2011年08月08日

林間学校速報:台風で「自然共生」を知った2泊3日!

 大型で強い台風9号が接近するなか、記念すべき第20回目の林間学校を挙行しました。

 沖縄では洪水や強風の「警報」が出たら、自動的に学校はお休みになります。ところが、林間学校は自然との共生を目指すところ。ですから、共生の前にまずは、自然を知ることが大変重要になってきます。自然の排除では、何も身に着きません。自然は晴天ばかりではありません。

 台風接近は最大の教材でした。したがって、当初から中止や延期は考えていませんでした。特に今回は「危機管理」がテーマのひとつ。台風や地震に大雨、干ばつ・・それらで引き起こされる洪水や地滑り、がけ崩れ・・・。さまざまな自然現象と一生付き合っていかねばなりません。

 それはメインテーマである「争い事の少ない社会」につながります。人間社会も自然と同じで自分の思い通りにならないことばかり・・・。

 しかし、自然を敵視しない日本人の自然観は、人の気持ちも和ませます。自然を支配しようとする西洋の文化・宗教観とは相反します。

 昔の日本人は外(自然)に対して開放的な住宅で暮らしてきました。古来の沖縄の住宅には玄関さえありません。
 外と内の緩衝として「縁側」があります。建具も木製で、すき間から季節の香り(土や花、草など)が入ります。時には今回のような台風時には、雨も風も入り込みます。アリや蚊などの虫も入りますが、日本人は大らかで虫の侵入を許す寛大な気持ちを持ち合わせていました。

 ところが近年は、虫一匹入れない西洋的な自然排除の住まいと暮らしになりつつあります。人間中心主義は、住まいづくりに顕著に表れています。
 人間中心主義は自己中心主義に結びつきます。思った通りにならないとイライラしたり、相手を逆恨みして事件を起こしたりします。

 このような現代社会から相手の命や立場を思いやる気持ちを持つことや、正常な秩序を保つ社会を目指すためには、自然や自然現象を直視した体験することです。
 単なる、理科的な体験やサバイバル体験、原始体験だけでは自然の摂理に沿って暮らす意味や、自然と共生することで人の社会が平和になることには結びつきません。
 体験主体の環境教育は、家に帰ったらいつもと変わらぬゲーム三昧(仮想現実・バーチャルリアリティーの世界)に戻ってしまい、教育的な意義はゼロに等しいと思っています。

 そういう意味で、今回の林間学校は予定していたプログラムはできなかったところはありますが、それ以上に、子どもたちは貴重な体験を重ねました。
 きっと、これからの長い人生の中で突発的な自然現象や社会現象に対応する能力がついたと思います。それは、思い出は、年齢に反比例するというジャネーの法則(1年前の旅行より、子どもの時の修学旅行の思い出の方が記憶に強く残る)があるからです。

 台風の影響で参加へのキャンセルが5人出ましたが、参加した11名の子どもたちはきっと、日本のリーダーになると確信しています。

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【初日。正座・礼儀・挨拶を基本として、家庭の延長に位置付けた活動でのなかで、人格形成をめざす20回目の節目を迎えた林間学校がスタート。周囲は強風が吹き荒れ、小雨が叩きつけていた。2泊3日の暮らしの約束事を説明中。】

沖縄式シャッター.jpg


【台風時には「沖縄型シャッター」を取り付けるのはわが家では定番。子どもたちと一緒にベランダに順番通り建て込んだ。】

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【2泊3日で使うコップとハシ、名札をナタやノコギリ、小刀などの刃物を使って作る。危険から隔離された子どもたち。刃物の使い方も不慣れ。注意を喚起しても残念ながら今回は指を切った子どもがいた。しかし、大人になるまで経験しなくてはならないことのひとつではある。】

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【馬糞の堆肥づくり。化学肥料は即効性があり効果的だが、水に溶けにくいので土や川、海を汚染し、生きものの棲み家や命を奪うことを説明。馬糞の堆肥は遅行だが、水に溶けて環境を汚染せず、微生物のおかげで土が豊かになる。馬糞が発酵により肥料に変化することなどを、堆肥づくりで体験。】

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【小雨のなか、馬糞の堆肥を裏山の畑にリヤカーで運ぶ。坂道をみんなで押す。一瞬の油断は大事故につながる。子どもたちはじわりじわりと協力しなければコトが進まないことを覚えていく。林間学校は決して楽しいことばかりではない。むしろ、つらいことの方が多い。】

