2013年12月04日

柱一本へのこだわり!

 心柱の特定

 2泊3日の旅。今回は熊本空港経由で宮崎県綾町に向かいました。1泊目は南阿蘇村。名水百選に選定されている白川水源を有する村です。沖縄〜熊本便は福岡や鹿児島以外の九州の空港と同じように、午前中に沖縄に発つ便がわずか1便。沖縄発はいずれも午後。従って、熊本に着いた時はもう暗くなっていました。

 泊まった旅館は、宿泊施設や温泉、料理やもてなしも大変結構でした。ただやはり、飛行機の中や暖房の効いた部屋は空気が乾燥していて、次の日はくちびるが割れていました。やっぱり、密閉された空間では私は暮らせないようです。

 心柱特定の旅は最終日の朝、佳境を迎えました。前回、綾町でみた杉の木と同じような木をあらかじめ空師(そらし)の黒木様が数箇所、見つけていました。
そのひとつの森に行きました。

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【宮崎県綾町。心柱にしたい綾杉が育つ森。中央の木を特定。】

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【一番手前に見えるのが心柱にしたい杉の木。南側に向けて枝が出ている。】


「右から5番目です。」目を移すとそこにはまっすぐにたった立派な杉の木がありました。高さは22m〜23mと言います。近くに寄ってみると、思いのほか大きな木です。持参したスケールで測ると直径が約60cmありました。
両腕を回してみても、私の手が届きません。60年は経っていると言われました。


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【そばに寄って見上げると、圧倒される大きさ。】

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【抱いてみると、両腕では届かない。】


 そこは前回見たところに近い森。森に入る前、空師は森に頭を下げ、なにか祝詞(のりと)を読み上げているようでした。私たちも、後ろで山の神様に入山のお願いをしました。
 その木は森の周辺に育った「壁木(かべぎ)」。壁木は、中の森を守るように立っていました。前は道。右、左、後ろには杉の木が林立しています。この日のために、数本を枝打ちしてありました。枝は南向きに出ていました。「風を受けて強く生きて来た木。この方位のまま立てよう!」きっと、沖縄の台風から守ってくれる!と思いました。

 本来、山の木はたっていた場所と同じ使い方をすれば、木を活かせるといいます。南側の木は強いから構造材に、谷の木は弱くて節が少ないので造作材に、という具合です。心柱は家の中央にたてるので、森の真ん中にある木の方がいいのかもしれません。しかし、沖縄では台風の常襲地帯。左巻きの台風が本島西側(左)を通過するときは、台風の目に周辺の空気が吸い込まれ、南の強風が当たります。これに対応するには、南向きの風に対応して育った木が心柱に有効と、考えました。本島東側(右)を通過する場合、吸引力風の出口なのでは風力は幾分弱まっています。だから、南風対応を優先することにしました。

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【持っているチェンソーの中で一番長いチェンソーでしか伐れない、とおっしゃる空師の黒木様。】

 案の定、空師は「強い分、癖も強い。逆に使ったら大変!」と釘を刺されました。「ちょうど今の時期、水(成長)が止まった。伐るには一番いい時期」ともおっしゃいました。

 私は生きものであるこの木に「ごめんね。」と心で話しかけました「きっと、また沖縄でこれまでの数倍長生きてもらいたい。そのために、君(ボクと生きてきた年齢がほぼ同じなのでこの言い方)の癖を最大限生かすから・・・」と。

 この木を数日中に、皮をむき、熊本県の人吉市に運びます。そこで大工の棟梁が墨付けし、手加工して「心柱」になります。なにせ、自然のままの南向きの枝付きですので、墨付けや刻み加工、移動、運搬は大変です。約3トンもある心柱。鎮座するする日が、楽しみです!

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【綾杉の森の上流には、照葉樹林が・・・。聖域はちゃんと残している。黒木様が代表の会社名も「照葉林業」。】


コメント・・・

 どこを切っても同じ強度のコンクリートや鉄骨、鉄筋とは訳が違う。年輪(年齢)や癖など、科学的に計算できない部分を加味して造る木造建築は、RC造とは比べ物にならないほどの洞察力と技術が必要。だから、奥が深い。 
 ただ、木造といっても名ばかりで、本来の木の性格や癖(燃えない木や虫の来ない木、腐れない木など)を化学力により削ぎ落とし、さらにプレカットによる機械加工で寸法だけで組む現代の軸組工法は「木造」とは言い難い。2×4工法や丸太組(ログハウス)などは論外。

 数千年の歴史を持つ日本の伝統構法には木の文化、木の技術、そして「木のこころ」が宿っている。理解ある人のみでいいから、日本人が造る日本人の住まいをほんの少しずつ建てていきたい。

付録・・・

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【行き道、毎月、無農薬米を届けていただいている南阿蘇村の下田様の田んぼを見学。「川の水は使わない。川が既に汚染されているから・・」徹底した無農薬栽培。阿蘇五岳を臨む棚田は健康そのものだった。】

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【近くには、白川水源。コンコンと砂を巻きながら水が湧く。】

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【着いた日の気温は摂氏1度。溶結凝灰岩を通って湧く地下水は、まろやか。】

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【こちらは綾町の無農薬野菜畑。少量多種がモットーとおっしゃる「綾・早川農縁」の早川ゆり様。さまざまな野菜が元気に育っていた。雑草取りもみんな手仕事。「無農薬野菜は、体を浄化します!」ともおっしゃっていました。】

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【出された昼食。安全でヘルシー。とてもおいしくいただきました。】


訂正・・・

前のブログで「住環境フォーラム」のご案内を致しましたが、メールアドレス、携帯電話番号が間違っていました。訂正します。

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posted by 塾長 at 09:43| 建築