2016年12月19日

第29回 冬のきたなか林間学校中止のお知らせと近況

12月23日〜25日に予定していた冬の林間学校を中止することにしました。
理由は、現在自宅兼環境教育施設「ぬちゆるやー」の周辺で排水路工事が行われています。敷地の前の村道は完了し、供用(開通)しましたが、同時に裏山に通じる農道にも排水路も工事中です。

工期は22日までだと役場から聞いていますが、残り3日がすべて雨天でないことが条件です。しかし、今日現在の週間予報だと21日(水)、22日(木)が80%、60%の確率で雨となっています。

排水路は農道を横断するため現在も通行止めになっています。この農道の先に平成の名水百選のひとつ「タチガー」があります。またその先に無農薬の畑と牧場があります。

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【農道入り口の立て看板】

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【農道を横断する排水路工事(12月19日(月)午後5時30分現在)】

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【あと二日で開通するとは考えられないと判断しました。】

従いまして、開通できないと、
1、 二日目早朝予定の湧き水による洗たくができない。
2、 無農薬野菜への追肥(馬ふんのたい肥)がリヤカーで運べない。
3、 かまどづくり用の石がリヤカーで運べない。
4、 無農薬野菜畑での作業(水まき・間引きなど)に必要な道具がリヤカーで運べない。

など、活動に支障が出るばかりでなく、工事車両等が動き危険なため、中止の判断をしました。

炭焼きのテストやリヤカーの購入、無農薬畑の管理なども終えていますが、ここは子どもたちの安全を最優先し、まことに残念ではありますが「中止」する決断をしました。どうぞ、ご理解いただきますよう、お願い申し上げます。

追って、次の林間学校の計画を発表いたします。

さて、わが家の近況を写真でお知らせいたします。
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【農道入り口にあった旧排水溝のマス。無造作に解体工事が進みなか、生きものの棲み家や逃げ場所になっているのでは?と思い、手を入れて生きものを探しました。】

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【やっぱりいました。この地の先住者・モクズガニ。】

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【テナガエビも・・・。】

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【北谷町から上ってきたアヤヨシノボリ。土木の設計・施工に「野生動植物の尊重」の視点が欠けているように思います。見つけた生きものはすべて湧き水が流れる側溝に戻しました。】

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【無農薬の畑に水をあげる第八子・こだまこ(2歳)。】

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【炭焼き用のマキ割り】

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【一斗缶による炭焼きも実施。窯の中の温度を測ります。280℃を超えると炭化が始まります。】

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【マメにも花が咲きました。】

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【トマトには実がつきました。】

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【第七子・万然はリハビリで頑張っております。】
posted by 塾長 at 18:05| 林間学校

2016年12月04日

第29回きたなか林間学校開催のご案内

 今回で29回目を迎えるきたなか林間学校を、来る12月23日(金・天皇誕生日)〜25日(日)まで2泊3日で開催いたします。案内チラシを添付いたします。

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【新聞でも公募いたします。】

 今回は多分これが最後と思われる第九子の胎盤(冷凍保温で保存)を見てもらい、胎児の時から汚染されない命の大切さ、自然の尊さを学ぶほか、被災時の熱源・明かりの確保を目的とした木炭・竹炭づくりを行います。

 無農薬で育つ野菜の手入れや馬ふんのたい肥の追肥も実施する予定です。快適便利な社会が続くなか、子どもだけではなく、大人も環境倫理がマヒしてきているように思います。

 人間がいなけりゃ自然は破壊されません。きたなか林間学校の目的は人格形成。環境教育はそれを達成するための手段だと考えています。人間が自然と共生する考え方を身に着ければ加減の分かる人が増え、自然との共存共栄が実現可能になるだけでなく、事件・事故も減少していくと確信しています。

 最近の家族の様子をアップします。

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【無農薬栽培の野菜も育ちつつあります。自然に合わせた育て方は、子育てに通じます。面倒な手作業が多い分、愛情伝わり、育つ側育てる側も強く、優しくなります。】

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【学校の休みの間に行う畑仕事。合間に芋を焼きました。初めての体験に2歳の「こだまこ」は、興味津々。】

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【上の兄弟5人が通う合気道道場。練習の最後は相手になってくれた全員にそれぞれお礼のあいさつをします。このときを待っていたかのように、「こだまこ」もお辞儀をして畳にあがり、丁寧なお辞儀を繰り返します。】

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【出番を待つぼくねん式炭焼きがま】


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【次女(中2)は中学校の女子ソフトボール部に入部。先日、試合をみんなで見に行きました。今日(12月4日)も朝から試合といって出かけました。バッターボックスでボールを待つ亜和(あや)。】

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【「いない、いない、ばぁー」と言って、第九子・「わかみこ」をエサ上げの時あやす「こだまこ」。2歳でもお姉ちゃんぶりを発揮しています。】
posted by 塾長 at 10:03| 林間学校

2016年07月12日

第28回きたなか林間学校のご案内 ほか

 春の林間学校は、第九子「わかみこ」の誕生などが重なって中止しました。28回目を迎える次回の林間学校は8月5日(金)〜8月7日(日)に開催することになりました。【2泊3日】

 今回のテーマや大まかな活動は下記の案内チラシを参考にしてください。新聞等にも案内する予定ですが、準備に参加者が慌てることがないよう、先にHPで案内します。
(チラシが必要な方は、ご連絡ください。郵送でお送りいたします。)

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【最近は環境教育は完全に手段になりました。やはり初期のように目的は「人格形成」です。近年の世相をみると、学歴主義が目立ちます。どんなに立派な職や立場に就いていても、相手を誹謗中傷しても平気な人が増えました。今回は我が家の相言葉でもある「一に手伝い、二に勉強!」を地でいきます。】

 さて、ブログの間隔が開きましたので、近況をご報告いたします。

 まず、万然のリハビリ。四肢が不自由なので、ついついふとんに寝たきりになることが増えます、しかしそれだと足が弱くなるばかりでなく、立つバランスが身に付かないので永遠に立てません。
 まったく動けなかった万然が最近は寝返りを左右に打つようになりました。そこで立位保持具を使って立つ練習をしようとリハビリの先生に勧められて始めました。
 ずっと、寝ている姿か抱いている姿しかイメージがなかったので、初めて保持具に寄りかかっている万然を見たときは目を疑いました。
 「ウォー、立っている!」と錯覚したからです。まだ目も見えない状態が続きますが、家族の愛情で保持具がなくても立てるよう頑張ってみます。

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【立位保持具に寄りかかる万然。頑張ってよー!】

 また、先月3人が通う北中城小学校で日曜授業参観がありました。授業参観は子どもの態度や学校の様子が分かって貴重な機会ですが、障がい児のいる家庭としてはおっくうでした。なぜなら、障がい者用の駐車場がないからです。特に雨の日は遠くの駐車場から濡れていかねばなりません。そこで、新しく入れ替わった校長・教頭先生に電話で要望していました。
 「商売目的のコンビニにだって障がい者駐車場があります。」
 「小学校は公共施設。せめて授業参観日だけでも設置してくれませんか?」と。
 これまでも要望し続けていましたが、何年かかってもダメでした。ところが今度は対応してくれました。

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【やっとできた障がい者駐車場。私たちだけでなく、ほかの人たちも喜ぶと思います。できれば簡易の屋根が欲しいところです。】

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【3階建ての校舎。エレベーターはないので、給食用の荷物専用のリフト(エレベータ)に乗りました。何かむなしく、つらいものを感じました。帰りは、みんなで階段をバギーに乗せたまま降りました。中学校が改築するようですが、荷物と人が一緒に乗れる昇降機などの配慮がなされているのか、不安です。】

 いろいろ問題が山積する社会ですが、心安らぐときもあります。それは自然とのふれあいです。このところ朝から「ピー、ヒョロロロ」となくアカショウビン。一度、浴室に舞い込んだことがありますが、普段は警戒心が強く、姿を見ることはありません。ところが、先日、その風呂場の近くで鳴き声が聞こえたので急いで、カメラを取りに行き、声のする方にレンズを向けました。夕方で薄暗く、思ったより遠かったのでよく映っていませんが、「アカショウビン」を撮りました。

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【サンコウチョウと一緒でとてもきれいな鳥です。サンコウチョウも時々来ます。】

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【これは木のベランダの中に育つクワの木に来たキノボリトカゲ。食事中、目の前で天然記念物が見れるので、いかに自然のなかで暮らしているかという証拠。】

 仕事の方は那覇市首里崎山町の現場に毎日のように通っています。最近の状況を写真でお知らせします。

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【縁側兼用の玄関。外壁の左官工事はまだですが、外観が仕上がってきました。引き分けの雨戸と井桁(いげた)の格子戸。格子戸は総ヒノキ造り。】

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【格子戸の先は無双付きのガラス戸。マス状のはめ込みガラスは1枚ずつ曇りガラスのふちを磨いて透明にしてあります。格子戸や面取りガラスは、向こう側が見えそうで見えない日本独自の「透かし文化」です。床は10センチ角のヒノキのスノコ、天井は写真では見えませんが、杉の格天井(ごうてんじょう)になっています。】

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【床高は地盤面から1.5m上がる高床式。床下の換気は高さが30cmもあります。板張りの居間から40cm上がったところにある和室。中央は心柱。障子は中2枚の雪見。畳を入れた後の完成が楽しみです。】

 林間学校に話題を戻すと、今回、田んぼのアゼづくりを計画しています。そのとき使う土留め用の矢板が着きました。

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【工事で使った木の矢板の再利用です。これに自然由来の固化材を土と混ぜて固めます。沖縄では初めての実験です。】

 最後に、1週間ほど前に見た夕焼けを披露します。自宅の茶の間から見えた風景です。

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【奥に見えるのは東シナ海です。毎日がドラマです。】
posted by 塾長 at 07:41| 林間学校

2015年08月11日

第27回きたなか林間学校 速報!

 平成27年8月8日から始めた第27回きたなか林間学校を昨日(10日)、無事終了しました。記録書の発刊まで時間を要しますので、速報にて活動概要を報告いたします。詳細は、年度末に発刊予定の記録書に掲載いたします。

 さて、今回も「活動は生活の延長」といえども、さまざまな出来事がありました。言い変えれば、それほど我が家は多様で変化に富む刺激的な暮らしなのかも知れません。
 今回は「自然から学ぶ節度・ふん別・おもいやり」〜戦後おいてけぼりにされた人格教育〜、がテーマでした。

 早朝講話、最終講話で強調したのは、戦後の日本人が忘れかけたおもいやりの取戻し。自由をはき違え、権利主張がはびこる現代は、自己中心、人間中心のわがままな社会に変貌しています。虐待やいじめをはじめ、想像を絶する悲惨な事件が毎日のように報道され、感覚がマヒして驚きが鈍るほど増えました。
 原因は、思いやりや節度・ふんべつの気持ちが薄れたことだと思っています。裏には戦後、おいてけぼりにされた人格・道徳教育があります。日本は防衛力をかつての敵であったアメリカに依存し、ひたすら戦後復興・経済成長にまい進しました。しかし、快適便利な暮らしを享受した一方で、心の空洞化が進み、日本人なら持ち合せていたわび、さび、しぶさ、おもいやりなどがすたれました。
 
 合理性を追求するようになった日本社会では、社会的弱者への対応や環境保全など法律的には充足したかのように映りますが、心は遠く離れている気がします。
 そこで、今回は日本の歴史や自然を通して、日本人を俯瞰し、悲惨な事件・自然災害への対応などの対応に周りの「自然」を取り入れることを提案しました。

なぜなら、「自然」の営みの中に、現代病を治す答えが(薬)があるからです。以下は、その活動内容です。

【初日】

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【釘一本使わない伝統建築の家で家庭の延長として活動開始。まずは受け入れる後藤家の子どもたちとの交流。自己紹介のあと、家族同様の動物たちを♪森の音楽会♪で紹介。8人の子どものうち7名参加して、ニワトリやアヒル、馬、キジ、ヤギ、カエル、番犬(担当は1歳半のこだまこでしたが、これは不発)の鳴き声を入れた歌で歓迎しました。】

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【最終日まで使うマイコップをモウソウチクで作りました。全員が完成したあと冷水を入れて「カンパーイ!」まだ緊張感は残っていますが、達成感もあるようで、乾いたのどは竹の香りのする水で潤ったようです。この時、ソウメン流し用の竹樋や箸、名札、たかんぽ(竹の飯ごう)も作りました。ノコギリや小刀、ナタ、キリなどの鋭利な刃物も使いました。大人になるまで経験しておく要素のひとつです。】
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【かまどづくりと火吹き。非常の際はるものを生かすしかありません。かまどは拾ってきた石。タキギは森の中や建築廃材。たきつけは新聞紙10枚。雨が降っても火を絶やさないのが原則。空気(酸素)を送る火吹き棒も竹で作りました。竹の中の水がこぼれないよう、石が安定するようセットします。大きな石だけは石橋も石垣も作れない話をし、かまどの石の周りも小さな石や土を組み合わせました。人間社会も同じです。】

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【約1時間。竹の中のお米がご飯になるまでには、火加減が大切。強すぎても弱くてもできません。コップも飯ごうもみんな生きた竹。竹を思う気持ちを大事にし、感謝する心。。「モノにも命あり」。電気釜のスイッチオンとは違います。3つの飯ごうのなかは竹の香りのするご飯に変わっていました。大成功!煙に巻かれて苦労した夕食作り。その分、「おいしかった!」。】

【二日目】

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【午前5時30分、起床。早朝講話。外は昨夜から雨。雨の大事さ、自然に逆らわない生き方、自然の恵みと脅威は紙一重(火山の爆発と温泉、眺望の良さとがけ崩れなど)、地震、大雨、台風、津波などの自然現象には必ず前兆があること(それに気づく感性を養うこと)などを話しました。】
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【そのあと、雨の中、平成の名水百選のひとつ、タチガーで洗たくするためヤギや馬、番犬と一緒に出掛ける。】

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【手綱(たづな)を放すと、牧場の中を全力で走り回るゲン。野生味の一端を見る。馬には馬の、アヒルにはアヒルの世界があることを知ります。】

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【下流や洗たくするすぐ下の人に配慮して水を使う日本の水文化を紹介。特に田んぼにひく水はみんなが使って回すため汚さない暗黙のルールがあることを話しました(おもいやりの気持ち)。すぐ近くに我田引水の田んぼがあって、かえって話しやすかった?また、洗たく場のわきに建立したお地蔵さん(水神さん)にきれいな水がで続きますようお祈りもしました。】

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【協力して「絞る」。電気洗たくではない苦労と楽しさに加え、協力することの大切さを学びます。】

