2024年08月08日

連載「歴史に学び 文化で築く」第15回 「瓦に見る一品性差の味」

沖縄建設新聞で月1回連載中の「歴史に学び 文化で築く」の第15回目は「『瓦』に見る『一品生産』の味」。

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【先日、愛媛県菊間町窯業協同組合の方々が訪ねてこられたので、復元中の首里城や沖縄県赤瓦工業組合加盟の島袋瓦工場などを案内させてもらいました。それ以前に長男・朴然がこの春、愛媛大学理学部に入学したので愛媛に行った時、いろいろとお世話になり、交流が深まっています。
今回の連載には特に菊間瓦と沖縄の赤瓦のことを書きました。まだ何とか地域の自然や風土、文化が生かされて建築されている例ですが、これは全国的にはごくごく一部の例です。もっと設計をする建築士や国がしっかりしないと、日本の地域の建築文化はそのうち消えてなくなる可能性があります。関係者がどこまで分かっているのか、定かではありません。】

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【8月10日から1泊2日で林間学校を開催します。参加者のご飯になるお米の精米をしました。7分搗きと白米を混ぜました。
精米屋さんに5sずつ、小分けしてもらいました。
最後の袋は2.2s。つまり、2.8s減で約1割ほど歩留まり。
その分がヌカですが、ヌカも全部もらいました。ニワトリやアヒルのエサになります。】

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【林間学校の拠点:我が家の学習棟(離れ)。学習も就寝もします。だいぶ床の張替え、掃除、レイアウトをしたので整ってきました。】

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【今朝掃除のとき側溝にいた「モクズガニ」。きれいな地下水が流れる我が家の前の側溝は、格好の棲み家になっているようです。回遊性なので東シナ海から産卵のために戻ってきたようです。
「ぬちゆるやー」・・・名のごとく、「命」(ぬち)がたくさん「寄ってくる(ゆる)」「家(やー)」です。】
posted by 塾長 at 19:53| 建築

2024年07月11日

もうすぐ「稲刈り」

梅雨明けしたあとは晴天が続く沖縄です。小学校の教育用の「田んぼ」の稲もだいぶ育ちました。
田んぼではバッタやトンボが行きかい、スズメも相変わらず飛んできます。スズメに食べられてしまわないうちに稲刈りをしたいところですが、もう少し育てた方がいいと思い「水抜き」はこの土曜日にしたいと思っています。(小学5年生が稲刈りする左右の一番田は水を抜きました)

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【「実」が膨らみ、頭(こうべ)を垂れ始めたイネ。籾に細かな毛が生えています。】

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【水稲には「水」が命。梅雨明けからほとんど雨は降っていません。だんだん心細くなってきました。案の定、昨日の夕方には「底田原(すくたばる)」の大きな水タンク(≒300トン)から溢れていたタチガ−の湧水もタンクから溢れなくなりました。】

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【今朝の餌あげ時にみたら、また少し溢れていました。このタチガ−からの引き込む水量が渇水になるかどうかの目安にしています。農家の人たちが雨が降らないので農業用用水として使っているので水位が下がってきたと思います。】

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【すぐ横に作った「タチガ−池」には何とか水が貯まっていて、余剰水が洗濯場から少しですが出ていました。ただこのままだと水は枯れます。なんとか時々夕立でも来て、地下水涵養になっている琉球石灰岩にしみこんで欲しいものですが、、最近、山の頂上付近に大きな建物ができて、雨は表流水として道路の側溝に一気に流れています。せっかく「平成の名水百選」に申請して選定されたのに北中城村にはその自覚がなさそうで、何の制約も条例もなく地下水は年々減る一方で心配です。】

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【小学5年生が田植えした左右の一番田】

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【ここだけは稲刈りで足が沼り込まないように水を抜きました。】

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【落とし口の板を外して水を落としました。「おたまじゃくし」がたくさんいてかわいそうだと思いました。徐々に下の田んぼに移動してね、とお願いしました。】

一方、仕事の合間に新聞連載の原稿を書いています。来月号の「歴史に学び 文化で築く」のテーマは「瓦にみる「一品生産」の味」の予定です。
8月初旬に発刊予定ですが、その原稿から外れましたが貴重な鬼瓦等の墨の下絵が菊間町の「かわら館」から届きました。
愛媛県菊間町は長州大工の影響を受けていますが、その大工さんたちと瓦職人との会合があっていたらしく、その時の墨絵のコピーを送ってもらいました。

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【愛媛県菊間町で見た住宅の鬼瓦。なんと「ふくろう」。「ふくろう」は森の守護神であり「福」を呼ぶとして重宝されます。】

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【そのフクロウかどうかわかりませんが、墨で描かれた下絵がありました。鬼師の人たちがいろいろ話し合ったことでしょう。想像するとなんか、楽しくなりますね。】

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【これは棟の「水板」。いろんな現存する生きものや架空の動物などが描かれています。】

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【「水板」にもさまざまな思いが込められています。このような下絵を描き、それを粘土で作って組み合わせます。昔の家づくりには「夢」があって「職人魂」があって、住まい手も作り手もゆっくりとした時間のなかで「唯一無二」の家が出来て行ったのだろうと思うと、うらやましく思います。まさに「文化で築く」です。】

さてこの頃はうだるような暑さが続きます。パソコンのある母屋のから渡り廊下を通ってコピー機のある別棟の和室に行ったり来たりしますが、開放型の渡り廊下や木のベランダには「暑さでのびた」ネコが寝ていました。

私はどちらかというと「イヌ派」なのでネコは苦手ですが、彼らはリュウキュウコネズミを時々捕まえます。ネズミは外壁の板や土壁を壊すので、天敵のネコはその点でありがたいではあります。

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【渡り廊下に暑さでのびていた「セン」。繊月(せんげつ・2日月)に生まれたので「セン」ちゃんです。】

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【こちらも床が目透かしで空いているベランダの板の上で暑さにKOされ「のびたネコ」の「りん」です。共に捨てられていたを拾って育てたネコたちです。4匹の犬やヨナグニウマの「ゲン」は暑いので毛が抜けて生え変わろうとしています。自然界では少しでも涼しいところを見つけて過ごすしかありません。ウサギやヤギたちにも新鮮な水をたくさん上げようと思っています。】

