2013年05月11日

林間学校速報 「10億分の1」の命から学ぶ!

 第23回目のきたなか林間学校が5月5日に終了しました。これまでとまったく違うのは、命の循環と言っても、「命」の見方を変えたところです。

 これまでは、「物質循環」を「命の循環」と置き換えて話をしてきました。そして、「命に感謝しよう!」・・では、「大切な命を、いただきまあーす!」と・・。しかし、どうも違う?
確かに、人間に食べられてしまう宿命を持つ家きんといえども、無理やり摂取した命なので、感謝の気持ちは生まれますが、だからと言って、その後、環境問題の解決や人格形成に資しているとは言い難いところがあります。

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【野性的な馬・ゲン 自由度の高い飼い方なので、与那国馬の原種・ゲンちゃんは外に出ると、寝転がって体を草にこすります。急に始めたので、近くにいた子はびっくり!】

 今、大事なことは、人間が生きるために食べる命を、人間がコントロールし過ぎて、「命のモノ化」が進んでいることです。現代は「モノ」のように、「命」を大量生産し、大量処分します。自然の摂理を無視し、人工照明で昼夜をコントロールされて出荷される豚もいます。太陽を一度も見ないまま賭場に送られますが、初めて見た太陽が運搬されるトラックの荷台というのは何とも悲しいことです。
 問題は、人間の思う通りに動く社会です。おそれ多くも、「自然」を人間がコントロールするのです。次第に自己中心の人が増えます。人の命も軽んじられるから、事件も起きます。地震・津波・台風などの自然活動と対決して、人間が自然より優位にあるがごとく考えるのは人間の思い上がり(おごり)です。

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【ヤギも「やんばるヤギ」の原種。体は小さいが、能力に長けている。野生力が高いので、思った通りにならない。それを教えるのが、一つの目的。】


 そこで、今回は放し飼いのニワトリを野性の命ととらえました。ここから「命」を見つめ直すのです。人間が野性の命を摂取しようものなら、まずは捕獲からしなければなりません。野性の生きものは、ケージや小屋の中で育つ家畜と違って、人間の思う通りにはなりません。
 実際、放し飼い(半野性的)の我が家のニワトリを例に、命の授業を行いました。これは、最初のプログラムにはありません。案の定、子どもたちは、異変を察知して逃げまどうニワトリを追いかけまわしましたが、捕獲に30分以上もかかりました。やっと捕まえても、どうやってこしらえるか見当もつきません。野草探しもそうです。食べられるものとそうでなものの判別がカギです。そして、ともに、絶滅しないよう、種の保存をするために全部は摂取しません。


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【野草の判別。「ぬちゆるやー」の周囲でも野草は数十種類。野草という名の植物はない。みんな個性があって、人間が食べられない草もある。これは「タイワンハチジョウナ」。ウサギもヤギも好き。必要以上にとらないことは、節度・分別につながる。】


 人類の歴史の99.7%を占める狩猟文化は、物質的充足や、便益の向上はないかもしれませんが、高い安定性と永続性に富んでいました。節度と分別を持ち合せた暮らしや自然と調和した社会には争い事が少なく、現代社会とは画然の相違を感じます。現代文明は、自然の摂理から外れて人間が独自に自分の都合の良いシステムである農耕文明の延長にあります。

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【天然の火をおこす。人間の野生力は「火」を使うことが特徴。かまどの石やタキギは周辺から集める。だんだん野生力がついてくる。君たちは「家畜じゃないぞ!」】

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【竹の筒を利用した炊飯器(たかんぽごはん)。何とか、ご飯にありつけました。煙かった分、おいしかったようですおかずの「団子汁」もすべてなくなった。】


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【水も同じ。近くの平成の名水百選の一つ・タチガーの水を使って洗たく。その合間に、そっと天然水でのどを潤す。塩素処理していない天然の水の温度・味はいかがだったかな?「あまーい」との声も・・・。】

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                    【洗たく機で脱水とはいかない。二人で協力して絞る】


 数万単位で育つニワトリたちは、狭いケージの中で砂はないのに砂被りのしぐさをします。本能は生きているのです。しかし、生産性向上、効率主義、経済至上主義の中にあって、無抵抗のニワトリたちの命は人間の犠牲になります。牛も豚も同じです。持って生まれた寿命をまっとうすることはありません。

 人の命を他の生きものの上位に位置づけ、思い通りに命を管理する現在の人間至上主義は、無気力無関心無感動無責任、集団いじめ、身勝手な犯罪の多発など、さまざまなところでほころび始めました。

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【ニワトリの捕り物帳。網まで持ち出して、ニワトリを追い込んだが・・・。必死で逃げるニワトリのような野性的な人間になってほしいと願った。】


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                  【30分以上かかって、やっと捕獲。野生力を思い知らされた。】

