要があると考えます。
 国民は今度の大震災・大津波で自然の怖さを思い知ったはずです。これをどのように捉えるかで家造りもまちづくりも変わります。そうしないと三万人を超す犠牲者に申し訳が立たないと思います。

 自然は怖さもありますが、同時に恵みも与えてくれます。どのようにして付き合っていくか!分岐点は、自然を敵対的に捉えるのか、自然と共生するか、にあります。

瓦完成.jpg


【沖縄市の現場。屋根工事がほぼ完成。全体像が見えてきた。27日(日)から開口部に木製建具が立つ】

 低地に住むな!とまでは言いませんが、住むなら覚悟した方がいいと思います。例えば、崖下、崖上にも住めます。しかし、豪雨や地震などの自然力がかかるので覚悟が必要ということです。

 地震大国・日本で完全に安全なところはないはずです。なんらかのリスクはあります。南西諸島から九州・四国辺りは台風銀座です。「自然脅威の天敵は自然」であると私は思います。

 住宅を建てる場合も、人間が作った建築基準法を守れば安心と言うことではありません。家ごと流すほどの強大な自然力には到底勝てっこありません。自然力は自然で守るのです。
 例えば、高台に建てる(基壇のうえに建てる)、周辺には防風林を植やす。地形や自然の植生を生かして自分たちも「生かされる」考えです。

 社会インフラが寸断されても、とりあえず1カ月ぐらいは暮らせる慎ましい生活を普段からすることも大切です。そうすると、おのずから危機管理能力が備わるので、非常のときに必要な道具や用具は常備するようになります。

 元気になればいい!では何も解決しません。この際、もっと根源的なところに目が向けられることを願っています。

イペー.jpg


                  【林間学校の記念植樹で植えたイペーの花が満開】
posted by 塾長 at 10:53| その他