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【二日目。風速45m/Sの台風9号接近。風が強まり、周辺のビニールハウスに被害が出始める。木々や電線に当たる風の音も凄まじい。しかし、自然の脅威から逃げてばかりいては、何も習得しない。こんな時、どう対処するのかが、重要な危機管理。最大の教材がすぐ目の前にある。】

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【家畜・家きんと共にある暮らしでは、盆・正月、台風や地震が来てもエサあげ、水あげは欠かせない。子どもたちは、果敢にニワトリやアヒル、馬やウサギ、キジなどの世話を始めた。泥んこ、びしょ濡れである。どんなことがあっても、他の命を守るための作業があることを覚える。】

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【エサあげの最中、放した番犬が、ニワトリのヒナを襲ったので、ヒナはショック死。近年は「生」も「死」も直接、目に触れないことが多い。生まれたばかりのヒヨコにも会えたが、死んでいった命も直視した。穴を掘り、土に戻って再び新し命に生まれ変わって欲しいと、みんなで祈った。】

塾長講話.jpg


【塾長講話。今回は停電の合間を縫って、「地震・津波の教訓:自然と共生する家づくり・国づくり」と「命のバトンリレー」をパワーポイントを使って講話。】

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【停電で水が出ない。あるのは水タンクの2トンだけ。初日に用意した汲み置きバケツから水を取って手洗いをする、トイレを流す。停電時のシャワーはお湯ではなく、「冷たい水」。流すだけでも幸せ。男は10秒、女は30秒で済ませたと感想文にあった。便利で快適な暮らしが定着している子どもたちにとっては、貴重な経験ではなかったろうか。】

夕食作り.jpg


【台風のなかの夕食づくり。辛うじてこの時点では電気が通っていた。危機管理上、プロパンガスを用意していたが、強風のためこれも火が消えるため、夕食のだんご汁は「だんごなしのだんご汁」となった。しかし、あるものを生かす(済ます)、という、初日の話に納得したのか、子どもたちは、食にあり付けただけで満足していた。】

ローソクで夕食.jpg


【いよいよ長い停電。夕食はローソクの明かりで食べることに・・・。水も火も生きていくには大切だが、エネルギー源をひとつにしておくと、いっぺんに生活が止まることを実感。水は公共水道、井戸(3か所)、地下水・・。熱・光は電気、ガス、ローソク、炭、懐中電灯などなど。子どもなりに備えが必要なことを体得したと考える。】

都市型洪水.jpg


【最終日。台風がもたらす雨が強くなった。わが家の前の側溝は、いわゆる「都市型洪水」のため、道路に集中した雨水が溢れていた。これも子どもたちは直視した。】

倒木片付け.jpg


【敷地内の倒木の片付け。子どもたちは率先して雨の降る敷地へ飛び出し、のこぎりを使って枝を切り始めた。】

水みちづくり.jpg


【斜面に建つわが家は水みちがある。上から流れてくる雨水を、上部で一旦水みちで逃がす。放っておくと、鉄砲水となる。みんなで落ち葉を取って、水みちを確保。必死の防災作業は、いつの日か国や自らの命を守るための手段に生かされると思う。】

節水・雨水でゾウキン洗い.jpg


【女の子グループは家の中の片付け・掃除が役割となった。停電で出ない水を経験した直後。彼女らは、雨だれで溜まったバケツの水を使って雑巾掛けをした。】

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【発表会の様子。命の尊さやはかなさ、環境汚染がもたらす健康被害(水俣病を取り上げた)、自然への畏敬、怖れ、危機管理、節度ある暮らし・・それぞれが自ら感じ取ったり、気付いたりしたことを、迎えに来た家族の前で発表した。】

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【いつもは「エイ・エイ・オ―」だが、20回目の節目。今回は正しい万歳の仕方を教示した後、みんなで台風と一緒の林間学校が無事終えた喜びを「万歳」で表した。※正しい万歳は、手のひらを「気を付け」の姿勢からそのまま上げる。手のひらが正面になるのは「降参ました」「負けました」。】

参加した子どもたち、参加を許可した保護者の皆様、後援をいただきました北中城村、その他、協力いただきました皆様に感謝申し上げます。




posted by 塾長 at 23:27| 林間学校