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【天然水を飲む。カルキ(塩素)消毒していないため、水道水と違う味。「おいしーい」】

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【宿舎に帰ったら、さっそく洗たくものを自分で干します。】

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【動物たちへのエサ上げのあと、馬ふんのたい肥作り。与那国馬のゲンのフンをたい肥小屋に持ち出します。「くさくなーい!」(草しか食べさせてないからね)なぜ、化学肥料が川や海を汚染するか、たい肥は効き目は遅いが環境を悪化させないのかお話をしました。】

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【馬ふんのバケツリレー。ここでも相手を思いやる気持ちを話しました。返事や掛け声もだんだんはっきりしてきました。協力のおかげで通常の半分の速さで片づけてしまいました。これには脱帽!バケツリレーは火事の初期消火にも活かせます。】

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【昼ごはんは自分たちで割り、節を取った竹の樋(とい)を使ってソーメン流し。坂の勾配に沿って流しました。ここでも下流の子を配慮した思いやりや、腹八分目の節度、ふんべつを学んだと思いました。】

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【草の玩具づくり。近くにあったクロツグの葉を使って、バッタを作ります。このような素朴な地域文化は、きっと海外に行って何気なく作って見せたら、外国人は日本の文化に目を見張ることでしょう。】

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【合間を縫って子どもの一部は屋根の上に登り、クワの実をゲット。みんなの分も採ってくれました。鳥の分は残しました。これも野生動物への思いやり。】

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【「ぬちゆるやー一周リレー」。自宅兼環境教育施設「ぬちゆるやー」の周りの道、約800メートルを6人のメンバーで走りつなぐリレー。バトンは火吹きの竹。男組、女組、後藤家それぞれ6名、計18名が参加。どのグループにも1年生や2年生がいます。教えたのは「思いやり」。決まった距離でバトンを渡さず、能力に合わせてバトン位置は異なっていい。登りも下りもある。作戦会議のあとスタート!】

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【競争もたまには必要。しかし、結果はどうでも良かった。(接戦の末、後藤家・男組・女組の順でゴール。やりたかったリレー(起伏のある山道を走るクロスカントリーに近い)をケガなく終えてみんなで「万歳!」。ところが学校では教えないのか、参加した子どもたちは「負けましたー」のサイン。万歳は「気を付け」の姿勢からそのまま両手を上げるの正式な形です。改めて「バンザーイ!】

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【自由時間。木に掛けたロープでブランコ。】

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【阿蘇産コシヒカリの完全無農薬の種籾(タネもみ)を塩水に入れて分けてます。実が詰まっている種籾は沈みます。沈んだ籾種を水洗いし、60度のお湯に5分間ほど浸けた後、冷水に浸します。本日はここまで。今日(12日)わずかながら芽と根が出てきています。そろったら苗床に移す予定です。】

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【ぬちゆるやーの周りでの野草教室。まず、野草という名の草はない(みんな名前を持っている)こと、基本的には観察(採らない。食事用に採っても必要な分とし根は残す(節度・ふんべつ・種の保全)、人・馬・ニワトリ・アヒル・ウサギなどそれぞれにとって食べられる草、食べられない草の判別、薬になる草の種類などを学びました。観察した野草のうち、シマツユクサ・アワユキセンダングサ・オオタニワタリを天ぷらにしていただきました。(非常食の参考と生きている野草の命への感謝)】

【最終日】

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【前日と役割分担。この日は男組はニワトリ・アヒルへのエサ上げ。それぞれの動物たちの気持ちに沿って世話をします。】

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【中と外に分かれて掃除。「来た時よりも。美しくなりました。(心も・・・)】

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【発表会。発表能力も大切です。直前に「塾長講話」。2泊3日で一番印象に残ったことを上げてもらいました。煙に巻かれて頑張って作ったたかんぽご飯、野草教室、エサ上げ、クワの実採り、流しソーメン、コップづくり、ソーメン流し、リレー(?)など、感受性は子どもたちにとってそれぞれでした。ただ、共通して説いたのは、「思いやり」や「節度」でした。】

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【恒例の「エイ、エイ、オーッ!」。来たときの5倍は元気な声に変わっていました。】

 以上が、主な活動のご報告です。参加した人は分かっていますが、この間、迷い子猫事件やホームシック騒動など予定外のこともありました。しかし、迷い子猫を例にとって、「親離れ」・「子離れ」の話ができ、2〜3名のさみしがり屋さんは何とかハードルを越えました。誰でもいつかは親と離れて自立しなければなりません。いいきっかけになったと思います。

 人生の中で、「将来(今)、何をしたいのか!」、「自分は何ができるのか!」「そのために何が不足しているのか!」を自分自身に問うことが必ず出てきます。塾長講話の最後に子どもたちに言いました。「答え(ヒント)は自然の中にある!」と・・・。

 悩むことがあったら「それは自然か、不自然か?」、自分の考え方と自然に向き合うとおのずと答えは出てきます。なぜなら、人間も自然の一動物だからです。我が家では毎回の食事前には子どもたちが主導して計画や報告をする全員ミーティングを開きます。
 どうぞ、社会の最小単位である家族で会話を増やし、小さくても別人格を持つ子どもたちに責任ある行動をさせたうえで見守る寛大な子育てをされることを希望して、第27回のきたなか林間学校のまとめとします。
(急いでアップしましたので、誤字・脱字があると思いますが、ご了承願います)
posted by 塾長 at 12:11| 林間学校

2015年07月17日

 「夏のきたなか林間学校」第27回のご案内

夏休み恒例となりました林間学校を、下記の日程、内容で開催いたします。

「きたなか林間学校」は、単に生きものの名前を覚えたり、採集するのが目的ではありません。
また、原始的な暮らしを体験することでもありません。
目的は、自然の営みや自然の生きものや家畜、家きんなど人間以外の生きものの生態を知り、人間性を高めることです。

言葉の通じない生きものたちにどのようにして意志を通じ合わせるのか、平穏な社会形成を考える上でも、大変重要なことです。
幸い日本には変化に富んだ四季があり、侘びや寂び、「渋さ」・「粋」など、西洋では理解できない概念を持ち合わせています。

複雑多様、刺激的でおおらかな日本の自然に対応した暮らしぶりを見直し、青少年期に必要な素養を2泊3日の林間学校で育みます。

自立を促すため、参加は基本的に個人です。自宅を一部開放し、家庭的な雰囲気で行いますので、どうぞ初めての子どもたちも安心してご参加ください。(先着順)

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                    【案内チラシ】


春の林間学校・・・その後

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【生きた水があるので、カエルが産卵しました。6月からカエルの合唱が夜は続いています。】

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【ずいぶん、成長しました、これは稲の花。】

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【春の林間学校では、与那国馬の「げん」の糞を使ってみんなで「たい肥づくり」をしました。その後、完熟・分解した馬ふんのたい肥を田んぼにわが子たちが追肥しました。水と栄養、太陽に加えて、「愛情」も欠かせません。】

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【田んぼには、カエルだけではありません。多くの生きものが共生します。これはトノサマバッタの幼虫。】

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【7月に入って稲穂に実が付き始めました。夏の林間学校までに、どのくらい頭(こうべ)を垂れるか、楽しみです。】

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【4月末の苗床づくりから7月までの間に、さまざまな出来事がありました。アヒルは一羽で24羽の子を孵しました。夜はカエルの合唱、朝はアヒルの子の合唱。この子たち以外にもたくさんのアヒルの子が誕生しましたが、台風のストレスや自然の営みの中でウサギや金魚など、多くの命が去っていきました。】

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タケノコ.JPG


【7月10日に来た台風9号は、予想に反して強大でした。多くの水きんや野生動植物に被害は出ましたが、一方では裏の竹が文字通り「雨後の竹の子」として顔を出しました。そのうち、2本をいただいてタケノコをご飯とみそ汁に入れて食べました。ごめんね、ごちそう様。第八子の「こだまこ」もやっと立てるようになりました。また四肢・視覚に障がいをもつ第七子の「万然」も奇跡的に寝返りを打つようになり、家族全員、大変喜んでいます。】

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【6月、新しい家族が増えました。ヤギが2匹。オスとメスです。なるべく自由に育てたいと思っています。】
posted by 塾長 at 10:31| 林間学校

2015年04月28日

第26回 きたなか林間学校活動 速報!

 一昨日の4月26日(日)午後3時過ぎに、第26回の林間学校を終えました。最終的にはいつもの通り、記録書を出版いたしますが、取り急ぎ、速報をお伝えいたします。

 第26回目となる「春のきたなか林間学校」が、終了しました。今回のテーマは、「日本の自然・文化で育つやさしい心」でした。今回は特に、稲の苗づくりに焦点を合わせました。
「百姓は百の技をがいる」とか、「米という字は八十八の手間がかかる意味」などと言われています。農業は稲作だけではありませんが、日本人の主食であるご飯になるお米が、どのようにして育てられるのか、農薬や化学肥料をかけずにはどのような注意が必要なのかを、林間学校を通して学習することにしました。
かつて熊本県人吉市矢岳町で無農薬の稲作を3年したことがあります。沖縄に来ても稲作を一度しました。しかし、いづれもいただいた苗を田植えするところからの経験でした。

 「田づくりより、畔(あぜ)づくり」
以前はかつて田んぼだった休耕田をお借りしたので、畔はありました。近くの湧き水を引き込みますが、冷たすぎるので別な畔を通したあと、田んぼに入る工夫がされていました。
水稲の場合、溜めた水が畔から抜けたら稲は育ちません。畔が崩れないようしっかり畔作りをします。また、畔をネズミやモグラから守るための畔づくりは重要なお百姓の仕事のひとつです。土壌が豊かだとその分、ミミズなどの土中の小動物が生息します。これを食べにモグラが来て畔に穴をあけるのを監視したり、曼珠沙華(彼岸花)を植えて忌避させる日本人の知恵もあります。

 「苗半作」
 また、苗は田植えするまで丈夫に育たなければなりません。その後の成長に大きな影響を与えるからです。なんとなく、人間の子育てに似ていると思います。
 昔から「苗半作」といって、苗がうまくできると、作物の半分はできたも同然という意味。とくに、この苗床づくりには神経を使いました。

 以下に、林間学校の苗床づくりを中心に速報をお伝えいたします。(場所の関係で、活動の時間帯が順番と前後しているところがあります)

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【塩水に浸けて中身の入った重い種もみを選別します。(塩水選)塩水の比重は1.13くらい(1.07〜1.17の間)。生まれたばかりの烏骨鶏(うこっけい)の卵を使い、約55度傾くくらいに浮いた状態で選別。阿蘇から届いた無農薬米の種もみでは、ほとんど沈みました。立派な種もみです。】

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【塩分を取り除くために水洗いをしたのち、約60度のお湯に種もみを入れ消毒します。その後、冷たい水で冷やします。その後、濡れた種もみを天日で乾燥させます】

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【種もみのアップ。4日間25度の真水につけておいた種もみ。ふっくらと鳩胸のように膨らみました。白い突起物が見えます。葉の芽と根の芽です。発芽の前兆です。】

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【ちょっといっぷく1;塩分濃度に使った卵にひびが入ったため、急きょ、卵を食べることに・・・。「いただきまーす!」感想は?「命いただきました!おいしかったです」・・・その後、彼は一層元気になりました。】

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【苗床づくり:4ミリ目の網でふるいます。ふるわれた赤土(島尻マージ)を苗床箱に入れ、ならします。そのあと水を十分与え、種もみをまき、上から覆土(ふくど)を軽くかけました。】

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 【あらかじめ作っておいた苗床(なえしろ)小屋に運び入れます。】

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【アヒルが入らぬよう、野鳥が食べに来ないよう、そして急激に明るくならないよう配慮した苗床小屋】

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【4日前入れていた苗床を取出し。そこには、しっかりと土に根付き、天を仰ぐ芽が勢いよく出ていました。心がキュンとなりました。】

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【最新情報;今日(4月28日午前10時時点の苗の様子です。露をいっぱいつけたみずみずしい稲が見事に育ち始めました。】

 以上が、苗床関係の写真ですが、やっぱり百の技、百の苦労があると思いました。これからも大変ですが、自然の恵みをいっぱいいただきながら、自然の猛威とも共存する無農薬米を猫の額ほど田んぼで実験したいと思っています。

 その他の活動を、写真で紹介します。

エサ上げ.JPG


【エサ上げ。後藤家の日課。人間より先に飼っている生きものにエサを上げる。言葉が通じなくても、気持ちをつなげるのが目的】

エサ運び.JPG


【馬のエサになる草を刈ったあと、かまどにする石を拾ってリヤカーで運びました。】

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【エサ上げの時、偶然にもアヒルの卵が孵(かえ)りました。まだ濡れていたので、孵化直後です。】

裏山の竹.JPG


【裏の畑にある竹。さまざまなものに使うために切りました。「ごめんなさい」と声かけて・・・】

竹きり.JPG


竹のコップ.JPG


【竹を切って、まずは自分のコップを自由に作る。「日本のノコギリは引く時に切れるよ!体の中心がノコギリの中心。」だれかが「かぐや姫がいるかも・・・」。竹の中はそのくらい神聖なところでした!竹の水を飲んだ感想を聞いたら「自然の味がした」と言っている子がいました。】

たい肥入れ.JPG


【田んぼに馬ふんのたい肥を運び入れる。バケツリレーで声掛けあって・・・】

冷やしうどん.JPG


【昼食は冷やしうどん。作ったマイ竹コップ、マイはし、竹の皿を使っていただきます。非常のときは、あるものを生かすしかないことを覚えます。】

クワの実.JPG


【ちょっといっっぷく2;休憩時間に桑の実を採って食べる子どもたち。危険と楽しみは隣り合わせ。】

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【夜は石のかまどに山から拾ってきた古木などをタキギにして火をおこし、ご飯はハガマ、汁物はシンメ―ナーベを使って煮炊きをしました。火吹き棒はもちろん竹筒。】

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【ちょっといっぷく3;桜もち。敷地内に育つ桜の葉をいただいて「桜もち」をたべました。】

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【野草教室;敷地の周りで学習。そのうち野草てんぷらに使わせてもらった草は、クワの葉、オオバコ、セリ、アワユキセンダングサ、ムラサキカタバミの花、ヨモギなどです。】

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【自然とともにある日本の生活文化を今後も取り入れ、相手を思いやる心が稲の苗のように育てば幸いです。】

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【付録;曼珠沙華(まんじゅしゃげ)の球根を畔(あぜ)植える子どもたち。】

【畔は道のはじまり。道路のミチのチは漢語の「路」に発語の「ミ」が加わったもの。道と町は同じルーツ。町は間路(まち)の義で田間の路は畦畔(あぜくろ)のこと。間路(まち)は無主の通路で現代の道路につながります町(まち)はその後「市」(いち)につながります。無主の通路に咲く彼岸花の球根には毒があるのでモグラが寄り付きません。また、年数回の草刈りの時には球根のままで栄養を取り、稲刈り前の最後の畔の草刈りが終わるころ、花を咲かせます。葉と花の時期がまったく重ならないため「葉知らず、花知らず」といわれる不思議な花です。今年の秋に、曼珠沙華の花をつけた畔を見たいものです。】

posted by 塾長 at 21:38| 林間学校

2015年03月22日

「春のきたなか林間学校」のご案内

 下記の通り、林間学校を平成27年4月25日から1泊2日で開催いたします。新聞での公募は4月9日ごろになると思われますが、HP上で先にご案内いたします。

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 なお、前回(第25回)の林間学校の記録書は、3月末〜4月上旬に発刊いたします。参加者の家庭には無料にて送付いたします。今回も国立国会図書館や沖縄県立図書館等にも寄贈する予定です。

 
posted by 塾長 at 15:40| 林間学校

2014年08月05日

「タカンポごはん」の写真追加

 第25回きたなか林間学校の速報記事の中で、「タカンポごはん」の写真が抜けていましたので、掲載します。写真説明も再掲します。

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【ご飯は竹の飯ごうで炊きました。熊本では「タカンポごはん」。非常時の際、器がない時はあるもので代用することの実証。カマドは琉球石灰岩。タキギも自分たちで調達。雨の中でも新聞紙10枚で火をおこしました。ただ、火加減が大変重要。きったばかりの孟宗竹(もうそうちく)だから、水分を沢山含むので炊けるのです。天然の火はむずかしい?煙にも巻かれ、4時間後やっとご飯にありつくが、「苦労した分おいしかった!」という感想文もありました。
今回は各6合のタカンポごはん、大成功でした。竹の香りがしたのか、お腹がすいていたのか、完食でした。】
posted by 塾長 at 23:16| 林間学校

日本のすばらしさに気づいた子どもたち!