「建築士会青年部(OB・OG)大同窓会の案内は日本建築士会連合会HP、沖縄県建築士会HPのお知らせコーナーで案内が始まっています。念のためアドレスを再度お知らせします。徐々に反響が広がりつつあります。

https://www.kenchikushikai.or.jp/

https://shikai.or.jp/
posted by 塾長 at 12:40| 建築

2024年06月06日

「歴史に学び 文化で築く」連載(13回目)「木造はすっぴん美人がいい」と菊間町窯業協同組合の来訪

沖縄建設新聞の連載「歴史の学び 文化で築く」の第13回目「木造はすっぴん美人がいい」が掲載されました。
今回は偶然にも第6子の「こはづき」のインタビュー取材も同日の同ページに掲載されました。

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【これから連載も後半に向かいますので、少しラフな感じで書きていきたいと思います。娘のインタビュー記事にはどこか気恥ずかしい思いと、頑張ってもらいたいという願いがからまっています。】

6月4日、5日と愛媛県の「菊間町窯業協同組合」から12名の方々が見学にみえました。菊間町在住の鬼師・渡部一馬さん(現代の名工・私が設計した住宅の鬼瓦を制作された方、昨年10月末完成)からお願いされたのでお世話させてもらいました。
中村家住宅は我が家のすぐそば。4日午後、大型バスで到着された方々を自分なりに案内しました。

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【まずは中村家住宅の休憩所で事前学習。以前、中村家住宅を研究していたので、沖縄の住宅の歴史や独特の様式、技術などを字部の書いた新聞記事を参考書として生かしました。】

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【もちろん内部も説明しましたが、やはり瓦屋さんの組合。屋根の見学はご熱心で、多くの質問がありました。】

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【最後に記念撮影。日本全国様々な地域に様々の文化があり、独自の技術を持ち合わせています。歴史も様々。住宅に顕在化するものもあるので、説明する方も楽しかったです。】

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【首里城復元の工事現場は二女が仕事に入っているので何度か行きましたが、菊間町の方々は「開門」を見たいということだったので、私も早く出発しました。8時半前に担当の人が昔の服を着て説明をされた後、いよいよ「開門」です。「ドラ」が鳴り終わると、門が開き、正面に首里城の姿が見えるようになっていました。】

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【首里城復元工事は国と県が微妙な発注形態です。本体は国発注の公共事業です。ですから本体に関しては「内閣府沖縄総合事務局・国営沖縄記念公園事務所の出張所長兼首里城復元整備推進室副室長」の新垣様にご説明をお願いしました。仲を取り持っていただいた(株)国建の平良様、総合事務局の末村様にも感謝申し上げます。新垣様はこの日のために20ページにのぼる資料を作っていただいていました。写真は、説明中の新垣様。本当に丁寧なご説明、ありがとうございました。】

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【ガラス越しに「見える」現場の説明が3層にわたってありました。瓦の関係者ばかりなので、どうしても赤瓦の納まりはもちろん、首里城独特の大工様式や技術について質問もありました。中国と日本・沖縄の様式の融合部分などをご丁寧に説明いただき、ありがとうございました。もうやがて白いヒノキの「すっぴん」状態は見れなくなります。見学の皆様は熱心に「唐破風」の瓦の納まりを見学されていました。】

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【窯業組合なので瓦工場への見学を希望されていたので、知り合いの「島袋瓦工場」に案内しました。首里城復元工事の工事は「沖縄県赤瓦工業協同組合」に県が発注、管理もしているようです。
島袋社長とは久しぶりにお会いしましたが、お元気で原料の土置き場から製品工場までご案内いただきました。】

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【工場では製品になるまでの工程を説明していただきました。誤差は4oまで、仕上げの最後は「手仕事」。悩課題は瓦の原料になる「土」をどうやって確保するか、だそうです。】

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【展示場ではシーサーのことや瓦の種類について説明されました。お忙しいなか、ありがとうございました。】

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【島袋瓦工場で二手に分かれた見学となりました。一方の班は我が家をはじめ、私が設計した住宅を3件見学されました。特に沖縄市諸見里の住宅では建て主さんご夫婦と直接お話ができたので、瓦以外のの持ち帰りもあったと推測します。また自宅に戻ったので下3人で「歓迎の歌」を歌いました。「魔法の言葉」と「にじのうた」は手話付き、毎朝6時半から行っているNHK「ラジオ体操」の歌を元気に歌いました。
9月15日の「同窓会」でこの3人に加えて高校生2人の合計5人でもてなしたいと思っています。】

皆様、おげんきで。また長男のいる松山市に行ったとき、お会いしましょう!
posted by 塾長 at 13:48| 建築

2023年12月08日

連載「歴史に学び 文化で築く」第7回 柔剛一体その2 「ヤジロベー」と「心柱」

沖縄建設新聞で連載中の「歴史に学び 文化で築く」の第7回目が発刊されましたのでアップします。
今回は前月に続き「柔剛合体 その2」として「ヤジロベー」と「心柱」がテーマです。

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沖縄建設新聞社さんと連載契約は当初、1年(12回)でしたが、先日1年半(18回)に変更になりました。どうぞ今後ともご愛読のほど、よろしくお願いします。

また全然別な話ですが、先週日曜日から3日間、テレビ朝日の「ナニコレ 珍百景」のロケが自宅や自宅周辺で行われました。内容は契約書によって明かせられませんが、放送は来月(1月中)の予定と聞いています。

現在首里城の復興に一番若い地元の大工で携わっている二女・亜和(あや)もNHKやRBC,OTVなどから現場で取材を受けているようです。テレビのない家なので、事前に放送日が分かればとりあえず家電量販店の「デオデオ」に家族10人で見に行きたいと思います。
posted by 塾長 at 16:59| 建築

2023年07月09日

「歴史に学び・文化で築く」第2回「西洋との違いで見える日本の住まい」

令和5年7月5日付け、沖縄建設新聞の連載、「歴史に学び・文化で築く」の(第2回)「西洋との違いで見える日本の住まい」が掲載されましたのでアップいたします。

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小学校依頼の田んぼの稲もだいぶ伸びました。梅雨明け以降、ほとんど雨が降っていないので、いつ地下水が止まるか心配です。これまでも何度か水が枯れたことがあるからです。

必要最低限の水しか現在流していません。水温を下げるために浮草も適度に調整しています。

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【左1番田、以下2番田〜4番田まで。】

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【右1番田〜4番田まで。】

今日も朝夕の田んぼの見回り、水の調整、雑草刈りをしてきます。
成長が楽しみです。田んぼに多くの生きものが寄ってきます。完全無農薬の田んぼ。我が家が「ぬちゆるやー(命がたくさん寄ってくる家)」なら学校田んぼは「ぬちゆるたー」です。
posted by 塾長 at 06:36| 建築