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【事前に人間が生きるために犠牲になる家畜・家きんの説明をしていた。野生の動物は天敵や病気から命を奪われる以外は寿命を全うする。どうやって野生動物は身を守るのか、命を粗末にしないために、我が家の野性的なニワトリの捕獲・こしらえに挑戦するか、否か?賛成は数人。しかし、命について本気の目をしていたので挙行した。決して無茶はしない。手袋で目隠しし、落ち着かせたのち、頸椎を破断して気絶させる。喉の頸動脈を切断して流血させる。最後の断末魔も見せる。このあと、70度のお湯につけてみんなで毛を抜いた。死に対するキャパがない子は見せなかった。】

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                              【真剣に説明を聞く子どもたち。】


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    【亡くなったニワトリにみんなで手を合わせた。「ごめんさない!」「天国に行ってください」】

 ニワトリを例にとると、日本の家きんであるニワトリは、輸入を含めると年間10億羽が犠牲になります。肉食用のニワトリは、わずか3か月〜4か月の短期間に育てられ、その一生を終えます。肉が付くようにエサには大量の成長促進剤が入り、病気をしないために、抗生物質も打たれます。薬漬けで大きくなるニワトリは、肉の成長に心臓の成長が追いつかず、小さい心臓に負担が来て途中で死んでしまうニワトリもいます。
 今回の林間学校では、半野生のニワトリをつぶしました。つまり10億分の1のニワトリを使って、半狩猟文化を体験したわけです。これまで人工的に「作られた命」も「自然生態系の中の命」も一緒にとらえていました。「命」の重みはケージの中のニワトリも放し飼いのニワトリも同じですが、必死に逃げるニワトリを捕まえることと、あっという間に無抵抗にケージから取り出すニワトリとの違いを、子どもたちはどう感じたのでしょう。


 子どもたちが捕まえようとしたニワトリは自分の命を守るために、飛んで走って森の中まで逃げました。家きんであるニワトリとはここが違います。
子どもたちには言いました。「君たちも、このニワトリのような野性力を持ちなさい。生き延びるために必要だから・・」

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【烏骨鶏(うこっけい)のダシがしみわたる鳥鍋。数人は、ニワトリの肉をいただいていた。涙がヨダレに変わっていった。】

 原種は家畜・家きんより体格・体位は小さいですが、機能や危機管理力は優れています。人間の家畜化の弊害を教えるために、野性的な我が家のニワトリは犠牲になりました。しかし、参加した子どもたちがどこかで今日の活動を思い出してくれたらありがたいと思いました。

 人間が生きるためには、ニワトリに限らず牛や豚、馬などの家畜の命の犠牲の上に成り立っています。人工的に作り育てられる命は、家畜・家きんに限らず、植物工場や養殖場、あるいは、田畑で育てられる米や野菜・魚介類まで及びます。スーパーの食品売り場を見ると、ほとんどが作られた命です。それを否定するつもりはありませんし、私もベジタリアン(菜食主義者)でもありません。


 野性的な生きものの命を食べることは、思い通りにならないことを思い知る、食だけに限らず、自然を自分の都合のいいように改変しないこと、野草や放し飼いのニワトリ・アヒルから生き延びるしたたかさを学ぶことが、自然や人間を含めた自然生態系を守ることに結びつき、人間として思いやりや感謝などの人格が備わることに通じていけば幸いです。

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【馬ふんのたい肥まき。そのあと、新たな馬ふんのたい肥作りをしました。化学肥料との違いや、手渡し作業では、声掛けや協力が必要なことも体得した。】


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【第七子の胎盤とへその緒。胎児を守り育てた胎盤とへその緒が、新しい命に生まれ変わる。汚染物質を除去する胎盤の機能は事前に説明。なるべく自然、かつ、旬な生きものを食するよう話した。土の中のミミズなどの小動物と一緒に大きなサクラの木に育ててほしいと願った。】

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【カーで洗った洗たくものの前で、木のブランコに乗る子ども。多様で複雑、情報量が多く刺激的な自然を相手にすると、感性や機能、人格までもが備わってくる。自然を疎外せず、共生していくことを目指しましょう。】

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【近所の農家に馬ふんのたい肥を分けたら、お礼に「サガリバナ」の苗木をいただいた。ありがとうございました。みんなで記念植樹しました。】


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【最後は、壁新聞づくり。4組に分かれて、それぞれのテーマで発表しました。8月2日・3日の夏休みこども自由研究(沖縄コンベンションセンター)でも発表してもらう予定です。】

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           【参加者22名、元気に「野生的に生きるぞー!エイ、エイ、オーッ!」】

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【やっと片づけを終えたころ、礼状が届きました。意外にもホームシックで泣いて家に帰るときかなかった女の子でした。親離れ・子離れがまだできていないのかなぁ、と心配したのですが、これを機に親子ともしっかり自立できたようです。よかった!】

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【馬ふんを施肥したキュウリの苗に、5日後、花が咲きました。夏の林間学校でいただけたらいいですね。】

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【命のバトンリレーもできたようです。もう、サクラの木から、新しい葉が出てきましたよ。こちらは数年後、お花見ができそうです。】

 今回はQABさんの密着取材がありました。編集後は、8月2.3日開催の「夏休みこども自由研究in沖縄コンベンションセンター2013」のイベント(テーマ:「環境と暮らしを考える」)の紹介用に使われる予定です。
posted by 塾長 at 13:44| 林間学校