 節目となる第25回目の林間学校が終了しました。浦添市の環境教育(3年間)やグループの参加などを入れると50回を超えていると思われます。

 今回のテーマは「かえろう、日本人の自然観、日本人の心」でした。きたなか林間学校は私たち家族の暮らしの延長線上にあります。普段の暮らしが教材なので、肩を張ることがなく、無理もありません。

 速報なので、活動の写真を中心にお伝えします。全体を総括すると、活動や講話を通して「日本や日本人のよいところに気づいてくれたこと」が一番の収穫でした。
 「日本に生まれてよかった!」「日本人で良かった!」という感想文が、たくさん残されました。
始めて参加した子どもの親御さんが帰りの迎えに来られた時、「(参加する前より)生き生きしている!」と思わず放たれた言葉がすべてを集約しています。

 いまこそ、将来の日本を背負う人々に必要なのは、日本を誇りに思うことや、日本の文化を残すことです。戦後の教育や社会システムにほころびが多々顕在化し始めました。

 「人間性が一番、成績がよければなお良い子どもたち」を今後も育てたいと考えています。(詳しくは、(小冊子(記録書)、来年3月発刊予定)に掲載します)

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【台風12号は沖縄から去りつつありましたが、午後になっても雨は残りました。状況を見て竹コップ作りや流しソーメンの樋(とい)、タカンポ(竹の飯ごう)作りは作業中に刃物がすべる危険があるため後回しに・・。先に、かまどに使う石を探しに裏山まで行きました。
参加者の一部や、後援依頼先(今はしていません)村や村の教育委員会などは事細かなスケジュールを要求しますが、自然を相手の活動を知らない人たちです。自然は変化します。自然の変化に対応して状況を判断し計画を変更することは当たり前の話です。危機管理の能力にも影響が出ます。】

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【竹で作ったマイコップに水をそそぎ、「ゴクン!」と飲む子どもたち。自分で作った水の味は格別。大切に使って欲しい。】

【ご飯は竹の飯ごうで炊きました。熊本では「タカンポごはん」。器がない時はあるもので代用します。火加減が大変重要。きったばかりの孟宗竹(もうそうちく)だから、うまく炊けます。天然の火はむずかしい?煙にも巻かれ、4時間後やっとご飯にありつくが、「苦労した分おいしかった!」という感想文もありました。
今回は各6合のタカンポごはん、大成功でした。竹の香りがしたのか、完食でした。】

洗たく1.JPG


人も飲む.JPG


【湧水を使って朝から洗たく。下流の人たちや野生動物のことを考え、水を汚さないようにします。湧水を手に取って飲む子も・・・。感想は「うまい!」。そうでしょう!塩素消毒をしていない天然水だからです。(水質検査はしています)】

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【同行した与那国馬の「ゲン」も飲みます。湧水や川の水は農家だけのためにあるのではありません。みんなで守り、みんなで使う水。だから、身勝手に汚したり、使いすぎたりするのは、日本人の道徳から外れます。】

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【牧場作りに向かう子どもたち。リヤカーには道具がいっぱい。子どもたちが押す、犬も引っ張る?】

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【今回メインのまき場づくり。いつも狭い小屋に入っているか、手綱に縛られているかのゲン。もともと野生の馬。少しは広いところで過ごして欲しい。ヒノキの丸太を使った牧場のサクを作ります。「重いよー!」。わかっている。だけど、我慢してやり通す。】

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【まさに、放生会(ほうじょうえ)。手綱を放し、牧場に入ると、ぬたった(寝転がった)あと、勢いよく走り始めたゲン。あっけにとられる子どもたち。子どもたちも同じ。兼ね備えている野生力(サバイバルアビリティ)を時には発揮すべきです。あまり抑え過ぎると、爆発(事件を起こす)可能性があります。牧場から学ぶこともありました。】

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【完成を喜ぶ子どもたちと、馬の走り回れる喜びが、重なりました。エイ、エイ、オーッ!】

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【牧場作りの帰り道、偶然見つけた我が家のアヒルたち。生まれたばかりのヒナが10羽、側溝に落ちてお母さんが心配そうに見ています。拾い上げて親元に返したら、森に消えていきました。天敵が多い森。身の安全を案じながらも、小動物が這い上がれることができないような側溝を作る人間たちに反省を促したいと思います。】 

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【「まき場づくり、ごくろうさん!」。こっそり用意した冷えたスイカをサービス。さすがに美味しそうに食べてくれました。】

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【牧場作りのあとは、自分たちの棲み家作り「森の棲み家コンテスト」。合間を縫って遅い昼食は流しソーメン。前日、モウソウチクを半割りにして樋(とい)は作っていました。自分たちで作った竹のコップに竹のハシですくって入れます。この時も、下流に気を使うようしました。ただ食べるだけではありません。これは、ひとつの水文化です。】

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【右は右利き、左に左利きの子どもが背の順番で並んでいただきます。取りやすく、公平に・・・。】

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【子どもたちは、本来の野生力をだんだんよみがえらせてきました。作業の合間には、見つけた桑の実を採りに屋根に登り始めました。野鳥よりも早く・・・。】

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【最終日は第八子・「こだまこ」の胎盤を子どもたちに見せ、触れてもらいました。事前学習は早朝、パワーポイントを使って行っています。胎児の「関門」としての胎盤。水俣病は、メチル水銀が関所である胎盤を通過して発症したことも説明済みです。
これからは、天然物、新しい物(旬)、農薬がかかっていなものを口にするようにいいました。そうすることが我が身や胎児を守り、かつ、川下から食の生産・消費システムを変えることに繋がることも話をしています。】

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【野草教室。身近な野草に目を向けて、人、馬、ニワトリ、ウサギ、アヒルなどが食べられる、あるいは食べべてはいけない草の説明をしました。野草という名の草はありません。そしてみんな生きています。切るときは「ごめんなさい」、決して根っこまで採らない、節度を持って採ることなどを話しました。そして、食卓の野草天ぷらになったのは、ハイビスカス、ヨモギ、ドクダミ、センダングサでした。ごめんね、草の命に感謝です。】

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【恒例の発表会。「日本に生まれて良かった!」「日本人で良かった!」という感想文がたくさんあります。これからの日本を考えるために日本と西洋の国との違いをディスカッション方式で行いました。衣食住を見直すと、様々な違いがあることに気づいたようです。厳しい自然と向かい合う西洋と、穏やかで島国の日本とは自然観が全く異なります。奥深い日本の文化や和を尊しとする民族性は、きっと世界の平和に貢献していくと考えます。】

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【鳥居の前で「エイ、エイ、オーッ!」。自然を支配し、コントロールしようとする西洋の自然観は、厳しい自然が背景にあります。戦後の教育や暮らしに西洋文化は大きく影響しています。権利の主張ばかりで争いごとは絶えず、偉い人が破廉恥行為で事件を起こしたりします。お互い譲り合い、辛抱するところは辛抱して慎ましく暮らし、何の職業に就いても、自分のためだけではなく社会や地球のためになるような人になって欲しいと、一人ひとりに話しました。参加したみんな、期待しているよ!】
posted by 塾長 at 22:58| 林間学校

2014年06月09日

第25回「きたなか林間学校」のお知らせ!

みなさん、こんにちわ!

第25回目の「きたなか林間学校」を案内いたします。

 昨年は第八子・「こだまこ」の誕生(2月21日・自宅にて自然分娩)と前後する冬と春の林間学校を休止しました。

 「こだまこ」が低体重で入院(妻と一級の重度障害をもつ万然も同時入院)しましたが、その後は順調に育っているため、来る8月1日から3日までのスケジュールで開催する運びになりました。

 すでに数人の方々から参加・問い合わせをいただいていることから、新聞公募以前にこのHPでご案内をかけることにしました。

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                              【第25回「きたなか林間学校」のご案内チラシ】

 日程、内容をご検討の上、電話以外でのお申し込みはFAXとメールが可能です。
 FAX 098−935−2266
 Eメール nuchiyuruya@salsa.ocn.ne.jp

参加される子どもさんの氏名(ふりがな)、性別、生年月日(傷害保険加入に必要なため)、学校名、保護者名(ふりがな)、ご住所、お電話番号(自宅と緊急時のご連絡先電話番号)を列記願います。

 なお、参加以前のお問い合わせは、098−935−1363(自宅)までお願いいたします。

 どうぞ、送信の前に、送り先のFaxやEメールに間違いがないかどうか、再度ご確認ください。

 また、参加希望後のキャンセルにつきましては、3日前までは参加費用の全額をお返しいたします。それ以降は返金不可といたします。(傷害保険加入や食材、道具などの購入をはじめるからです)

 追伸:大変お待たせいたしました。第23回および第24回の「きたなか林間学校」の記録書を今月(6月)中に発刊いたします。内容はいつもの通り、塾長あいさつ、活動アルバム、参加者感想文、壁新聞などを掲載いたしております。参加された皆様には国立国会図書館、県立図書館などと一緒に、郵送でお送りいたします。取り急ぎ、表紙だけ掲載いたします。

以上

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                              【第23回「きたなか林間学校」記録書の表紙原稿】

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                               【第24回「きたなか林間学校」記録書の表紙原稿】
posted by 塾長 at 10:37| 林間学校

2013年08月16日

壁新聞!

  きたなか林間学校で、最後に作ったのは「壁新聞」です。今回も各班に分かれて作業しました。新聞タイトルも内容も班に任せました。

  出来上がった壁新聞はそれぞれとらえ方も表現も違います。ただ、小学2年生から中学2年生まで、全員参加です。

  評価はしません。子どもたちの独創性を楽しみました。自分で感じとったことを、今後暮らしの中で実践していってほしいと願っております。

  個人の感想文は、また別の日に一部紹介いたします。

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                                           【1班】

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                                           【2班】

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                                           【3班】

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                                           【4班】
                                  

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                                           【5班】

posted by 塾長 at 17:03| 林間学校

24回 夏のきたなか林間学校 速報!

 8月10日から2泊3日で開催した林間学校が、「無事」終了しましたので、速報として活動写真を中心にお知らせします。
 参加者は22名。「無事」といっても人間だけで、飼っていたヤギ2頭は、犬(たぶん近くのどこかで飼われている番犬)にかまれて亡くなったので、ヤギたちにとっては悲惨で不幸な日になりました。
 林間学校のプログラムに追われて、近くの野原から家のヤギ小屋に連れて帰るのを忘れた結果だと、大変申し訳なく、後悔しています。
 さぞかし怖くて痛かったろうと思います。番犬を離した飼い主も悪いですが、置き去りにした私にも責任があります。この事件のことは子どもたちに全部話し、みんなで考えました。以下は、これらを含めた活動報告です。

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【初日:定番になっている竹コップづくり。ノコギリや小刀などの刃物を使って作ります。竹はコップのほか、名札やハシ、今回はソーメン流しの樋(とい)も作りました。】

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【一人も落とさない。全員ができるまで待って、最後に冷たい水を注ぎ、「グイッ」と飲み干す。竹の香りをほのかに残す水の味はいかがだったでしょうか?】

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【ソーメン流し用の樋をつくる。「竹はコズエ(先っぽ)から、木は元(もと・根っこ)から」割ります。割るにはナタを使います。節が割れると「パン」と大きな音がします。】

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【割り終えたら、節を金づちで丁寧にとります。素麺がひっかからないためです。竹の中は「かぐや姫」が住むにふさわしいくらいきれいです。】

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【「野草教室」。目的は草の命の存在。採るときは「ごめんね!」。そして節度も持って必要以上にとらない、根っこは残す。】

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【今回は、夕食の「野草サラダ」用に、センダングサとハイビスカスをいただきました。】

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【夕食の準備。タキギは敷地内の山から集める。かまどの石もひろって組み合わせる。】

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【竹の飯ごう:たかんぽ飯は、3つとも見事に失敗。24回中、はじめて!孟宗竹の水分(火力でそこが燃えやすい)、ふたが大き過ぎた(水こぼれ)、ふたと器の隙間が大きい(蒸れにくい)、火加減、水加減などの原因が考えられます。】

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【人間という動物は、子育てに20年もかかる。その間に身体的には飢餓と寒冷、精神的には挫折と屈辱を体験する方がいい。その点、主食にありつけず空腹を経験した子どもたちは、きっといい大人になっていくでしょう。コチコチの御飯の下のわずかなふわふわご飯を求めてしゃもじ(スプーン)を入れる。】