2022年12月15日

日本の建築文化の一端

12月12日、長らく進まなかった玄関小屋組みがスタートしました。

随分と時間が過ぎましたが、その成果がやっと見えてきました。
首里城の工事に携わった大工さんも現場にいますが、その方曰く、
「首里城より数段レベルが高い!」と・・・。

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【玄関小屋組。ヒノキの24p角の柱の上に平虹梁、その上に三斗組(みつどぐみ)、その上に丸桁(がぎょう、がんぎょう)、二軒の地タルキまで架けました。まだこの先の飛檐(ひえん)タルキは未施工です。彫刻は二女の亜和(あや)です。マス組は親富祖(おやふそ)棟梁です。
は曲がっている海老虹梁(えびこうりょう)も入っています。】

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【軒先は柱から1,100o出る設計です。台風対策のため本体から3本の桔木(はねぎ)ではねさせました。大屋根と同様、小屋根の破風板(はふいた)も反りの入る蓑甲屋根なので野母屋(のもや)の下に化粧の差し母屋が入っています。】

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【隅角部のモヤの仕口は捻子組(ねじぐみ)でお願いしました。一方のモヤを蟻掛けで出さない「捻子組」は難しい仕口です。】

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【しかも隅は正面は4.5寸勾配、側面は5寸勾配の「振れ隅」。正面側の勾配がゆるいと入母屋屋根の姿がきれいに見えるからです。大工さんはだいぶ苦労されたようです。正面と側面の勾配が違うことを証明するのは45度でない隅。勾配が同じだと45度なら左右の欠き込みの寸法が同じはずですが、御覧の通り異なります。】

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【最後に自分も棟木を納めさせてもらいました。苦労が吹っ飛びます。】

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【次の日、大切な木材を雨から守るため「素屋根」を架けました。公共事業の体(てい)を成しています。】

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【塔屋の大工、屋根、サッシ、板金工事などに足場が必要だった。今度は瓦を葺いた後に左官工事や防水工事が入る、そこで瓦の上に足場が必要になった。どうしよう!いろいろ考えた挙句、瓦の上に瓦を傷めないように畳を敷いてその上に足場を組むことにした。畳表を丸めて畳下に緩衝材として入れた。】

本格的な木造建築には、日本の伝統的な技がさまざま生かされています。ひとつの「文化」と言えます。これから完成に向けて日本の木造文化をいかんなく発揮していきたいと思います。

その裏には技術以前の日本人のもつ寛容性や思いやりなどの心と、成し遂げようとする強い意志が必要だと思っています。施主は元より、大工さんをはじめとする多くの皆さんのご協力に感謝申し上げます。
これからの残った仕事もがんばるぞー!
posted by 塾長 at 15:13| 建築

2022年12月03日

「純国産化」へ・・・

11月30日付の沖縄建設新聞。最後の連載原稿が掲載されました。

6回目なのでこれが最後です。
やはり最後となれば一番言いたいことを書きたくなります。テーマは「国産化」としました。

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【沖縄建設新聞 第1面「建設論壇」 最後の連載記事】

身近な話題としては伝統建築の大工見習中の二女が購入しようとしたコンプレッサー(圧縮機)。機械販売の営業マンによると「日立もマキタも中国に頼っているので、値上げが著しいが何も言えない。中国の工場のラインさえ鶴の一声でストップする。」そうだ。

連載記事が載った後の昨日そんな話が現場であった。農業も工業も同じ。日本の技術を全部持っていかれて、今は逆転。発展途上国の中国は日本からODAで多くの支援をもらったが、恩を仇で返すように今度は日本という先進国の首の根っこを掴んで牛耳るようになりました。

高度経済成長期の日本は、安い賃金や土地を利用して海外に進出しました。ところが中国のような国もあります。貿易相手として欠かせないほどの取引をしているので、もうにっちもさっちもいきません。相手の言いなりです。
国の考えや経済人の浅はかな考えだったと言わざるを得ません。自分たちと同じ考えではないことを、今からの人たちは肝に銘じなければなりません。国産にもっとこだわるべきでした。以下、記事をご参考に・・・。

「さい帯血による再生医療」についても同じことが言えます。
小児脳性マヒの治療に「さい帯血が有効」ということはずいぶん前から言われていました。そもそも発見者は日本人です。ところが今は米国が大幅に進んでいます。やっと日本でも「きょうだい間」のさい帯血治療の臨床研究が始まりましたが、米国はすでに臨床研究を終えてEAP(拡大アクセスプロトコル)の域に入っていて25歳まで輸血できます。

何が問題か?厚労省の専門委員会の議論も読みましたが、患者や患者家族のことなど頭にない人が多く、妙にエビデンスの人権や親権などに終始していました。
新型コロナの臨床研究はあっという間に終えています。現在、きょうだい間の臨床研究は5人の小児患者の経過観察中と聞き及んでいます。

初期のさい帯血治療に関わった相良先生からお手紙をいただきましたので、アップいたします。先生からは著書もいただきました。
厚労省の遅々とした対応に患者家族は指をくわえて待つだけなのか・・。
いろいろ相談しましたが米国のデューク大学のEAPに参加申請しよういう気持ちもあります。何故かというと、当事者の万然がもう5年生になっているからです。来年は6年生になります。初めて「さい帯血による再生医療研究会」に参加して5年過ぎました。渡米にはお金もかかるし言葉も違います。しかし背に腹は代えられないので決断しようとしました。

ところが日本の医療技術を信用して自家さい帯血による研究が進んでいた高知大学の研究を待とう、と決めていた初心をまた取り戻しました。
「もう少し待ってみよう!」

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建築の世界だけでなく、あらゆるところで海外依存が進んでいます。医学もそうです。新聞で「国産化」を訴える以上は建築だけでなく食も衣もなんの分野でも国産化できそうなら応援すべきと考えました。そして自ら実践しなければならないと考え直しました。

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【相良先生執筆のご本】

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【万然の学習発表会。心然はボール拾いを自主的にしました。】

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【見学時は正座でした。】

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【心然の運動会。リレーでのバトン渡し。保存しているこの子のさい帯血が万然に輸血される日は来るのか?】

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【満4歳になった第10子の心然。きょうだいが作った誕生ケーキ】

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【第9子の「わかみこ」から折り紙ケーキをプレゼントされて嬉しそうでした。第8子の「こだまこ」からは車好きの心然に、同じように手作りの「飛び出す車」が贈られました。】

心然が満4歳になったということは、「投与できるさい帯血」を採血して「丸4年」経ったということです。それ以前から「さい帯血治療」の有効性を説く講演会や展示会をしていたので足掛け5年の活動です。

国という得体のしれない組織は難しい相手です。特に厚労省はこごわい。なんとか「国内」での治療ができるよう活動していきたいと思います。最後まであきらめない「サムライジャパン」のように・・・。

