2013年11月02日

「無農薬米」と「伝統建築」

 これまで有機栽培のお米をいただいて(食べて)いましたが、今月から無農薬米に変えることにしました。我が家では毎月25Kgほどお米を消費します。熊本の有機栽培で育ったお米5Kgは、約6日間でなくなります。そのたびにスーパー等で購入しますが、毎週購入しなければならず、車を降りてお母屋までの急な坂道は、他の食料品とも重なって、子どもたちの応援なしでは大変です。

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【送られてきた5キログラム入りの真空パックされた無農薬米。】

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【名水百選の白川水源で育ったお米と表示されている。同じ名水百選に選ばれても、北中城村では隣の高良さん以外は無表示。もったいない。何を持ってブランド化するか!冬のヒマワリばかり熱を入れるのではなく、村ももう少し考えたらどうか!】

 そこで今月から同じ熊本の阿蘇山ろくに広がる田んぼで、無農薬によって栽培されているお米を年間契約で購入することにしました。
 その月により予定をオーバーしたときは、球磨郡内の農家からの産直で補います。

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【今朝(11月2日)の朝ごはんにさっそく登場。五分搗きなので、白米より色がつく。子どものころは玄米ご飯で育ったためか、懐かしい味がした。これが本来の米の味と匂いか。】

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【精米で出た糠も送っていただいた。お米も糠も「無農薬」。これで安心して糠漬けができる。】

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【裏】

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【精米日も表示してあった。】

 なぜ有機米から無農薬に変更したかというと、もちろん体への影響が一番です。日本は単位面積当たりでは、世界一の農薬使用量です。お米だけではありません。野菜も果物にも想像を絶する農薬と化学肥料が散布されています。


 通常の有機米は5Kg当たり2,400円前後です。これからは3,300円になります。価格は大幅に高くなります。しかし、農家の人の話を聞くと、化学力に依存しない農業には相当のご苦労があります。そのことで、水質や土壌、野性動植物が守ることができるのなら、やはり消費者側が変わっていく必要があると思い、決断しました。

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【球磨郡内の田んぼ。】

 聞けば一反当たり10俵採れるところが、6俵しか採れないとのこと。多分、20人で組む無農薬農家集団は、3,300円とっても採算がギリギリかもしれません。それでも、次世代に健全な自然や次代を担う子どもたちの健康を願うことを理念とした生き方には共感できます。

 翻ってわが道はどうか!彼らの生き方に重なります。田植えや収穫、草刈りさえも機械化、化学化された現代の田んぼは、昔と同じように一面緑に覆われ、その後黄金色に変わりますが、生きものはいません。まさに日本の田んぼは、レイチェルカーソン女史が呼んだ「サイレントスプリング」(沈黙の春)です。

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【梱包の中に、同じく白川水源の「水」がサービスで入っていた。ここにも「名水百選」の銘。】

 木造住宅も同じです。棟上げしたばかりの住宅は柱が林立した木の家で昔と一見変わりませんが、育った形や癖はすべて機械によって削ぎ取られ、機械によって加工された哀れな使われ方をしています。
 人間にも土壌や野草にも大きな影響を与える除草剤。実は除草剤を散布した田んぼで育ったお米は5Kg当たり2,600円です。しかし私は迷うことなく、除草剤散布なしのお米を選択しました。
 木造住宅で言えば手仕事の部分と重なるからです。手仕事で切込み、加工すると機械加工(プレカット)の2〜3倍手間がかかります。住まいづくりも米作りも同じことです。

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【木は適材適所、丸太をそぎ落とすだけではなく、育った状況が分かる形で使うことも大事。手加工は手間がかかるが、お米と一緒。面倒な分、知恵や技術、道具が継承される。機械や化学力は、これらもそぎ落としてしまう。】

 私は面倒で手間のかかる伝統建築で依頼者に応えています。無農薬米作りは手作りの伝統構法と共通します。だったら、主食のお米は無農薬になります。お互い、向き合う相手こそ米や木で異なっていても、その向こう側にある自然や自然生態系に思いを馳せ、自然に逆らわず共生する手法を食や住に求める生き方ならば、できるところから協力すべきとの結論に達しました。

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【プレカット(コンピュータ処理して機械加工)して組まれる今の木造住宅には製材された真四角な木がだけが使われる。製材品に加え、丸太や古材も使った住宅は、きっといろいろな木がみんな喜んでくれると思う】

 
 無農薬米も手仕事の住まいも価格は高くなるけれど、未来に自然や自然との共生技術を継承できます。できたお米も、住まいも健康で長生きできます。それぞれの持つ命の特性を存分に生かしながら、かつ、周りも自分たちも心地よく暮らせます。

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【建具に使われている木も、再利用されて喜んでくれるかな?】

 これまで子どもたちには、「お米一粒にも命が宿っているから、残さず感謝して食べよう」と言って実践していますが、これからは、「このお米は、手作りで八十八の技と手間がかかっているから、農家の人のことを思って感謝しよう!」「生きものが川や海に帰ってきたらいいね」と付け加えることができます。


 無農薬米=手作りの伝統建築。その理念を理解して食べる人や住んでくれる人がいないと、継続できません。今回の決断が、無化学、無農薬農家にとって、少しでも励ましになれば幸いだと思っています。

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【球磨郡内の川。農薬や化学肥料を使わないと、川には再び生きものが帰って来る。野生動植物との共存、自然との共生は、無農薬のお米を食べることから・・・。住宅もRC造ではなく、木の癖を生かして適材適所に使う伝統的な木造住宅が、森や水の循環の一助になると考えている。】

※明日から九州に建て主さんと出かけます。無数の木の中から、心柱になる枝付きの「杉の木1本」を探すためです!
posted by 塾長 at 10:49| その他