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【二日目。朝4時50分起床。宿泊所の「ぬちゆるやー」近くのタチガーの湧水が少ないので、同じ名水百選のひとつでもある隣の集落:」大城(おおぐすく)にあるチブガーに、スタンプラリーを兼ねて出発。水がなければどこまでも・・・大城の自治会に相談して承諾はいただいていたが、貴重な水。洗たくの残り水は、周りの木や植物に与えた。カーの中のアメンボや藻、魚、ほかに使っている人たちのことなどに配慮し、雨が降らない自然現象には勝てない、ないものねだりせず、みんなであるものを分かち合うことが体得できたと思います。】

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【洗たくの指導。洗濯機にばかり頼っていると、手洗いや手絞りの要領さえ分からない。災害時などで電気が止まった時、思い出してほしい。】

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【帰ってきたら、ヤギが親子2頭とも食いちぎられて死んでいるのを発見。残酷な現実を向かい合う。みんなで天国に送った。やすらかに・・・】

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【一方では、新しい命の誕生も・・。アヒルの卵をニワトリとアヒルが温めて、この日2羽孵化した。天敵も多いけれど、なるべく長く生きてほしいと願った。】

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【現代は言われて動く家畜のような子どもたちが増えた。この子たちは、自ら馬のエサがないことに気づき、自分たちから自主的にススキの葉を刈りに出かけた。思いやりと行動力を持ち合わせた子どもたち。】

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【ソーメン流し。ただ、参加や招待されてソーメンを食べるのではない。自分たちで竹を割り、節を取って作った竹の樋の中を流れてくるソーメンを引き上げて食べるソーメンの味は格別だったはず。ソーメンをつかむハシも、器もみんな自家製です。下で待つの人のことを思いやることも知りました。】

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【クランダ―・ケン先生による「合気道」の講演と演武。他と闘わない合気道には試合はない。宇宙と合気する哲学を学び、和合の精神を演武と共に学びました。ケン先生と相手役の米須様、ありがとうございました。】

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【夕食は「だんごじる」。通常は放し飼いの烏骨鶏(うこっけい)をこしらえてダシにするが、この日の朝、図らずもかわいがっていたヤギが亡くなったので、ニワトリの命をいただくのは遠慮した。しかし、「とてもおいしい!」との声が聞こえた。】

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【最終日。早朝講話。昨日、誕生日を迎えた子どもがいたので、一日遅れになったが、みんなで歌を歌ってお祝いをした。この時、日本人は古来よりおなかの中の命をカウントし、年齢は正月元旦に家族みんなでお祝いすることを話しました。「・・・だから、明けまして(みんな一緒に年が取れておたがいに)おめでとう!というのですよ」。数え年の話のあと、生態系の中の人間として、何が行き過ぎているのか、なぜ自然が大切かということを、みんなで話し合いました。】

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【内外の掃除。来た時よりも美しく・・・。掃除は、自分の心の掃除です。】

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【発表会。みんなの前で活動で何を感じたか、今後どうするのかを中心に各自全員が発表。】

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【さぁ、最後はやっぱり「エイ、エイ」「オーッ」で別れ。自然に逆らわず、サルや鳥のように野性的に生きてください。】

次回更新時に、子どもたちが最後にグループごとにまとめた「壁新聞」と感想文の一部を紹介します。。取り急ぎ、写真にて報告いたします。
posted by 塾長 at 11:22| 林間学校

2013年08月06日

コンベンションのイベント(自由研究)で感じたこと!

 子どもたちが九州から帰沖して4日後の8月3日から「こども自由研究」のイベントに参加。3日・4日の2日間で2回、講演しました。
 
 しかし残念なことに、ステージ上に上がるのは、他の展示ブースに出展している企業等と同じ扱いでした。もともとコンベンション側からは、今回の自由研究のテーマは「暮らしと環境を考える」なので、ぜひ講演願いたい、ということでした。
 広い会場ですが、どこにも「暮らしと環境」という看板は見当たりません。そしてまた、たくさんのブースでもそれぞれが勝手に展示や工作をやっていて、主テーマを意識することはできませんでした。
 しかし私は、当初の依頼に応えるべく、暮らしに結びつく自由研究にしようと話しました。

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                         【会場になった沖縄コンベンションセンターの全景】

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【「おきなわ環境塾」のブース。資料もチラシもない。だからゴミもない簡素なブース。ただ、持参した林間学校活動を紹介するQABやRBCのニュース、ドキュメンタリー番組のDVDを熱心に見入る人もいた】


 
 「なぜ、自然が大切なの?〜家畜化する子どもたち〜」の講演には、23回目の林間学校に参加した子どもたちにもステージ上に上がってもらい、最後に完成させた壁新聞の説明をしてもらいました。
子どもたちは「野草を採るときは、根っこまでは採らない」「農薬がなるべくかかっていない野菜を食べる」「作られ命も自然の命も同じ命、大切に残さず食べる」「なるべく天然の命をいただく(養殖や野菜工場などで作られる命を減らす)」など、それぞれ暮らしに基づいて考えたことを発表しました。なかなか、奥の深い意見やまとめでした。参加してくれた子どもたちやご家族に感謝申し上げます。

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    【初日、QABの生放送に出演する子どもたちと私。作られた命と天然の命や、命の存在、命の尊さが人間と同様、野生動植物も同じ!としっかり受け答えしていた】

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【初日は女子グループの壁新聞を披露。周りと違って、自然との調和・共生について具体的に説明】

 
 さて、多くの子どもたちが来場した沖縄コンベンションセンターですが、疑問を感じることもありました。ひとつは、昆虫採集。やはり今はどうしても、野性動植物を採取して標本化することに抵抗を感じます。
 自由研究としては古い歴史がありますが、冷静に考えると、人間の都合で採取される動植物にとっては、迷惑なことです。何の罪もない昆虫、特に、長い間土の中にいてやっと地上へ出てきても短い間しか生きられないセミなどは、かわいそうです。
 環境倫理の3本柱に生態間倫理、地域間倫理、世代間倫理というものがあります。野生動植物の命を尊重するのは生態間倫理です。

 近くのブースでは、クワガタムシやカブトムシを売っていました。ステージでクイズもしていましたが、正解者にはクワガタムシをプレゼントします。ところが、クイズの中身に、「外来種をなぜ放したらいけないか」というものがあったにもかかわらず、正解者への賞品に外来種を提供しています。そして「国外のクワガタだからどうしたらいいですか?」と念を押す始末。もう言葉にもなりません。
 講演の中で「きたなか林間学校」の約束事に「野性動物は、とらない、ころさない、もちかえらない」(捕ってもいいけど観察したら自然に返す)があることを紹介しました。今や世界の常識です。同じ会場で、真逆のことを言っていることについて、彼らはどう思ったことでしょう。そして、会場の人たちは?

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【二日目は、思考を凝らして、我が家の6人組にスタートを飾ってもらいました。雑然とした中で、レベルの高い話をするには、注目させることが大事と踏んだからです。その甲斐あって、初日よりは人が集まりました。クイズショーなどと一緒にするようなら、来年は辞退しようと思っています】

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   【二日目は男子グループの登壇。馬ふんづくりの意味や胎盤の役割と食の安全などを、それぞれ発表した。最後は元気よく「エイ、エイ、オーッ」】

 日本全体が、人間にとって都合のいい考え方に染まっています。その中で、言い続ける、行動し続けることは大変です。・・・が、誰かがどこかで言い続けなければ、「ムシのいい」人間が増え、争いごとや事件・事故が減ることはありません。

 自然と人間との関係をどうするのか、人類の歴史の0.4%でしかない農耕文明の延長線上にある現代文明。99,6%は狩猟・採食の時代です。弥生時代になって、領地や階級が生まれ、争ごとが始まります。私が戦国時代の武将をテーマにしたNHKの大河ドラマをあまり受け入れない理由は、ここにあります。
 節度と分別を持って自然とともにある自然観、平和で永続的な狩猟時代の考え方で、現代社会をいきるのが、事件・事故、争いごとの減少につながると信じています。

 8月10日から2泊3日の第24回「きたなか林間学校」が始まります。20数名の子どもたちが人間中心から自然中心の自然観に一人でも変わってくれたら、幸いです。

 初日の3日、QABの会場からの生放送を見て駆けつけてくれた以前参加した子どもさんや、講演内容に共感してくれた人がブースを訪ねてくれました。今後の励みになります。ありがとうございました。
posted by 塾長 at 11:14| 林間学校

2013年07月09日

QAB(琉球朝日放送)で紹介されます。

 5月3日〜5月5日までの2泊3日に開催した「第23回 春のきたなか林間学校」の一部が、明日(7月10日)のQABニュースの特集で紹介されます。
http://www.qab.co.jp/news/2013071044658.html(QAB 琉球朝日放送で紹介)


 8月3日、4日に「夏休みこども自由研究in沖縄コンベンションセンター2013」(場所:沖縄コンベンションセンター)が開催されますが、今年度のメインテーマが「環境と暮らしを考える」になっていて、そのテーマにふさわしいということで、きたなか林間学校の取材が3日間、密着で行われました。

 TVニュースでは4分くらいですが、8月の当日は、約20分くらいにまとめていただいたDVDを流す予定です。この時にはTVでは紹介できない「ニワトリのこしらえ」なども映像として見ることができると思います。

 8月3日・4日の両日は、私も午後3時から会場で「自然はなぜ大切か?〜家畜化する子どもたち〜」の演題で講演させていただきます。

 その際、先日作った壁新聞を題材に子どもたちにも登壇していただき、発表してもらおうと思っています。そのために、未完成だった壁新聞を13日、14日、参加した子どもたちに「ぬちゆるやー」に来ていただき、作業をする予定です。

 今年度は「おきなわ環境塾」のブースも用意します。時間のある方はどうぞお寄りください。

 また、明日以外にも、「自由研究」のイベント案内に今後放映されるようです。主催者の沖縄コンベンションビューローやQAB、後援者のひとつである沖縄タイムスの情報に取り上げられることもありそうです。

 環境保全、人格形成、争いのない社会の一助になれば幸いです。
posted by 塾長 at 20:57| 林間学校

2013年05月11日

林間学校速報 「10億分の1」の命から学ぶ!

 第23回目のきたなか林間学校が5月5日に終了しました。これまでとまったく違うのは、命の循環と言っても、「命」の見方を変えたところです。

 これまでは、「物質循環」を「命の循環」と置き換えて話をしてきました。そして、「命に感謝しよう!」・・では、「大切な命を、いただきまあーす!」と・・。しかし、どうも違う?
確かに、人間に食べられてしまう宿命を持つ家きんといえども、無理やり摂取した命なので、感謝の気持ちは生まれますが、だからと言って、その後、環境問題の解決や人格形成に資しているとは言い難いところがあります。

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【野性的な馬・ゲン 自由度の高い飼い方なので、与那国馬の原種・ゲンちゃんは外に出ると、寝転がって体を草にこすります。急に始めたので、近くにいた子はびっくり!】

 今、大事なことは、人間が生きるために食べる命を、人間がコントロールし過ぎて、「命のモノ化」が進んでいることです。現代は「モノ」のように、「命」を大量生産し、大量処分します。自然の摂理を無視し、人工照明で昼夜をコントロールされて出荷される豚もいます。太陽を一度も見ないまま賭場に送られますが、初めて見た太陽が運搬されるトラックの荷台というのは何とも悲しいことです。
 問題は、人間の思う通りに動く社会です。おそれ多くも、「自然」を人間がコントロールするのです。次第に自己中心の人が増えます。人の命も軽んじられるから、事件も起きます。地震・津波・台風などの自然活動と対決して、人間が自然より優位にあるがごとく考えるのは人間の思い上がり(おごり)です。

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【ヤギも「やんばるヤギ」の原種。体は小さいが、能力に長けている。野生力が高いので、思った通りにならない。それを教えるのが、一つの目的。】


 そこで、今回は放し飼いのニワトリを野性の命ととらえました。ここから「命」を見つめ直すのです。人間が野性の命を摂取しようものなら、まずは捕獲からしなければなりません。野性の生きものは、ケージや小屋の中で育つ家畜と違って、人間の思う通りにはなりません。
 実際、放し飼い(半野性的)の我が家のニワトリを例に、命の授業を行いました。これは、最初のプログラムにはありません。案の定、子どもたちは、異変を察知して逃げまどうニワトリを追いかけまわしましたが、捕獲に30分以上もかかりました。やっと捕まえても、どうやってこしらえるか見当もつきません。野草探しもそうです。食べられるものとそうでなものの判別がカギです。そして、ともに、絶滅しないよう、種の保存をするために全部は摂取しません。


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【野草の判別。「ぬちゆるやー」の周囲でも野草は数十種類。野草という名の植物はない。みんな個性があって、人間が食べられない草もある。これは「タイワンハチジョウナ」。ウサギもヤギも好き。必要以上にとらないことは、節度・分別につながる。】


 人類の歴史の99.7%を占める狩猟文化は、物質的充足や、便益の向上はないかもしれませんが、高い安定性と永続性に富んでいました。節度と分別を持ち合せた暮らしや自然と調和した社会には争い事が少なく、現代社会とは画然の相違を感じます。現代文明は、自然の摂理から外れて人間が独自に自分の都合の良いシステムである農耕文明の延長にあります。

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【天然の火をおこす。人間の野生力は「火」を使うことが特徴。かまどの石やタキギは周辺から集める。だんだん野生力がついてくる。君たちは「家畜じゃないぞ!」】

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【竹の筒を利用した炊飯器(たかんぽごはん)。何とか、ご飯にありつけました。煙かった分、おいしかったようですおかずの「団子汁」もすべてなくなった。】


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【水も同じ。近くの平成の名水百選の一つ・タチガーの水を使って洗たく。その合間に、そっと天然水でのどを潤す。塩素処理していない天然の水の温度・味はいかがだったかな?「あまーい」との声も・・・。】

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                    【洗たく機で脱水とはいかない。二人で協力して絞る】


 数万単位で育つニワトリたちは、狭いケージの中で砂はないのに砂被りのしぐさをします。本能は生きているのです。しかし、生産性向上、効率主義、経済至上主義の中にあって、無抵抗のニワトリたちの命は人間の犠牲になります。牛も豚も同じです。持って生まれた寿命をまっとうすることはありません。

 人の命を他の生きものの上位に位置づけ、思い通りに命を管理する現在の人間至上主義は、無気力無関心無感動無責任、集団いじめ、身勝手な犯罪の多発など、さまざまなところでほころび始めました。

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【ニワトリの捕り物帳。網まで持ち出して、ニワトリを追い込んだが・・・。必死で逃げるニワトリのような野性的な人間になってほしいと願った。】