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【専門の彫刻家に頼まず製作した虹梁。伝統建築の見習い大工の亜和(あや)も現在2年目。12月7日にやっと玄関部分の棟上げにこぎ付ける予定です。】
posted by 塾長 at 14:56| 建築

2022年10月01日

職人の手

9月25日、熊本から「ふちた板金工業」の社長が現場採寸のため来沖されました。捨て谷をはじめ雨切りや庇(ひさし)の屋根、出窓の屋根、サッシ周りの外額縁の水切りなどを熊本で製作し、現場で取付してもらう仕事です。

沖縄でも建築板金の職人さんを探しましたが、指定のカラーステンレス0.35o厚に唐草を付けて加工のできる人は右から左にはいませんでした。そこでこのままなら技術が継承できないため、取付時には沖縄の板金屋さんも一緒に仕事してもらうことにしました。

板金工事の職人さんは手の握力が強いと言われています。ハサミを使う手仕事だからです。せっかくなので熊本と沖縄の板金屋さんの手を見せてもらいました。

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【沖縄の多嘉板金工業の社長の手です。】

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【沖縄のふちた板金工業の社長の手です。こぶはありませんが、指の周りの筋肉で固まっていました。】

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【上から捨て谷入れ。瓦下の樋。その端部。箱棟周りの捨て谷(2重3重に捨て谷が入ります。特に瓦下の樋はふちた板金工業のお父さんが編み出した技術だそうです。】

27日採寸を終えて帰られる前、どこにも行っていないとのことだったので「米軍嘉手納飛行場」に連れて行きました。新しくなった道の駅・かでな。4キロメートルに及ぶ東洋一の滑走路を持つ嘉手納空港。常時100機が駐機しています。「広い!」と言ってしばらく眺めていました。

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【体重90キログラムの私が小さく見えます。高校時代は柔道でならした体格。柔道3段だそうです。こんな大きな人がミリ単位の仕事をします。】

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【スロープ上の水平庇。そぐ横に勾配付きの庇がつく予定です。】

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【ヤードではその加工が進んでいます。屋根勾配は3寸ですが、スロープと同じ1寸2分の勾配のつく庇です。なかなかむずかしい・・・。】

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【前例があるので再確認のため空港近くの現場を見に行きました。これもふちた板金工業の仕事ですが、亡くなったお父さんが施工されたものです。】

板金に限らず、日本の伝統技術はすたれつつあります。なんとか歯止めをかけないと、このまま消滅します。そこで伝統木造技術を継承し、日本独自の木の文化を後世に伝えるために、沖縄で職人同士のネットワークを立ち上げたいと考えました。

なぜなら今でもノミやカンナを使って仕事をする大工さんが極端に減っているからです。現在はツーバイフォーやプレカット工法などが台頭し、手仕事で木組みをする機会がほとんどありません。簡単に言えば人材不足。ひとり親方が多く、ネットワークも貧弱です。

伝統建築のできる大工さんを一元的に捉えて仕事の分配、技術の研究、後継者の育成などを無報酬で行っていきたいと思っています。日本のすばらしい木造技術、木の文化を通して日本人の心がよみがえることが目的です。仲間が揃ったらまた記事としてアップします。
posted by 塾長 at 13:15| 建築

2022年06月26日

「見上げの美」(軒裏の美しさ)

沖縄の梅雨がやっと明けたので現場が動き始めました。現在屋根下地の垂木(タルキ)打ちが道半ばです。大屋根のタルキ打ちは反りや蓑甲(みのこう)があって大変です。
今回は図面上見えないところ、例えば「見上げの美」(軒天井の美しさ)について書きます。

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【これは法隆寺五重塔の立面図です。立面図は水平距離が無限の位置から見た図面です。】

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【これは法隆寺五重塔の立面図です。ともに「軒裏」(軒天井)の姿は見えません。ところがこの住宅を設計する時気に掛けたのは、図面には見えないけれど実際には見える部分の美しさです。実際の目線でみると「軒裏」は全部見えます。だから化粧で見えるタルキの材質や間隔には気を配りました。】

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【これが実際みえる五重塔です。立面や断面では見えなくても、実際の目線では軒裏(軒天井)は全部見えます。立面や断面では水平距離無限なので、面積計算などには必要です。】

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【これは現在進行中の住宅の立面図です。軒裏(軒天井)は見えません。】

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【大屋根部分の垂木打ちは進みました。上部に見えるのは「箱棟」の下地です。これに熨斗瓦(のしかわら)が9段かぶり先端には人間国宝の渡部鬼師が製作した「鬼瓦」が鎮座します。妻側の端は「蓑甲(みのこう)」になります。蓑甲はそもそも妻側の納まりを美しく見せるための構法です。タルキ間隔は通常400oにしていましたが、今回は317oです。玄関屋根組みはこれからですが、237.5o間隔の予定です。】

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【大工見習いの次女・亜和(あや)も屋根下地づくりで頑張っています。】

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【道路が敷地に徐々に入ってくるので、それに合わせて屋根も段々になります。この部分の屋根納まりは瓦1枚ずつ割り付けるので大変複雑です。ただ面倒な分、完成したらうなるような軒裏の美しさが見えてくると思います。


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【柱のない部分のモヤを支える「持ち送り板」です。】

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【昨日現在の垂木打ち状況を下から「見上げ」た写真です。足場の間(写真右側)から段々に切れて登りあがっていく「軒裏(軒天井)の美しさ」を垣間見ることができます。】

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【昨日、木のベランダに「柿渋」を塗りました。透湿防水シートで覆っていましたが、梅雨も明けたので全部取り、少しシミが入ったところを私がサンダーを当て、その後を家内が塗りました。「柿渋」が浸透したので少し雨で濡れても安心です。】

見えないところに力を入れるのは、服でいえば「裏地」のようなものです。図面では表現できなくても、私が木材を拾い出しした時や納材の時、大工さんが加工する時にも化粧垂木には1本1本気を使いました。大工さんは道路側には無節、その他は特1等品に・・・、と選別もしました。

表も裏も大事です。図面では表現できないところ、木造建築でいえば軒裏。間隔や品質などに気を配り完成後その配慮や美しさを感じ取ってもらえればありがたいと思っています。

「見上げの美」(軒裏:軒天井の美しさ)にも増して大事なことは、かかわる人たちの「心の美しさ」ではないかと思っています。
posted by 塾長 at 12:01| 建築

2022年05月08日

上棟!

昨日夕刻、約1年1ヵ月かかってやっと大屋根の棟上げができました。長い1年でした。
木造2階建ての住宅約100坪を伝統構法で設計。屋根に反りを入れ、大スパンがあり、宙に浮く心柱を重力の中心に入れる設計です。特に施工する大工職人が早々いなくて、やっと探した棟梁も初の挑戦。沖縄の大工さんも初めての構法なので苦労したようです。

木材の調達も大変でした。特に天然乾燥材を使うことにしたので、いろいろ難儀しました。
これからも玄関の小屋根や反り屋根の屋根仕舞い、屋根、外壁、床の二重張り、和室の仕上げなど、まだまだ難工事が待ち受けていますが、なんとか完成までもっていきたいと思っています。

施工する方々の協力なしにはできないので、日本の伝統建築への理解を図りながら最後まで頑張りたいと存じます。

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【合掌を入れる途中】

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【最上部の小屋組。心柱を吊る合掌部分の納まり。】

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【心柱を一旦約100oジャッキで上げ、徐々に下げて浮かせる。心柱を合掌や方杖は下げ止まらせるための部材。心柱は他にも4本の大きな隅梁や2層の放射梁、小屋組から伸ばした丸太梁などもで支える。ただ、ジャッキアップの時は「ミシ、ミシ」と音がした。】

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【心柱頂部。天端は合板で養生してある。】

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【2階床高は2階大引きから95o上がり。全体の高さをチェック中。】

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【宙に浮く心柱。今後の瓦の重量やホゾの隙間の沈下を予測して予定(床高より750oが心柱の下端より49o高く浮かせてある。1年間で約1センチ下がると考えている。】

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【大屋根の棟木を入れる(棟上げ)。後方に見えるブルーシートは心柱のある塔屋を養生した状況】
posted by 塾長 at 12:09| 建築

2021年12月09日

軽石の利活用

先日、熊本の建築士会で実践活動をしていた友人から連絡があり、「沖縄に漂着している軽石が欲しい。」と連絡がありました。

理由を聞くと沖縄県が募集している軽石の利活用に応募するとのこと。沖縄に限らず日本の海岸には海底火山の爆発で大量の軽石が流れ着いています。

沖縄では生活物資や観光、漁業などに大きな影響が出ているところもあります。相談相手はコンクリート構造の研究者で長年、大学に勤めていた方です。
沖縄のためにも、建築のためにもなるならと思い、送ることにしました。

結果は教えてくれるそうなので、また公表します。

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【海岸に打ち上げられた軽石。(中城湾内)】

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【ニュースでは知っていたが、実際、漂流した軽石に触れるのは初めて。軽石なので「軽かった」(お風呂で使う軽石よりもっと軽い)。海藻がどうしても絡んできたが仕方がない。そのまま送ることにした。】


posted by 塾長 at 05:46| 建築

2021年12月06日

月桃(げっとう)タタミ!

ウィズシロアリで暮らしているが、これまでシロアリ被害で畳を何枚替えたことか!

ハエやシロアリを好きな人は少ないと思いますが、ともに自然界では分解者としての役目を果たしています。・・・とは言え、森の中の家での生活ではシロアリ被害が絶えません。

特に畳は生活の場に欠かせないところなので、即、対応しなければならないので思わぬ出費で参ってしまいます。
先日も
いつも家族がいる3畳の間の畳表にその兆候があったので調べたら、「やっぱり・・・」

そこで今回は以前にも試したことのある月桃入りの畳を注文することにしました。畳屋さんも以前挑戦したことがあるそうですが、月桃の茎が固くて凸凹感があって失敗したそうです。

3畳の間の1枚に被害があったので、1枚だけ替えることに・・。またこれまで建材床の主材料である発泡スチロールを食べていたので、あえて藁(わら)床にしてみました。
なぜかというと、スタイロタタミだとまたまたシロアリが好物のようなので被害をこうむるからです。
藁床だと糸穴から通気します。まんべんなく月桃の香りがタタミいっぱいに広がると見立てました。

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【わら床(とこ)だとダニが発生するとは聞きましたが、シロアリへの忌避作用に期待しました。】

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【我が家の敷地にたくさん生きている月桃。1か月以上はした月桃を大山タタミ店(宜野湾市)に持ち込み、今回は細かく切断し。畳表(沖縄ビーグ)と藁床の間に敷き詰め、高熱(100℃)で圧縮しました。】

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【最後に縁(へり)で閉じて終了】

わずか15分ほどで「ゲットウタタミ」ができました。さっそく我が家に敷いてくれるということになりました。
まずは「香り」。畳から月桃の香りがします。敷き替えた畳は1畳ものですが、この畳の上で障害を持つ「万然」がいつも寝ています。だからきっといい香りなので喜ぶと思いました。

次は「柔らかさ」。他の2枚の畳は建材畳なので跳ね返りがあります。月桃タタミは「ふわふわ」していました。きっと「わらどこ」のせいだろうと思います。これも敷いてみないとわかりませんでした。
日本は瑞穂の国。稲刈りの後の藁の再利用になります。また仮に焼却してもダイオキシンは出ません。

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【第九子の「わかみこ」や末っ子の「心然(しんねん)」は大喜び。なぜかというと藁のクッション性に気づいてピョンピョン跳ねるのが楽しそうです。】

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【欠点といえば藁床の畳は重いこと。だから今回は約950cm角にして2枚敷きこむことにしました。抱えてみるとずっしりしますが、これならシミや破れがあっても半畳替えればよいので経済的でもあります。重さも半分なので私でも移動可能です。しっかり「畳たたき」をして維持管理に励みたいと思います。】

ついでにお話しすると畳店を見学した帰り際、「これもタタミですか?」と聞いたら、「フチなしタタミです。」
「畳床も表も全部化学製品です。そうしないと縁(へり)無しタタミはできないのです。」「・・・・」

縁(へり)なしタタミは流行り(はやり)のように最近の住宅に敷かれつつありますが、大事な何かを忘れているように感じました。

さて久しぶり〈8か月ぶり)に千葉大学に通う長女・依奈(えな)が帰省しました。彼女は現在3年生ですが、介護やパン屋さんのバイトを続けています。学業も忙しいし、合気道も頑張ってます。我が家から彼女に送金したことはありません。親孝行の娘です。久しぶり「12名家族」が揃いました。

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【正月休みは介護のバイトがあるので帰れないということで、妻が郵便局に復職、下二人が保育園に通いはじめたので家庭生活が一変したこの時期に応援の意味で帰ってきました。「ありがとう!」です。助かりました。】

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【こちらは次女。現在午前中は加工場、午後から自宅で海老虹梁の彫刻が毎日の日課になっています。】