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                  【30分以上かかって、やっと捕獲。野生力を思い知らされた。】

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【事前に人間が生きるために犠牲になる家畜・家きんの説明をしていた。野生の動物は天敵や病気から命を奪われる以外は寿命を全うする。どうやって野生動物は身を守るのか、命を粗末にしないために、我が家の野性的なニワトリの捕獲・こしらえに挑戦するか、否か?賛成は数人。しかし、命について本気の目をしていたので挙行した。決して無茶はしない。手袋で目隠しし、落ち着かせたのち、頸椎を破断して気絶させる。喉の頸動脈を切断して流血させる。最後の断末魔も見せる。このあと、70度のお湯につけてみんなで毛を抜いた。死に対するキャパがない子は見せなかった。】

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                              【真剣に説明を聞く子どもたち。】


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    【亡くなったニワトリにみんなで手を合わせた。「ごめんさない!」「天国に行ってください」】

 ニワトリを例にとると、日本の家きんであるニワトリは、輸入を含めると年間10億羽が犠牲になります。肉食用のニワトリは、わずか3か月〜4か月の短期間に育てられ、その一生を終えます。肉が付くようにエサには大量の成長促進剤が入り、病気をしないために、抗生物質も打たれます。薬漬けで大きくなるニワトリは、肉の成長に心臓の成長が追いつかず、小さい心臓に負担が来て途中で死んでしまうニワトリもいます。
 今回の林間学校では、半野生のニワトリをつぶしました。つまり10億分の1のニワトリを使って、半狩猟文化を体験したわけです。これまで人工的に「作られた命」も「自然生態系の中の命」も一緒にとらえていました。「命」の重みはケージの中のニワトリも放し飼いのニワトリも同じですが、必死に逃げるニワトリを捕まえることと、あっという間に無抵抗にケージから取り出すニワトリとの違いを、子どもたちはどう感じたのでしょう。


 子どもたちが捕まえようとしたニワトリは自分の命を守るために、飛んで走って森の中まで逃げました。家きんであるニワトリとはここが違います。
子どもたちには言いました。「君たちも、このニワトリのような野性力を持ちなさい。生き延びるために必要だから・・」

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【烏骨鶏(うこっけい)のダシがしみわたる鳥鍋。数人は、ニワトリの肉をいただいていた。涙がヨダレに変わっていった。】

 原種は家畜・家きんより体格・体位は小さいですが、機能や危機管理力は優れています。人間の家畜化の弊害を教えるために、野性的な我が家のニワトリは犠牲になりました。しかし、参加した子どもたちがどこかで今日の活動を思い出してくれたらありがたいと思いました。

 人間が生きるためには、ニワトリに限らず牛や豚、馬などの家畜の命の犠牲の上に成り立っています。人工的に作り育てられる命は、家畜・家きんに限らず、植物工場や養殖場、あるいは、田畑で育てられる米や野菜・魚介類まで及びます。スーパーの食品売り場を見ると、ほとんどが作られた命です。それを否定するつもりはありませんし、私もベジタリアン(菜食主義者)でもありません。


 野性的な生きものの命を食べることは、思い通りにならないことを思い知る、食だけに限らず、自然を自分の都合のいいように改変しないこと、野草や放し飼いのニワトリ・アヒルから生き延びるしたたかさを学ぶことが、自然や人間を含めた自然生態系を守ることに結びつき、人間として思いやりや感謝などの人格が備わることに通じていけば幸いです。

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【馬ふんのたい肥まき。そのあと、新たな馬ふんのたい肥作りをしました。化学肥料との違いや、手渡し作業では、声掛けや協力が必要なことも体得した。】


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【第七子の胎盤とへその緒。胎児を守り育てた胎盤とへその緒が、新しい命に生まれ変わる。汚染物質を除去する胎盤の機能は事前に説明。なるべく自然、かつ、旬な生きものを食するよう話した。土の中のミミズなどの小動物と一緒に大きなサクラの木に育ててほしいと願った。】

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【カーで洗った洗たくものの前で、木のブランコに乗る子ども。多様で複雑、情報量が多く刺激的な自然を相手にすると、感性や機能、人格までもが備わってくる。自然を疎外せず、共生していくことを目指しましょう。】

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【近所の農家に馬ふんのたい肥を分けたら、お礼に「サガリバナ」の苗木をいただいた。ありがとうございました。みんなで記念植樹しました。】


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【最後は、壁新聞づくり。4組に分かれて、それぞれのテーマで発表しました。8月2日・3日の夏休みこども自由研究(沖縄コンベンションセンター)でも発表してもらう予定です。】

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           【参加者22名、元気に「野生的に生きるぞー!エイ、エイ、オーッ!」】

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【やっと片づけを終えたころ、礼状が届きました。意外にもホームシックで泣いて家に帰るときかなかった女の子でした。親離れ・子離れがまだできていないのかなぁ、と心配したのですが、これを機に親子ともしっかり自立できたようです。よかった!】

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【馬ふんを施肥したキュウリの苗に、5日後、花が咲きました。夏の林間学校でいただけたらいいですね。】

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【命のバトンリレーもできたようです。もう、サクラの木から、新しい葉が出てきましたよ。こちらは数年後、お花見ができそうです。】

 今回はQABさんの密着取材がありました。編集後は、8月2.3日開催の「夏休みこども自由研究in沖縄コンベンションセンター2013」のイベント(テーマ:「環境と暮らしを考える」)の紹介用に使われる予定です。
posted by 塾長 at 13:44| 林間学校

危険と成長は隣り合わせ!

 自然を相手の野外活動が中心の林間学校では、ケガはつきものです。今回も、注意しても切り傷、すり傷などが発生しました。(ちなみに前回は無事故)しかし今回、不運にも木から落ちた子どもが腕を骨折しました。これまでカマで10針以上縫う大事故もありましたが、落下による事故は、23回開催してきて初めての出来事です。

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                               【子どもたちが登ったアカギの木】

 
 木に登ろうとするのは、野性力が残っている証拠です。そこに川があれば、入ろうとするのと同じです。木登りが好きな女の子ですが、登る理由を聞きました。私は「高いところは違う景色が見えるからかな・・」と尋ねたら、「木の上は違う風が吹いて気持ちいいから・・」と返ってきました。子どもらしい理由でした。
 
 今回は幼稚園の子から小学校6年生まで22名の参加でした。自らリスクの判断が必要なため、原則、3年生以上を参加条件にしています。ただ、親御さんが案内チラシや注意事項などを参考に、参加を承諾すれば、受け入れています。今回は幼稚園児、小学1年生、2年生が各1名いました。

 事故は、昼食づくりに参加していない子どもたちの休み時間(自由時間)に起きました。気づいた時、子どもたちは坂の上の木に登っていました。7〜8名はいたと思います。ただ、強制で登らせているわけではなく、自分で登ることについてはイチイチとがめません。 骨折するのは本人が一番痛い思いをするし、家族も大変心配されたと思いますが、私は頭を打たなかったのは、不幸中の幸いだと思いました。同じ木に同じように上っても、その子が掴んだ木の枝が偶然、折れて約3メートル下に落ちたのです。(別の子たちも同じ折れた枝は握っています。)

 近くにいたのですぐ抱き上げて移動し、三角巾で腕を固定しました。打撲なので痛がってはいましたが、泣かずに、腕や指も動きました。気分も良く、床に着くかどうか尋ねると、「活動はできないけれど、見学したい」というので、玄関前の石段に座って様子を見ることにしました。そのあと、元気に昼食の野草コロッケを食べていました。休日診療で整形外科医が夜来るというので、その時間に合わせて病院へ運びました。初見では骨折していないようだと言われましたが、その後、X線で骨折が判明。残念な結果になりました。

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【事故後、午前中に判別して摘んだ野草を使ったコロッケをみんなでいただく。三角巾で固定した腕で不自由ながらも食事をする。(中央奥)】

 木に登るプログラムは当初からありません。しかし、休み時間帯に木に登る冒険は、木の高さや種類、自分の能力、周りの状況などを自分で一定判断するのはひとつの学習です。私が気付いた時は、もう数人、登っていました。下はコンクリート。木登りがこわい子や苦手な子は登らないし、登っても低いところにいました。
 学校や家庭でできないことを、危険を承知でやりたいのは、理解できるし、ここしかできない、今しかできないことを冒険心で挑戦するのは、教育的意義もあります。

 しかし、事故は最大限未然に防がなくてはなりません。子どもが知らない情報や危険を促すことは指導者側の義務です。高いところの子どもには、「この木(アカギ)は折れやすいぞ!」「落ちたら大変だよ。もう、降りてきなさい!」と木の真下から注意しました。昼食の準備の確認に移動し始めた直後、「ドスン」という音がしました。

 危険を承知でどこかで、誰かがそれをさせないと子どもは成長しません。高さが1mでも、落ちて打ち所が悪いと、大けが、死亡に至ることさえあります。危険を排除する現代の暮らしは、極論を言えば交通事故がこわくて、外に出さないようなものです。オタクのまま大人になったら、危機管理能力が欠乏し、パニックに弱い人間になってしまいます。

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      【小学2年生もノコギリを使う。ノコギリで自分の指を切った子もいた。幸い切り傷で済んだ。】

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                                      【小刀でハシを作る】

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                   【ナタも使う。危険と隣り合わせ。しかし、大人になるまでに必要な経験。】

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【かまどに使う石を積んで、リヤカーをみんなで押す。注意しさせても、リヤカーの金具で怪我した子もいた。擦過傷。】

 ただ、本人やご家族に痛い思いや心配をおかけして申し訳ないと思っています。また、木に登っていることに気づいた時、子どもたちを全員、強引に降ろせた方がよかったのかと反省もしています。

 子どもの成長に、ケガや病気はつきものです。家庭内でも学校でもケガや病気にかかるリスクは誰も持っています。骨折はしましたが、これらの積み重ねで人は成長して大人になります。事故にあったお子さんは不自由な身になり、痛い思いをしていると思いますが、一日も早い回復を願っています。
これからも、細心の注意は払いながらも、子どもたちには成長と隣り合わせのリスクを共有していきたいと思っています。

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                                     【馬のエサ・ススキをカマで切る。】

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【これは、休み時間ではなくプログラムのひとつ。ヤギのエサになるオオバギの葉を採取。アカギよりもっと折れやすい。絶対、細い枝に乗らないよう注意。自然を相手にした活動に危険は伴う。今後はさらに細心の注意を払っていきたいと思います。】

追伸
 「かわいい子には旅させよ!」と言われています。わが子7人の内、上4人(小学2年〜中1)は、7月下旬から九州へ7泊8日の旅をします。出発は船、鹿児島から鈍行列車(各駅停車)を乗り継ぎながらの旅です。途中、食事やトイレなどどうなることかと心配もありますが、子どもたちが決意したこと。親としては何があっても覚悟しています。がんばれよ!子どもたち!
posted by 塾長 at 11:37| 林間学校

2013年03月31日

春のきたなか林間学校の案内

 日本は環境技術が世界最高レベルなのに、環境破壊はとどまるところを知らず、高齢者福祉も進んでいるのに、高齢者の自殺は減りません。同じように、識字率が限りなくゼロに近い教育環境であっても、いじめや虐待はなくなりません。
 交通渋滞対策に道路をどれだけ増やしても解決しないのは、自動車の生産、一家の保有台数を減らさないからだと思っています。つまり、目先ではなく元を正さないと本当の問題解決には結びつかないと考えます。

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【3月31日(日)午前中。久しぶりに大雨が降りました。舗装された道路から側溝に入った雨水は、集中して我が家の前の溜マスに・・。当然、処理できず、逆流し、このように噴き上げます。「便利さ」がもたらす社会の自然現象のひとつ。】

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【道路にあふれ出た側溝の水。】

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【敷地内の雨水のみず道。建設時、元々あった上部のがけ下の溝を整備しました。大雨の前兆があると、家族で一斉に枯葉や枯れ枝の撤去をしますが、これは家族の「仕事」です。備えあれば憂いなし!今日の大雨も点検したらチャンと流れていました。自然と闘うのではなく、自然の力を逃がし、土砂崩れを防止します。】


 戦後、主婦の家事軽減や、利便性を狙って作り出された洗濯機や掃除機、炊飯器、TV、通信機器など、数々の電化製品のアイディアも底をついた感じです。天下のパナソニック(旧松下電器)、ソニーなどの家電メーカーが苦戦するのは当然です。
 快適・便利な電化製品がもたらした負の遺産は、電力の浪費、化石資源の消費、内在する感性・機能劣化だけでなく、電力依存による災害リスクの拡大や、女性の家事開放による社会進出で本来の子育てに支障が出ています。ここが問題です。
 待機児童解消のため、行政も政治家も一様に保育所増設に傾注していますが、日本全体では少子化です。造り過ぎると、今度は保育所にはいる子どもが不足する事態が来るのは確実です。すでに、地方では子どもの争奪戦が展開されています。公的機関だと雇った職員や造った施設をどうするのか、新たな苦悩が始まります。

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【昨日のエサ上げ時。ヤギの子どもがポンプ小屋の上に上がって、木の葉を食べていました。山羊は高いところにのぼる習性があります。】

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【子ヤギは母ヤギから離れません。逆に子ヤギをつないでいると、母ヤギは子ヤギから離れません。ニワトリのメンドリも、どんなことがあってもヒヨコから離れません。親子で殺しあう人間が、本当に高等動物なのでしょうか?】

 昔と違って、今は子育てや教育にお金がかかります。だから、共稼ぎが必要という考えがあります。だったら、子育て中は共稼ぎしなくてもいいほど国が手当てして、日本の将来を担う子どもたちを育てる、というのが私の持論です。中学卒業まで一人当たり5万円出してもその方が、税金は相当節約できます。これは国策でやるべきです。
 できないのは政治家にも行政にも、子育てに対する考え方がないからだと思います。私は子育て、特に乳幼児の時期は、母親が直接育てるべきだと考えています。保育所や幼稚園、学校や学童に通わせ、残った時間を塾に預けておいて、「子育て」しているとは言えません。
 小学校にはいったら、それ以降退職するまで、一般的には数十年は団体生活です。せめて、小学校に入るまでは、キチンと親が1対1で育てるべきです。そこで、ハシや鉛筆の持ち方、あいさつや返事がチャンとできるまでは、親がしつける義務があると考えます。
 小学校の授業参観で見ました。まともに鉛筆を握っている子どもは、一クラスに数人もいません。従って、我が家の第5子、第6子も幼稚園や保育園には通っていません。もちろん、母子・父子家庭は別です。私も小学校時に父親を亡くしたので、その辺の事情は理解します。しかしながら、近年は両親が揃っていても、保育所や幼稚園に通わせる家庭が増えました。単に、通わせたいとする家庭を同列にするのではなく、それぞれの家庭環境を吟味し、優先順位をつけて入所すればいいのではないかと思います。当然、児童手当の増額と一体のシステムにしなくてはなりませんが・・。