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【私は今日、和室関係の柱の番付に行ってきました。150mm角(仕上げ寸法145ミリ角)の土佐杉の赤味です。乾燥品ですが4mなので結構動かすのに大変でしたが、無事、適材適所に配置できました。いよいよ切込みもも佳境を迎えつつあります。】

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【長女が帰った後も動物への餌あげや草刈りは休まず続いています。まだ保育園にも慣れないので大変です。家族で家のまわりの掃除をしていると、いつも通る農家の人からバナナをもらいました。末っ子ですがしっかり者でもあります。】
posted by 塾長 at 17:50| 建築

2021年08月18日

土佐和紙・壁紙 「住まいる」ニュースに紹介されました。

いつもお世話になっている土佐和紙のメーカーである(有)ハウスシステムさんが当設計事務所を紹介してくれました。ありがたい話です。

先日は壁紙としてではなく、曲がりのある梁「海老虹梁」や反りのある「破風板」の原寸を描くのに必要になった和紙を手当てしてくれました。

これまでも自然素材であるコウゾやミツマタなどを使った手漉きの和紙を購入させていただいています。

直接お会いしたことはありませんが、日本の文化をともに継承、啓発していく者として物言わずとも心は通じていると確信しています。

ハウスシステム様にはご紹介いただき、感謝申し上げます。

ニュースの記事は下記の通りです。

http://www.tosawashi.com/smile/index.html

今回は壁紙ではなく、原寸型紙に使わせていただきました。
鉛筆や墨の付きがよく、丈夫で変形しないので伝統木造住宅の型取りには打って付けです。新しい土佐和紙にの使い方かもしれません。
21日、28日のイベントで紹介する予定です。

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【破風板の反りを原寸板から原寸紙に書き写したもの】

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【型紙を切り取って熊本まで送り、製材所はこの反りに合わせてヒノキ材を無駄なく厳選した。】

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【海老虹梁も同様。設計した曲がりに合わせて棟梁が加工する。和紙は重宝!】

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【伝統構法の象徴「マス組」。これも土佐和紙に原寸を描いた】

posted by 塾長 at 18:45| 建築

2021年04月28日

中国の脅威

沖縄に住んでいると以前住んでいた熊本とは異なり、安全保障問題を身近に感じます。購読中の八重山日報本土版には毎日中国の海警局の公船が何雙、接続水域に入った、領海侵犯したと報道しています。尖閣列島を公然と中国の領土を証明するかのように地形図や海図、歴史書などを公表したりしています。

昨今の中国の態度を見ていると日本に手を出させるように挑発しているのが分かります。米軍基地があるから抑止されていますが、いなければアッという間に奪われるのは目に見えています。
その後は台湾、沖縄が狙われることでしょう。

中国共産党の非道なやり方はウイグルや香港などの例を見るにつけ、恐ろしい人権侵害の常態化です。自国民の人権を奪い命まで搾取する国がすぐ近くにいることを思うと不安が募ります。また、人権侵害にあっている多くの方々をどうして国連が守れないのか、国連の無力さを思い知らされます。

国内は野党も報道関係もスキャンダルや何でも反対のオンパレードで、実にくだらない。政府の悪口ばかりで武漢ウイルス対応に国を挙げて対応しようという姿勢が全く見えません。

我が家にはテレビはありませんが、たまに車に付いている小型TVをみると、無責任なコメンテーターが行政批判、バラエティーに至っては平和ぼけと言われてもしようがないほどの低俗番組を各局が競って流していました。

一方では旭川市の女子中学生がいじめで零下17度の川に飛び込まされ後自殺した悲惨な事件が発生しました。これは氷山の一角でしょう。全国にはいじめや虐待でつらい目に遭っている人たちがたくさんいると思います。

自己中心、人間中心の価値観が戦後の日本にはびこっています。今の日本はまたまた高学歴時代になりましたが、世の中で大切なことは学歴ではなく自分以外の命やモノに対して優しく出来るかどうか、お金だけではなく人が困っているときどうやって手を差し伸べられるかではないかと思います。

日本人は義理や人情で生きてきました。最近は打算が多いような気がします。大きなことは言えませんが、せめて我が家では日本人の心を継承していきたいと思います。

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【日本の伝統建築技術を沖縄でもつなぐための木造住宅を設計しています。これは大工さんの描いた原寸図を確認しているところ。屋根の反り具合を3度にわたってやり直した後の確認です。】

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【私の描いた図面から大工棟梁の中村さんが各通りの架構図を書いています。30通り分を書いています。】

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【作業場横の木材置き場の空き地で第10子の「心然」(2歳)がバギーのストッパーを外し、第7子の「万然(ばんねん)」を押しています。】

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【ヒノキは熊本から送られてきました。全体で150立方メートル以上木材を使います。その内の5分の1です。梁に使うヒノキの丸太はなるべく曲がった木をお願いしました。今はまっすぐな木が主流で、曲がった木はチップになるとか?自然の木の使い方を誤っていると思います。】

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【宮大工見習いで社会に入った次女の亜和(あや)。第2の木材置き場を糸満市に作り、荷下ろしをしたときクレーン車に合図をしているようす。(上)木材の検収(中)。丸太の皮むき作業中(下)】

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【現場のようす。型枠入れと配筋状況。基礎を見るだけでも複雑で難しい現場です。】

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【新社会人になったあやに続くように、25日妻が新古車を購入しました。1台では第9子の幼稚園児(わかみこ)と第7子の特別支援学校児の万然の送迎と私の仕事が時間的にかぶるからです。彼女はいずれにしろ11月から郵便局に職場復帰することを考えると必要不可欠な選択でした。これで草刈り用の軽のボンゴと合わせて4台になります。税金や保険料がたくさんかかりそうです。】

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【最近は現場や作業場、自宅での施工図描き、他の施工図のチェック・承認、専門職の見積り・査定・発注、打ち合わせ、私的には「さい帯血による再生医療の制度利用」などをスタートさせたのでオーバーワーク気味です。設計監理以外の仕事もたくさんあります。なんとか連休まで体と心を持たせたいと思っています。家の草花に集まるアゲハチョウやオオゴマダラなどの蝶の来訪に心を癒やされます。】
posted by 塾長 at 20:07| 建築

2020年02月21日

「細部から文化が見える」連載 第29話 通潤橋A本体

本日のタイムス住宅新聞に連載中の「細部から文化が見える」の第29話が掲載されましたので転載します。

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石橋シリーズの5回目で通潤橋では2回目の記事です。
今回は水路に続き石橋本体に秘められた先人の知恵と技から見える地域文化を紐解いてみました。
次回はその延長で、通潤橋を含めた「通潤用水」について検証します。
posted by 塾長 at 09:47| 建築