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【案内チラシです。今回、今までで一番きれいに取り出せた万然の胎盤を教材にしようと思っています。「何が自然なのか?」。判断の指標となる自然に営みを如実に表しているのは、出産・分娩だからです。】

 そこで、春のきたなか林間学校の開催のテーマを、「つつましい暮らしが育てる正しい自然観」としました。
 他人や機械に頼った子育ての弊害が、その後に影響しています。地位の高い大人が破廉恥行為で捕まるのは、正しい自然観を持たないからです。安心して暮らせる世の中とは言えません。
自然を排除した都市文明の中での暮らしでは、善悪の判断が麻痺します。そのことが「自然か、不自然か」で判断すると自ずと間違った方向に行かないのですが、何が自然なのかさえあいまいになっています。
 それは季節を逸脱したヒマワリ祭りや作られた命によってコントロールされている生きものに囲まれて、現代人の自然観がかく乱されているからです。今の大人の責任は重大です。科学や知識偏重で、効率性が重んじられる現代の競争社会では、便益性は確保されても、不安定で継続的な社会にはなり得ません。だから、いつまでたっても、凶悪な事件・事故は無くなりません。
 先日、4月に小学2年生になる長男・朴然と一緒にお風呂に入った時です。彼はこう言いました。「お父さん、背中、洗わせてもらってありがとう!」「・・ん、お父さんが洗ってもらってありがとうの間違いだろう?」と返すと、「お父さんの背中をタワシで洗うと体力がつくから、お父さんにありがとう、だよ!」「・・・、あ、そう」。
 社会の最小単位である家庭。家庭でも暮らしぶりが正しい自然観や秩序を作ります。暮らしから社会を変えていこうと思っています。

(現在、HPの「お知らせ」部分が更新(パソコン入力)できない状況にあるので、取り急ぎ、このブログで案内しました。新聞各社へのインフォメーションには申込みしておりますので、4月中旬には公募案内が掲載される予定です。本日以降、参加申し込みを受け付けます。)
posted by 塾長 at 13:38| 林間学校

2012年08月12日

第22回 夏のきたなか林間学校速報!

 第22回目となる「きたなか林間学校」が昨日、終了しました。今回のテーマは「自然災害と共生する暮らし」〜その時をどう察知し、その後どう動くか!〜でした。活動内容の詳細は年度末に製本して配本しますが、取り急ぎ、速報として活動のあらましをお知らせします。


 普段の活動を、自然災害と、どう共生するか!というとらえ方をしました。つまり、身近な自然のなかに、解決策は無限にあるので、これを活かして、災害や環境保全、人格形成などさまざまな課題に対応します。今回、特に力を入れたのは、「自然観」の見直しです。一神教に見られる西洋の自然支配の考えから、八百万(やおろよず)の神がおわす日本の自然共生の考えへの転換。

 自然の上に立って、自然をコントロールしようという考えは、自然に恩恵だけを求めて、自然の猛威は抑え込もうとしているように見えます。そのしっぺ返しが地震に限らず、洪水や土砂崩れなどに現れています。ただ、現代社会は戦後、西洋的な考えに傾注しているため、被災地の復興を見ても、自然との対決型に終始しているのは残念です

 近年は「問題解決能力」より「問題発見能力」が問われます。災害で言えば「自然予知」。スマトラ沖地震の時の動物たちの動きや今回の東日本大震災での事前の気象異変。自然や野生動物と一緒の暮らしでは、感性が研ぎ澄まされ異変に敏感になり、それが予知につながります。

 また先の震災・津波で人工物では到底、自然の猛威にはかなわないという教訓を得ました。「逃げる・さける・よける」の考えです。そして、避難先では命の水(飲める地下水)、食べられる野草・実、火や仮住まいの確保が可能な「森」を復活・創出していくことなどを子どもたちに伝授しました。

 今回の参加者は21名。男10名、女11名で、その内小学校1年生が2名いました。ジャネの法則のように、きっと大人になってもみずみずしく記憶が残り、いざという時に思い出して我が身を守ることでしょう。
 応援していただいた琉球大学2年の岡村昌平君(林間学校一期生)、ご協力ありがとうございました。

 以下に活動速報として、写真を掲載します。

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【初日。緊張な面持ちの子どもたち。「先生、こわそー」「あっちの水は飲めて、こっちはダメ?」「コケコッコー!」】

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【最初の活動。自然素材の竹で自分が使うコップや箸、名札を作る。あるものを活かす、素材の癖や小刀やのこきりなどの道具の使い方を学ぶ。終えた人は、次の人に協力する。】

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【作業中聞こえてきた「アカショウビン」の鳴き声。しばし作業を中止して寡黙の時間が過ぎる。やんばるの山奥まで行かなくても、身近な自然にゆっくり付き合うと、野生動物たちの活動が見て取れる。人間どもが言う自然災害は単なる自然活動。普段と違う異変に気付く予知能力はこの辺から養われていく。このあと、子どもたちは、せせらぎを流れ落ちる水の音や、夕焼け、夜のコウモリなどと遭遇した】

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【夕食の支度。まずはかまどづくり。自分たちで手頃な石を見つけ、手で運ぶ。ここでもあるものを活かす。】


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【薪(たきぎ)は、森で出た枯れ木。古新聞10枚で火種を作り、残った竹で火吹き棒を作って息で酸素を送る。目から涙、鼻にはスス。髪には灰が載る。】

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【3時間後、やっとできた「たかんぽご飯」。これまでの林間学校では最高クラスの出来でした。子どもたちは、竹の香りが残る苦労したご飯を「おいしい!」と言って「腹 八分目」で慎ましくいただきました。ちなみにおかずは「団子汁」。これも台所にとりあえずあるものを煮込むという熊本の郷土料理です。】

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【二日目。午前6時前から近くのタチガーで洗たく。洗たく前に周辺の掃除もしました。下流のことを思って、汚さないよう気遣いするところに日本人の水文化があります。】

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【天然の水。災害は自然の猛威。しかしまた助けるのも自然。自分たちの地域にも湧水地が必ずあるので探すのも、危機管理として重要だと話をしました。飲んだ子どもたちは「甘い!」「まろやか!」と言っていました】

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【洗たくものを干したあとは朝食。そのあと、家畜・家きんへの餌あげ。包丁の使い方も勉強の一つ】


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【えさあげを終えると、馬糞のたい肥出し。バケツリレーでリヤカーに積みます。たい肥を鼻で嗅いでも臭くない。微生物の存在や役割・力、命の循環を身をもって理解したと思います】

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【次は馬糞の堆肥づくり。与那国馬のげんちゃんの糞をこれまた、たい肥小屋からバケツリレー。2日後の今日、もう70°C近くまでたい肥の温度が上がって、分解が始まっています。】

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【近くの牧草地にたい肥をまく。化学肥料との違いや物質循環などを学習】

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【平成の名水百選スタンプラリーのあとは、待ちに待った流しソーメン。割った竹の中を流れてくるソーメンを竹の箸で取り、竹のコップに入れて食べるソーメンの味はいかに!】

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【デザートはタチガーの地下水で冷やしておいた特大スイカを食べることに・・・。沖縄の炎天下で歩き回った後のスイカ。みんなの期待が爆発。】

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【夜は野草カレー。料理の前に、野草の学習をしました。今回入れた野草は、ハイビスカス・アワユキセンダングサ・セリの3種。食べ終えたら、自分の食器は自分で洗います。】

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【最終日。家の内外を元通りの掃除したあと、塾長講話。「自然のめぐみとこわさ」にタイトルを変えて、小学生低学年でもわかるように工夫したパワーポイントで学習。】

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【発表会。発表能力も大切です。みんなの前で一人ひとり感想を発表。感想を聞く限り、今回も心に刻まれたものは少なくなかったと思っています。】
posted by 塾長 at 19:33| 林間学校

2011年11月06日

家族の林間学校・・半日コース!

 きたなか林間学校は、家庭の延長です。普段、家族で行っていることを、参加者と一緒に行います。きたなか林間学校の目的は「人格形成」。手段は「環境教育」です。

 環境教育は「理科」とは異質です。「道徳」とも違います。私にとっての環境教育は「自然環境と人間との共生」です。その過程で理科的なこともあるし、道徳的なところもあります。

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【3歳児の「こはづき」は、番犬2匹の担当。調合して「待て!」「お手」「お代り」頭を「よしよし」となでた後、「よし!」の号令のもと、食べさせる】

 今日は家族でいつも通り、家畜・家きん・番犬などへエサあげをしたあと、畑仕事もしました。いわば「家族の林間学校」です。

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【4歳の「さわみこ」はウサギの担当。ウサギ小屋の掃除の後、草と水を与える】

 7人兄弟のうち、3歳以上5年生以下の異年齢、異能力の6人組です。エサあげは、与那国馬、アヒル、ニワトリ、ウサギ、キジ、番犬、メダカ、闘魚などです。
 アヒルやニワトリは放し飼いなので、私たちが家から出ていくと、向こうも出てきます。ニワトリとアヒル、キジのエサには、近くからセンダン草などを採ってきて包丁で刻み、米ぬかや料理の端材などを混ぜてあげます。今日は小雨交じりの天気。大雨の時も変わらず行います。

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【水替えはチョッと高度な作業。小2と小3の「麻衣」と「亜和(あや)」の担当。水槽の水が逆流しないように先に地下水ポンプのスイッチを入れ、水栓を開ける。終了すれば、その逆の作業となる】

 与那国馬のゲンちゃんは近くの草場まで連れて行って食べさせます。ウサギも同じように、近場から草を切ってきます。番犬だけは自然食と言うわけにはいきませんが、朝食の味噌汁のだし汁の残りにドッグフードを混ぜます。

 水替えも大変です。アヒルたちが水浴びや飲み水に使う古い流し台のシンクには、地下6mの地下水を入れますが、全部入れ替えます。
 ウサギやニワトリの水入れは点在した器に入れます。水を欠かすと3日で死んでしまいます。水代ももったいないので、軒下のいたるところにバケツが置いてあります。今日などの雨上がりには、ほとんど上水道を使うことなく、新鮮な水を与えることができます。「♪水は天かーら、もらいみーず♪」(五木の子守唄)です。

 これだけの作業ですが、家族8人で1時間かかります。これ以外に気付いたことをする時もあります。この1週間、蚊が異常に発生しました。「パチン」と子ども顔を手のひらで打つと、3匹の赤い血を見ることもあります。こんな時は、台風で出た倒木を燃して、煙や熱で蚊を追いやる作業もします。

 池の浮き草が増え過ぎると網ですくったり、家の周囲の水みちの枯れ葉を掃除したり・・・自然の中で暮らすには自然に適度に手を入れ続けなければなりません。名水百選から流れてくる余剰水を少しだけ頂いて池に引いていますが、誘導する竹の樋の維持も毎日の仕事です。
 つまり、自然との共生には、毎日毎日、目には見えないほどの手入れが不可欠なことを子どもたちは体得しています。

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【馬の力を借りて「人馬一体」で畑へ移動】

 エサあげを終えると、リヤカーに道具類を載せて、裏山に向かいました。沖縄は放っておくとあっという間に草が茂ります。畑にしたい平地も、草ぼうぼう。耕運機や草刈り機、除草剤など機械や農薬を使わず、クワや鎌で開墾し、耕すので、重労働です。しかし、お陰でミミズと出会います。ミミズは天然の耕運機。

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【土1グラムに450万個の微生物、施した馬糞の堆肥には16億個の微生物が生きている。無数の生きものに生かされて野菜が育つ。それをまた「いただく」】

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【微生物だけではなく、ミミズにも世話になる】


 今日は、ダイコン、ホウレンソウ、シュンギク、コマツナの種をまきました。金曜日に半割にして準備していたジャガイモの種イモも植えました。
 道具類は近くの湧水地で洗い、持ち帰ります。この間、多くの動植物の命と出会い、それぞれに思いをはせます。

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【「畑」は「田」に「火」。焼畑から来た象形文字との説もあるが、ここの「火」は「虫(蚊)追い」の役目】


 人間生活は自然を破壊します。だから、自然保護は重要かもしれませんが、保護だけでは人は暮らせません。目指すは「自然との共生」です。いかに自然への負荷を低減し、自然の仕組みを脅かすことなく暮らすか。
 自然への働きかけが穏やかで、開発しても自然の復元力が上回る場合は自然破壊とは言えません。これは自然との共生ができていると考えます。
 急速で大がかりな開発や、機械力・化学力など文明の圧力を掛けた開発でもとの自然への復活がむずかしく、壊滅的な自然開発は自然破壊と捉えています。

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【小雨の中、泥んこになって種まき・種イモ植えに精を出す】


 近年の環境教育は、自然との触れ合いは行われますが、果たしてどの程度、「自然との共生」を、身を持って体験しているのでしょうか。単なる自然接触で終了していて、体験に基づくコーディネートがなされているかどうか、疑問が残ります。集団生活における交流や道徳教育にウエイトが移っているのではないかと危惧しています。

 わが家は毎日が林間学校です。今日は半日コースのプログラムと言ったところです。

 毎日24時間、さまざまな生きものとの出会い・別れがあります。それぞれの生きものの寿命は決まっています。天敵や事故で死ぬこともあります。縁あって出会った命。モノ言わぬ草木や言葉の通じない動物たちの思いに耳を傾け、それらの命の犠牲の上に成り立つ自分たちの生活を再認識して、慎ましく生きていかねば・・・と今日も感じました。


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【付録:作業の合間の子どもたち。上:「必殺・仕事人シリーズ」の花屋の「政」になりきり、口に枝をくわえて走る「こはづき」。下:勝新太郎の「座頭市シリーズ」の「市」に扮するお二人さん】

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【かくて、本日の作業は終了】

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【最後に鳥から種を守るために、網を張る】
posted by 塾長 at 19:50| 林間学校

2011年08月08日

林間学校速報:台風で「自然共生」を知った2泊3日!

 大型で強い台風9号が接近するなか、記念すべき第20回目の林間学校を挙行しました。

 沖縄では洪水や強風の「警報」が出たら、自動的に学校はお休みになります。ところが、林間学校は自然との共生を目指すところ。ですから、共生の前にまずは、自然を知ることが大変重要になってきます。自然の排除では、何も身に着きません。自然は晴天ばかりではありません。

 台風接近は最大の教材でした。したがって、当初から中止や延期は考えていませんでした。特に今回は「危機管理」がテーマのひとつ。台風や地震に大雨、干ばつ・・それらで引き起こされる洪水や地滑り、がけ崩れ・・・。さまざまな自然現象と一生付き合っていかねばなりません。

 それはメインテーマである「争い事の少ない社会」につながります。人間社会も自然と同じで自分の思い通りにならないことばかり・・・。

 しかし、自然を敵視しない日本人の自然観は、人の気持ちも和ませます。自然を支配しようとする西洋の文化・宗教観とは相反します。

 昔の日本人は外(自然)に対して開放的な住宅で暮らしてきました。古来の沖縄の住宅には玄関さえありません。
 外と内の緩衝として「縁側」があります。建具も木製で、すき間から季節の香り(土や花、草など)が入ります。時には今回のような台風時には、雨も風も入り込みます。アリや蚊などの虫も入りますが、日本人は大らかで虫の侵入を許す寛大な気持ちを持ち合わせていました。

 ところが近年は、虫一匹入れない西洋的な自然排除の住まいと暮らしになりつつあります。人間中心主義は、住まいづくりに顕著に表れています。
 人間中心主義は自己中心主義に結びつきます。思った通りにならないとイライラしたり、相手を逆恨みして事件を起こしたりします。

 このような現代社会から相手の命や立場を思いやる気持ちを持つことや、正常な秩序を保つ社会を目指すためには、自然や自然現象を直視した体験することです。
 単なる、理科的な体験やサバイバル体験、原始体験だけでは自然の摂理に沿って暮らす意味や、自然と共生することで人の社会が平和になることには結びつきません。
 体験主体の環境教育は、家に帰ったらいつもと変わらぬゲーム三昧(仮想現実・バーチャルリアリティーの世界)に戻ってしまい、教育的な意義はゼロに等しいと思っています。

 そういう意味で、今回の林間学校は予定していたプログラムはできなかったところはありますが、それ以上に、子どもたちは貴重な体験を重ねました。
 きっと、これからの長い人生の中で突発的な自然現象や社会現象に対応する能力がついたと思います。それは、思い出は、年齢に反比例するというジャネーの法則(1年前の旅行より、子どもの時の修学旅行の思い出の方が記憶に強く残る)があるからです。

 台風の影響で参加へのキャンセルが5人出ましたが、参加した11名の子どもたちはきっと、日本のリーダーになると確信しています。

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【初日。正座・礼儀・挨拶を基本として、家庭の延長に位置付けた活動でのなかで、人格形成をめざす20回目の節目を迎えた林間学校がスタート。周囲は強風が吹き荒れ、小雨が叩きつけていた。2泊3日の暮らしの約束事を説明中。】

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【台風時には「沖縄型シャッター」を取り付けるのはわが家では定番。子どもたちと一緒にベランダに順番通り建て込んだ。】

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【2泊3日で使うコップとハシ、名札をナタやノコギリ、小刀などの刃物を使って作る。危険から隔離された子どもたち。刃物の使い方も不慣れ。注意を喚起しても残念ながら今回は指を切った子どもがいた。しかし、大人になるまで経験しなくてはならないことのひとつではある。】

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【馬糞の堆肥づくり。化学肥料は即効性があり効果的だが、水に溶けにくいので土や川、海を汚染し、生きものの棲み家や命を奪うことを説明。馬糞の堆肥は遅行だが、水に溶けて環境を汚染せず、微生物のおかげで土が豊かになる。馬糞が発酵により肥料に変化することなどを、堆肥づくりで体験。】

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【小雨のなか、馬糞の堆肥を裏山の畑にリヤカーで運ぶ。坂道をみんなで押す。一瞬の油断は大事故につながる。子どもたちはじわりじわりと協力しなければコトが進まないことを覚えていく。林間学校は決して楽しいことばかりではない。むしろ、つらいことの方が多い。】

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【二日目。風速45m/Sの台風9号接近。風が強まり、周辺のビニールハウスに被害が出始める。木々や電線に当たる風の音も凄まじい。しかし、自然の脅威から逃げてばかりいては、何も習得しない。こんな時、どう対処するのかが、重要な危機管理。最大の教材がすぐ目の前にある。】

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【家畜・家きんと共にある暮らしでは、盆・正月、台風や地震が来てもエサあげ、水あげは欠かせない。子どもたちは、果敢にニワトリやアヒル、馬やウサギ、キジなどの世話を始めた。泥んこ、びしょ濡れである。どんなことがあっても、他の命を守るための作業があることを覚える。】

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【エサあげの最中、放した番犬が、ニワトリのヒナを襲ったので、ヒナはショック死。近年は「生」も「死」も直接、目に触れないことが多い。生まれたばかりのヒヨコにも会えたが、死んでいった命も直視した。穴を掘り、土に戻って再び新し命に生まれ変わって欲しいと、みんなで祈った。】

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【塾長講話。今回は停電の合間を縫って、「地震・津波の教訓:自然と共生する家づくり・国づくり」と「命のバトンリレー」をパワーポイントを使って講話。】

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【停電で水が出ない。あるのは水タンクの2トンだけ。初日に用意した汲み置きバケツから水を取って手洗いをする、トイレを流す。停電時のシャワーはお湯ではなく、「冷たい水」。流すだけでも幸せ。男は10秒、女は30秒で済ませたと感想文にあった。便利で快適な暮らしが定着している子どもたちにとっては、貴重な経験ではなかったろうか。】

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【台風のなかの夕食づくり。辛うじてこの時点では電気が通っていた。危機管理上、プロパンガスを用意していたが、強風のためこれも火が消えるため、夕食のだんご汁は「だんごなしのだんご汁」となった。しかし、あるものを生かす(済ます)、という、初日の話に納得したのか、子どもたちは、食にあり付けただけで満足していた。】

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【いよいよ長い停電。夕食はローソクの明かりで食べることに・・・。水も火も生きていくには大切だが、エネルギー源をひとつにしておくと、いっぺんに生活が止まることを実感。水は公共水道、井戸(3か所)、地下水・・。熱・光は電気、ガス、ローソク、炭、懐中電灯などなど。子どもなりに備えが必要なことを体得したと考える。】

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【最終日。台風がもたらす雨が強くなった。わが家の前の側溝は、いわゆる「都市型洪水」のため、道路に集中した雨水が溢れていた。これも子どもたちは直視した。】

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【敷地内の倒木の片付け。子どもたちは率先して雨の降る敷地へ飛び出し、のこぎりを使って枝を切り始めた。】

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【斜面に建つわが家は水みちがある。上から流れてくる雨水を、上部で一旦水みちで逃がす。放っておくと、鉄砲水となる。みんなで落ち葉を取って、水みちを確保。必死の防災作業は、いつの日か国や自らの命を守るための手段に生かされると思う。】

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【女の子グループは家の中の片付け・掃除が役割となった。停電で出ない水を経験した直後。彼女らは、雨だれで溜まったバケツの水を使って雑巾掛けをした。】

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【発表会の様子。命の尊さやはかなさ、環境汚染がもたらす健康被害(水俣病を取り上げた)、自然への畏敬、怖れ、危機管理、節度ある暮らし・・それぞれが自ら感じ取ったり、気付いたりしたことを、迎えに来た家族の前で発表した。】

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【いつもは「エイ・エイ・オ―」だが、20回目の節目。今回は正しい万歳の仕方を教示した後、みんなで台風と一緒の林間学校が無事終えた喜びを「万歳」で表した。※正しい万歳は、手のひらを「気を付け」の姿勢からそのまま上げる。手のひらが正面になるのは「降参ました」「負けました」。】

参加した子どもたち、参加を許可した保護者の皆様、後援をいただきました北中城村、その他、協力いただきました皆様に感謝申し上げます。




posted by 塾長 at 23:27| 林間学校

2011年05月05日

春のきたなか林間学校(19回)速報 その3

 春のきたなか林間学校(第19回)の活動の様子を写真で綴ります。(最終日)

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【早朝の特別授業。テーマは「命と心のバトンリレー」。この日、第六子・「こはづき」の胎盤を土に埋める予定をしていたので、事前に子どもたちにその理由と内容を話した。前日、栄養や水の循環話をしたが、それはあくまでも物理的な観点であった。朝の授業では、自宅出産のへその緒を切ったが、実は逆にその時から心の繋がりが始まることを話した。胎盤の役割や食品に関すること(水俣病の原因等)にも話は及んだ。基本は自然の摂理に則した暮らしであることも・・・】

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   【林間学校の目的のひとつは自立心、自律心の醸成。食事が終わったら使った容器は自分で洗う。言われて行動するうちは、人は成長しない。自ら気付いて動くことが大事と思っている】

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【作業の合間に森で遊ぶ。何は無くても「森」があれば・・・。自然は人工の遊び道具より多様で複雑、神秘的で刺激的である。ツタを利用して遊ぶ子どもたち。まるで現代のターザン。テレビやゲーム機などと違って、思った通りにならならず、予測不可能な自然に対応して、体全体で対応するので機能や感性が高まる。「ヤッホーッ!」 林間学校に行ったらご褒美にゲーム機を買ってあげると言われたと言っていた子どもがいたが、いったい何のためにここに来たのか、親の考えを疑うようなこともあった。 この表情に勝る顔なし!健康的な表情を見てください!】

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【沖縄式板シャッター。中村家にもあった板シャッターは、宿泊しているぬちゆるやーにもある。雨が強くなると、みんなで板シャッターをはめた】

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【命と心のバトンリレー。いよいよ胎盤を手にとって、地球に戻すプログラムを開始。始めてみる胎盤は血の塊りなので真っ赤で重い。へその緒もついている。土に戻して新たな命へのバトンリレーを行う。リレーするのは命と心。この気持ち、この心を後世につなぎたい・・・】

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【ゲットウに包み込んだ胎盤を土に納めて、その上にアボドガの苗木を植えた。そして、すぐ横を流れる地下水を根にかけ、全員が手を合わせてその成長を祈った。記念の木標には「命と心のバトンリレー」と書いた】

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【採れたてキャベツのプレゼント。環境教育施設兼自宅:ぬちゆるやーは北中城村にあるが、前面は道を挟んで広い畑が広がっている。林間学校開催に気付いた向かいの農家の方が、子どもたちに・・・と畑に植えてあるキャベツをプレゼントして下さった。ありがたい。参加者の家族全員に、帰りにお渡した。早速、我が家の夜食はサラダだった。新鮮でおいしかった。金城さん、ありがとうございました】


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【今回は大雨が降り続いたにもかかわらず、怪我もなく、無事に終了した。スタッフのみなさん、ありがとうございました。参加した子どもたち、ご家族のみなさんありがとうございました。関係各位に感謝申し上げます】

 最後に発表会で発表した子どもたちの感想文の内、一通だけ以下に紹介します。詳しくは、記録書に掲載します。

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posted by 塾長 at 23:51| 林間学校

春のきたなか林間学校(19回)速報 その2

 春のきたなか林間学校(19回目)の速報 その2(二日目)の速報を写真で綴ります。

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【二日目最初は早朝講義。テーマは命の循環。昨日運んだ馬糞や馬糞の堆肥、裏山の土、それぞれ1グラムに、どのくらいの微生物が棲んでいたのか、覚えていますか子どもたち。「馬糞には34億匹、堆肥には16億匹、土には大腸菌149匹、一般細菌は450万匹いましたね。生産・消費だけでは地球上は死体だらけになってしまいます。微生物に感謝しましょう。そして自然のなかの栄養や水の循環に気付きましょう。さらに、循環を妨げない努力も必要です。・・・」と言っています】

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【講義が終わったら夜も明けました。馬(1頭)や番犬(3匹)と散歩を兼ねて、洗濯場のある裏山まで出発しました】

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【湧水(名水百選のひとつ・タチガー)で洗剤を使わず洗たく。地球から湧き出る地下水のメカニズムを説明。地震や台風で水が止まったら貴重な命の水になる。それぞれが住む住宅の近くの湧水地を探しておきましょう。そして大切に、かつ、湧水量を増やす努力も忘れずに・・・。子どもたちは水道以外の水に触れて「あたたかーい!」と

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【ゲットウ(月桃)でヒモ作り。沖縄にはどこでもお目にかかるゲットウ。根を木で叩いて繊維を取り出す。乾燥した後、糸やヒモに、綯(な)う。いざとなったら、身近な自然素材を生かすのが危機管理の原則】

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【ゲンちゃんの脱走事件発生。洗たくに出かけた時、牧場に放していた与那国馬(原種)のゲンちゃんが「いませーん」。みんなで見つけに行ったら近くの草原にいました。良かった!思った通りにならならないのは、自然だけではない、つい2年前まで野生だった馬も同じ。人間中心主義に陥る日本社会にあって、とてもいい経験をした子どもたちでした。(見つかった馬のゲンにお恐る、お恐る近づき、ゲットして連れ出そうとする子ども)】

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【身近な自然を生かして生き延びるのは衣食住だけではない。遊びもそのひとつ。現代はゲーム依存症が増えて、受動的な子ども(大人)が多い。アダンの葉っぱにあるトゲを取って、風車を作る。指導:石垣 喬(タカシ)氏】

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【まわれ、風車!最初は回らなかった風車も改良しながら全員がクルクル回るようになった。この達成感!!子どもたちは、これで自信を取り戻したのか、急にみんな元気になった】

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【動物へのエサあげはわが家の日常。雨が降ろうが風が吹こうが、正月や盆も関係ない。子どもと一緒にエサあげ。前の日からヒヨコの孵化が始まっていたが、この日も親鳥がエサを食べに行っている間に卵を見ると・・・、新しい命発見!】

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【一方では、生まれたばかりの別のヒヨコに触れてもらおうと試みたが、ひとりだけ「こわーい!」と言って泣きだす子が現れた。以前、動物園でつつかれたらしい。子どもの記憶はなかなか消せない。その時の状況やフォローがどうであったか?明かりが点いていないと眠れぬ子が今回もいたが、日常の暮らしぶりが子どもには大きな影響を与えることを親は分かって欲しい】

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【作業の合間に桑の実を食べる。野草以外に樹木の実も食べられるものを知っておくと、楽しみが増えるし、危機管理上も有効】

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【名水百選スタンプラリー。雨のためスタンプが置けず、先にスタンプを打ち、ラミネートした地図を持って出発。無事、次の見学先の中村家(国の重要文化財)前に着いた子どもたち。今回のテーマは「どのようなところに水が湧くのか?」だった】