2019年12月20日

連載第27話「岩永三五郎」と首里城復元に思う・・

本日、沖縄タイムスの副読紙である「タイムス住宅新聞」に連載中の「細部から文化が見える」の27話「岩永三五郎」が掲載されました。石橋シリーズの第3弾です。

前回までは沖縄や日本での石橋文化の総論的なこと書きましたが、今回から具体的な内容になります。
建築とは少し離れるようですが、実は石工と大工は表裏一体です。今後の記事で明らかになっていきます。

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さて、首里城の火災について、つとに考えることがあります。ひとつは原因がまだ究明されていないのに那覇市や沖縄県、報道各社が寄付を募ることです。

約30年架けて復元された首里城は本年1月に完了。その直後の本年2月、国から管理・運営を移管された県は、(一社)沖縄美ら島財団にさらに委託していたとはいえ県には大きな責任があります。国民の税金を使って再建された本殿以下の建物の所有権は国です。国から預かった貴重な財産を一夜にして灰にしました。雷が原因の火災ではないので人災です。熊本地震(天災)の時の寄付金とは訳が違います。その県が火災直後から民間に寄付を募ったり、管理・運営を移管してくれた国にすぐにお願いにいく行為は不謹慎だと思います。まずは原因の検証と反省でしょう。

また、寄付金を新聞紙上で大きく紹介することにも違和感があります。使途も決まっていないのに小学生がこれまでのお年玉を寄付した話から数万円〜1千万円単位で寄付する企業名を写真入りで大事な紙面を使い毎日何件も紹介されています。対応する行政の長も、もったいない時間を費やしています。
日本での寄付とは元来、匿名で慎ましく渡すものと思っています。赤い羽根や自然災害の地震や津波での被災応援の個人募金はみんな匿名です。
企業や団体、個人が堂々と名前を出して、行政の長を相手に寄付金を贈呈する記事を見ると売名行為にしか見えません。もっと謙虚な寄付の仕方があっていいのではないのでしょうか。

最近は学校でも「寄付は自由」と言いながら、寄付した子どもの名前を書かせていました。これでは寄付どころか「徴収」と言わざるを得ません。

百万円、1千万円単位で寄付する先は、正月を控え経済的に苦しむ人たちを優先すべきです。それにしても、沖縄経済は本土に比べたら厳しいと言いながら、よく大金をだせるなぁと感心してしまいます。

徐々に火災時の管理体制が判明してきました。もともと全部木造で造られた首里城内でイベントすること自体が問題だと思います。しかも分電盤の電源を切っていたとか、本殿のコンセントから夜間照明用の電気を引いていたとか、警備員が眠っていたとか・・・ずさんな県の管理が浮き彫りになりました。

県は首里城をなるべく早く再建したいと言っていますが、いつの時期の首里城で再建するつもりなのでしょうか?首里城は今回の火災で5度焼失しました。
琉球王朝が誕生した1429年は日本では室町時代。当時の瓦は中国や日本から運ばれたと思われます。「大和旅のぼて・・・瓦買いにのぼて・・・」との記述。(おもろそうし)「冠木門」(田邊 泰著)
註:沖縄戦で焼失前の首里城のカラー映像では瓦は赤ではない。(米国立公文書館)

そうなると赤瓦での再建ではなくなります。昭和17年発行の「琉球」−建築文化−(伊藤忠太著)に挿入されている写真では、外壁も焼失した朱色の総漆塗りには見えません。伊藤忠太博士(東京帝大)が首里城の解体寸前に「待った」を掛け、その後国宝に指定し保存された以前の姿なのか、それよりさらに以前の創建当時の姿なのか。(基本的には創建当時の首里城に復元すべき、と考えます。)

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【「琉球」−建築文化−」(伊藤忠太著)から引用(昭和17月11月7日発行)】

沖縄戦では、首里城下に地下壕があり(日本軍第32軍司令部壕)歩行不能になった重症者約5000名が自決した魂が眠っています。一方では琉球王朝の圧政(人頭税の取り立て)で宮古・八重山の人々は「人減らし」で苦しんだ歴史を持っています。
このような歴史の上に豪華絢爛の派手な建築物を復元して足で踏む施設を造ることに、なんとなく心情的に抵抗を感じます。防災管理など科学的には原因究明をおろそかにすると同じ運命をたどるのではないかとか、心配しています。

首里城は日本と中国(シナ)の建築技術が入った珍しく貴重な建物です。しかし、世界文化遺産の城(ぐすく)群の対象は「建物」ではありません。近くの中城も今帰仁城も、どこのグスクも建物はありません。

首里城復元に反対しようとは思いませんが、今一度どの時代の姿に復元したいのか、その意義は何なのか、よくよく考えて計画してもらいたいと願っています。
posted by 塾長 at 12:52| 建築

2019年10月18日

連載第25回(10月)「400年前の自動ドア」

「細部から文化が見える」の連載、25 「400年前の自動ドア」が掲載されましたので、添付いたします。

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今後数回、石橋文化について書き込みたいと思っています。

TKU(テレビ熊本・郡司様)、熊本市富合町まちづくりセンター、熊本市の関係者の皆様には大変お世話になりました。ありがとうございました。
posted by 塾長 at 16:08| 建築

2019年08月16日

新聞連載第23話 「わび・さび」(京都編)

「粘りの熊工」も3回戦では通用しませんでした。5:6で負けました。
野手のエラーと投手交代の采配ミスだと思います。やっぱり、熊工は後攻が似合っています。

さて今日は、タイムス住宅新聞の連載掲載日です。今回は前回に続き「わび・さび」ですが、京都編としました。今の日本人、とりわけ沖縄の住まいに「わび・さび」を求めるのは無理かもしれない、とい悲観的な見方をしています。今後この地はどうなることか?ご参考までに、添付いたします。

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posted by 塾長 at 10:09| 建築

2019年03月16日

連載18「宙に浮く心柱〜御魂を守る文化〜」、「パネル展」「講演会」の案内

忙しくて発刊日より遅れて連載記事を掲載します。
今回は「宙に浮く心柱〜御魂を守る文化〜」。最近はこれまで以上に「建築は従」と思っています。環境教育も人格形成のひとつの手段として位置づけしています。つまり、環境教育や建築を目的化していません。年を重ねるとともに、人生観は微妙に変化していくのだな、と思います。

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【平成31年3月15日付けタイムス住宅新聞連載(毎月第3週の金曜日)18話「宙に浮く心柱」のコピー】