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【中村家:同じ北中城村内の国の重文。この日は12代当主の中村さんが直々に説明して下さった。子どもたちも、興味がましたのか、たくさん質問を浴びせた。小屋裏の方が部屋より涼しいことや、離れ座敷の押入れ裏に逃げ道と思われる通路があったり・・・自分自身も新たな発見があった】

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【中村家の現代版:比嘉家 まだ工事中であるが、外部はほぼ完成。子どもたちや中村家の中村さんも一緒に見学した。中村さん曰く、「立派!」。ありがたい言葉だった】

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【再びぬちゆるやーに帰り、野草カレーに入れる野草を採りに周辺を歩く。路傍の草に目をやり、人間が食べても害にならない草を判別する。心得は「腹8分目」。野草も命を持った生きもの。採る時はは「ごめんなさい」。そして、採り過ぎないように・・・。】

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【人間ばかりが夕食をとることはない。私たちが一生懸命野草の判別や採取をしている間、馬のゲンちゃんも食べられる野草を模索中。腹何分目食べたかな?】

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       【野草料理。採ってきたセンダングサ、オニタビラコ、ツユクサなどを洗ってカレーに入れた】

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       【夕食は野草カレー。「命に感謝して、いただきまーす!」お代り続出。腹9分目?】
posted by 塾長 at 22:44| 林間学校

春のきたなか林間学校(19回)速報 その1

 沖縄は例年より早く、連休と同時に梅雨入りしました。春のきたなか林間学校(19回目)はそんな中、10人の子どもたちが集い、自然を実感する絶好の機会となりました。

 環境学習より人格形成が重要という認識が一段と高まったのは、昨今の事件・事故や危機管理に不安を持っているからです。綺麗事をいっても、結局、快適便利でぜいたくばかりしている暮らしでは、何も解決せず、かえって環境は悪化し、人格・機能は劣化しています。この連休に海外まで出ていって遊び呆けている家族が万人単位でいる日本。将来が思いやられます。

 今回は「自然」に任せてプログラムを変更しました。「自然に逆らわない」ことを地でいきました。野外でかまどを作ったり、火をおこしたりはできませんでしたが、子どもたちは「自然の怖さ」や「いうことを聞かない自然」を実感しました。そしてそれを衣食住(暮らし)や社会で活かすことを、自ら考えたようです。感想文を読むと、子どもらしい柔軟性でクリアーしています。
 その点、大人は固定観念があって、融通がきかない人が多いように感じます。やっぱり、林間学校は子ども対象が一番です。

 お世話になったおきなわ環境塾の石渡副塾長、生き字引の石垣さん、新婚の西さんほか、中村家の中村さん、新築現場を提供して頂きました比嘉さま、キャベツを下さいました金城さん、後援いただきました北中城村、参加してくれた子どもたちと理解あるご家族、教材となった「自然」に感謝いたします。

 今回は林間学校の速報を写真で紹介します。


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【まずは竹のコップづくり。地震や豪雨があるのは当たり前。「あるものを使って過ごす」のが危機管理の鉄則。竹を使って箸や名札を作りました。竹の香りのするお水が飲めます。お父さんには泡盛?を入れてプレゼントしてもいいかも・・。参加者のご家族へ・・・・コップは軽く表面を焼けばカビが生えず長く使えます。鉛筆立てや一輪さしにも使えます】

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              【火吹き竹づくり。火吹きの穴は昔ながらの切りモミ】

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【馬糞運び・堆肥づくり。なぜ、化学肥料や除草剤・防虫剤(農薬)を使わない方がいいのか良く分からない人が多い。答えは水に溶けにくいから・・。汚染された水は川や海に流れて、生きものがいなくなった。その点、堆肥はバランスがよく、微生物の力で土を分解し、作物の栄養分となる。水に溶けるから、河川や海洋汚染がない。馬小屋ですでに発酵始めていたので、「熱い糞(堆肥)」を子どもたちは実感した】

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【日本の農業をダメにしたのは化学依存ともう一つ・機械化。巨大な耕運機(文明の利器)は土壌の生きもの(生態系)を壊してしまった。子どもたちは自然に穏やかな鍬(くわ)で耕した。アクションが穏やかなので、対応する自然は、なお、穏やか(リアクション)。自然との共生はここにある】

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【天然の耕運機・ミミズとの遭遇。機械を入れると土壌のミミズは切られて死んでしまう。天然の耕運機・ミミズは、食べたバクテリアを糞で出す時、すでに肥料にしている。動くたびに土に穴があき、土壌に空気が入り込み、土中の微生物が大いに繁殖して土は豊かになる】


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【大雨の中、スイカとキュウリの苗を植える。馬糞で作った堆肥と土を混ぜているうちに大雨に・・・】

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【自然には逆らわない。大急ぎで道具を洗い、片づけをしてリヤカーで一目散、ぬちゆるやーに帰る。「アメニモマケズ、カゼニモマケズ・・・作業を続けるのではない。アメニモ、カゼニモ負けずに勇気ある撤退!が大切。津波と同じ、逃げるが勝ち!】

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【初日の夕食は熊本の郷土料理・だんご汁。あるものを生かしてごった煮する。人参、干しシイタケ、ゴボウ、ジャガイモ、鶏肉、玉ねぎなどなど。最後は、小麦粉をこねて団子を作る。これは私の出番!】



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【初めての食事。竹のコップや箸が並ぶ食卓。いつもは外だが雨のため屋内。お代わりが出るほど、子どもは舌づつみを打った。みんなで作ったから、おいしかったのかな?命をいただくので、犠牲になった生きものに謙虚に、かつ、慎ましく「正座」で対応する】
posted by 塾長 at 20:02| 林間学校

2010年12月14日

ニワトリの拵え(こしらえ)

 この季節になると、夜のイルミネーションが気になります。よく買い物に出かける北谷町のアメリカンビレッジ界隈は特にきらびやかで別世界のようです。
 点滅するネオンはスポットではなく、店全部を覆っています。川面に映るイルミネーションを楽しむ家族や若者が行ったり来たり・・・。日本のどこかでは町じゅうがイルミネーションを競うところまであり、とある個人住宅では外だけではなく、家の中までイルミネーションに凝って、見学者が訪れるという報道がなされていました。

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 一生懸命生きているニワトリ。手塩にかけて育てたニワトリの命を奪う。共に辛いものがある。死に直面し涙を流すこと子どももいる。

 言いたいのは、照明による電気の無駄使いではありません。もっと以前の人間中心主義のまん延と、それに気付かない日本人の多さとその影響です。
 建物だけへのイルミネーションの飾り付けならまだしも、これが樹木に飛び火しているのは感心しません。木は生きものです。
 また、その木を棲み家や食料、隠れ家などに使う別の生きものもいます。木は人間と同じように、昼間、太陽に光をもらって活動し、夜は休むのです。木やその他の生きものにとっては迷惑千万です。

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             命を絶たれたニワトリに「ごめんなさい」と手を合わせ、冥福を祈る。

 人間の快楽のために、点滅する照明を朝まで点けっぱなし。クリスマスが終わる頃、夜眠れず、照明の熱もあって枯れてしまう木もいます。足を持たない木は、人間の手で移植され、たまたま街路樹や商店の近くに植えられ、人間の背の高さより少し大きくなった木はイルミネーションのターゲットにされてしまいます。
 我が家の子どもたちは、夜の買い物で一緒のときは一様に「かわいそう・・」という声が出ます。

 人への刺激は目が一番感じます。だから、派手なイルミネーションに訴えるのだと思いますが、人間以外の命にどれだけ配慮しているのでしょうか?
 子どものうちからこのような風景に慣れてしまうと、大人になってからも同じようなものの見方、捉え方になってしまいます。

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子どもたちが慣れない手つきでさばく。ウコッケイの羽は白だが、肌は黒。包丁の先からから伝わるのは何か。

 最近の言葉の乱れは目に余りますが、乱れとは別に、あまり使って欲しくない言葉を子どもたちが交わしているのも気になります。例えば「飯を喰う」。小さな子どもが言っているのを聞くと、なんだか悲しくなります。
 子どものうちは、せめて「ご飯をいただく」ではないのでしょうか?日本人は「ご飯」や「お茶」など日常でも食べもの、飲みものには「御」をつけています。
 最近では女の子でも「早く飯を喰いたい」などといいます。食べものとなる人間以外の命のことなど、さらさらないように感じます。

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 綺麗にさばくこともニワトリの命への配慮。この頃になると、子どもたちも心が落ち着いてくる。

 だから、食べものを粗末にするのです。また、自分以外の命の存在や他の命の犠牲の上に成り立つことを誰からも学ばないで体だけ大きくなると、思ったようにならないからといって自分より小さくて弱い立場の人や生きものに対して暴力を振るったりするようになります。多発する事件・事故の根底にあるのは、幼児期からの命の教育不足が原因と思っています。

 やがて「冬の林間学校」が始まります。この数回では「ニワトリの拵え(こしらえ)」はしませんでした。理由は、面白半分の体験型の子どもがいたからです。卵から孵ったヒヨコ。これまで何十匹もの命が途中で死んでいきました。親鳥に踏まれて死ぬこともあります。あげていた水の溺れる雛もいました。形が残っているなら供養もできますが、どこに行ったか分からないヒヨコもいます。多分、カラスに持っていかれたのでしょう。中雛になっても、マングースやヘビにやられることもあります。親鳥になっても、野犬にかまれて一気に20羽も死んだこともあります。
 手塩にかけて育てたニワトリが、図らずも死んでいくのを直視するのはつらいですが、その分、愛情も強くなります。その強い愛情をもったニワトリを自分の手で首を絞め、チキンカレーの具にするのですから、興味本位、遊び半分で参加した子どもたち見せるのは忍び難いものがあり、ニワトリの拵えはこの1年ほどはしませんでした。
 しかし、生きているニワトリの雌雄のバランスが崩れ、メンドリがオスから襲われて死んでいく実態を見たので、今回はオスを拵えることにしました。

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涙がよだれに変わる時。残さず食べることが、せめてものつぐない。人間以外の命への配慮は、将来、何か迷いがあった時の判断に生きてくる。

 大型ショッピングセンターに並ぶ鳥の肉を見て、その先に何の罪もないニワトリが、人間が生きるための犠牲となっていることを親はチャンと教えているのでしょうか。価格や肉の鮮度の問題です。
 林間学校では、死を直視することで他の生きものへ感謝する。だからこそ、食べ残さず「腹八分目」の節度を持つことを自ら感じるプログラムを組んでいます。

 また今回は、「死」だけではなく、「生」も重要ですので、自宅出産で私が取り上げた第六子の胎盤を木の下に埋め、再び新しい命の栄養になる「命の循環教育」も実施したいと思っています。
 
 自然に近い木造の棲み家での人格教育。ジャネーの法則のように、小さい頃の思い出は、大人になってからも鮮明です。きっと、参加する子どもたちが秩序ある社会を作るためのリーダーになると思って疑いません。毎回、帰るとき時の目は、来た時よりも数倍イキイキしているのを見ているからです。

(追伸:12月27日(月)午前7時10分くらいから始まるRBC@ラジオ「シャキッとアイ」の「ぼくの作文、私の作文」で三女の読書感想文が放送される予定です。題は「やさしくするよ!」。「がんばれウルトラジロちゃん」を読んだあとの感想文です。一年生で学校代表(ひとり)になった作文です。)
posted by 塾長 at 07:18| 林間学校

2010年11月15日

林間学校のベース!

昨日も、週末の普段の暮らしをしました。この延長が林間学校です。

 まず、子どもたちは家族ともいうべき家畜・家禽のお世話をします。我が家には与那国馬のゲンをはじめ、放し飼いの20数羽のウコッケイ・観音アヒル、小屋に入ったチャ―ン、キジ、ウサギ、池や水槽に入ったリュウキュウメダカ・タイワン金魚・日本の金魚、番犬3頭などがいます。
 
 これらに新鮮な水と、それぞれに合ったエサを与えます。量もそれぞれ違います。草は近くに取りに行きます。草には「ごめんね!」と声を掛けます。

 この時間帯に自然と接触するので、いろいろ発見があります。チョウのさなぎを見つけたり、小さな花の開花に巡り合ったりします。時には、ニワトリの卵がかえったり、逆に死んだりするのを直視します。季節感や生命観、自然観などが培われていきます。


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 写真は先日孵ったアヒルのヒナを抱いていたニワトリが育てている所です。幼少の頃の子育ては、ニワトリから学ぶこともあります。

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 これは、地下水が湧く平成の名水百選の近くの子どもの遊び場です。草刈りや家の周囲に流れてくる湧水の余り水の調整などが終われば、子どもたちは自然の中で遊びます。

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 昨日は名水百選認定記念のイベントが荻道公民館で行われました。1昨日名水百選の唄:「水に咲く花」ができたので、これを練習しました。そして、昨日みんなの前で披露しているところです。向かって左端に我が家の小学生3人娘がいます。


 それを終えると、やんばるに出かけました。通常は「家庭内労働」ですが、昨日は「家庭外労働」です。土曜日、タイムス住宅新聞の取材を受けるためお邪魔した時、大雨でした。建て主さんは、別荘的に使われているので、行く時は無駄がないように、草刈りをするそうです。しかし、そうなるといつも快晴の時。土曜日は天候に関係なく予定が入ったので、予期せぬ家の状態を見ることになりました。



 
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 住宅は道路から2mほど下がっています。しかし、地形を変えず土中の生態系を変えないとした設計理念を生かすため、基礎は道路下です。ここに屋根の水が落ちていました。しかも、家の基礎寄りに・・。そこで、家から離れて水を通すようにみんなでスコップや桑で掘りました。

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 家の維持管理は大変です。特に木造は・・。ただ、このように目を掛けてやると、長く生きることができます。私が品確法に反対したのは、単に家の品質ばかりを言うからです。手入れの差で品質は相当差が出ます。いまだに、品確法は疑問に思っています。

 これで、少しは気が楽になりました。設計者も設計だけでなく、自分の設計した家には愛着を持ち続け、我が家と同じように気に掛けるべきではないのでしょうか?そして行動を伴いたいものです。


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 最後の一枚は、このお宅の前の空き地に上げてあった看板です。後ろめたさはあっても、空き地があればつい、車を止めてしまうものです。こんなにはっきり「無料」と書いてあれば、安心して留めることができます。

 すばらしい地主さんがいるものです。私も見習いたいと思っています。

 このような週末の一日が、林間学校のベースになっています。この冬、また、子どもたちが集います。楽しい中にも教育的意義の高い社会活動になるよう努力したいと存じます。
posted by 塾長 at 13:06| 林間学校