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【沖縄タイムス北中城村での記者会見の様子の記事と林間学校、パネル展の案内】

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【タイムス住宅新聞のニュースで3月31日の宙に浮く心柱の公開と講演会案内を掲載した記事】

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【先日産まれたウサギの赤ちゃんが離乳期に入りました。5羽のうち、まだ乳離れしていないウサギの子たち】

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【離乳してセンダングサを食べるウサギの子たち】

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【隣の部屋ではまた新たな命が誕生。6羽いると思われますが、今は人のニオイを移せないのでさわって確認できません。今しばらくの辛抱・・・。しかし、生きものはみんな小さなうちはかわいいなぁ。】

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私事で恐縮ですが、長女は千葉大学に合格しました。北中城中学校出身の朝之君が九州大学、由菜さんが東京外大に合格して、ともに卒業した球陽高校の張り出し看板に氏名が掲げてありました。
長女・依奈は県外進学大学生支援事業(給付型奨学金)の枠、25名に球陽高校で唯一通っていたので、「親孝行」です(?)。
ついでに先日の高校入試で長女を追うように三女が球陽高校理数科に合格しました。同じ高校の同じ科の先輩・後輩になります。ともに、健康に留意して社会のためになる人材になってほしいものです。

なお、18日から始まる北中城村役場でのさい帯血「パネル展」で、活動への賛同者の署名をお願いすることにしていますが、時間が合わない方や遠方の方には下記のメールアドレスで受付をいたします。

さい帯血による再生医療への理解と、さい帯血のきょうだい間投与を推進する活動にご賛同される方は、どうぞ下記の専用アドレスにご氏名、ご住所をお知らせください。情報を他に漏らすことはありません。
よろしくお願いいたします。

nuchiyuruyan@yahoo.co.jp
posted by 塾長 at 10:29| 建築

2019年02月15日

第17話「ご破算(ごわさん)の文化」と熊本講演の記事(沖縄タイムス)

タイムス住宅新聞で連載中の「細部(モデュール)から文化が見える」の第17話が掲載されました。今回は、熊本での講演会でお話した内容と少しだけ重なる部分もあります。文章の最後の方の下りです。

なお、平均加速度・同近似曲線のグラフの説明中、「・・第55回中部地区児童・生徒化学作品展・・」のところ「化学」は「科学」の誤りです。訂正いたします。

第17話31年2月「ご破算の文化」_R1600×1200.JPG


【2月15日付けタイムス住宅新聞 20面21面見開き記事を縦ページに編集】

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【沖縄タイムス2月15日付け 22面 熊本講演の様子と、団体名変更の報告記事】
posted by 塾長 at 11:21| 建築

2018年12月21日

タイムス住宅新聞 連載「細部(ディティール)から文化が見える」第15話(捨て身の文化) とLINE開設のお知らせ記事

 師走。今年もあと10日。
今年最後の連載記事が今日、配信されました。
今回は「捨て」の名の付く建築用語から、日本独自の文化を探ってみました。

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以下は、「さい帯血による再生医療推進ネットOKINAWA」のLINE開設の記事です。デジタル技術に長ける古堅副会長がLINEの紹介をされています。
LINEを使う情報環境にある方で、さい帯血移植に関心の強いお方は、どうぞ訪問してみてください。
私のHPより詳しい情報が掲載されています。

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今年もですが、実に内容の濃い1年となりました。あと10日も、とても忙しい日々が続きますが、どなたさまもお体にお気をつけて、年末をお過ごしください。

24日に心然の日明き祝い(30日)、25日までに環境カウンセラーの環境保全活動表彰の審査申請、28日までに沖電の沖縄県青少年科学展へのデータ記入(三女の作品)などがあります。

今日も午前6時前の暗いうちから、家族でエサあげをしました。
盆も正月も関係ありません。台風時も大雨の時も、動物たちは待っています。

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【まだ暗いので、六女の「わかみこ」は四女の「さわみこ」が手をつないで急で凸凹の階段を下ります。】

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【裏山のイノシシ用に草を刈る「わかみこ」(2歳)。カマもハブも怖い。】

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【終了後は、タチガー(名水百選のひとつ)下の池で手を洗います。】

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【家に帰ってきたら、入り口にあるお地蔵さんの前を竹ホウキで掃きます。】

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【昨日、郷里の熊本から着いた「ゆず」。昨晩は家内が甕(かめ)で作っている白菜漬けにかけていただきました。子どもの一人が「これぞ、日本の味!」といってパクパク食べていました。生まれて間もない心然は私が毎日ヒノキ風呂に一緒に入ります。明日はは冬至なので、「ゆず」をいっぱいお風呂に浮かべた「ゆず湯」に浸かりたいと思います。】

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【最近、めっぽう目つきが鋭くなって男らしさを感じる心然。目が透き通るようにきれいです。TVのない我が家でこのところ人気のDVDは「今日から俺は」。ドラマの中の「伊藤ちゃん」のような正義感たくましい男になってほしいと、ひそかにみんな思っているようです。】
posted by 塾長 at 12:22| 建築

2018年07月04日

津嘉山酒造所 保存修理完了祝い!

 平成23年から始まった名護市にある津嘉山酒造所施設の保存修理工事が完了し、6月30日、お披露目とお祝いがありました。
 昭和2年から建設工事が始まり、昭和3年に完成と年表にありましたが、工事中に見せていただいた棟札には「昭和七年 旧五月吉日上棟」と記されていたので、完成はおそらく昭和8年以降と思われます。
 修理に要した工期も6年の予定が7年かかり、工費も4億円の予定から9,000万円ほどオーバーしたようですが、平成21年6月30日の重要指定文化財に指定されてからちょうどまる9年の平成30年6月30日に修理が完了しましたことになります。完了祝賀会の前に見学する機会があったので見せていただきました。昭和初期の酒造所兼住宅の木造建築が再生されていました。個人的には、修理途中の段階で見学した時の方が印象が強く、完了後はこじんまり納まった感じがしました。どうしても、建築士としての視点になってしまいます。
 それでも一時期米軍に使われたり、酒造りを一時中断したりしながらも生き続けた昭和期の建築が再現されたことには大変うれしく思います。
 今後は国の文化財として、多くの方々の目に触れて、激動の昭和史を思い起こさせる施設として永く後世に遺ってほしいと思いました。

 以下にその様子を簡単に紹介します。

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【酒造所入り口の門。一部、修理を施した。玄関は入って右手にある。工場が主体の感。】

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【住宅にはお母屋のほか、従業員の休憩所や離れもある。】

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【洋小屋組みと和小屋組みの合わせ技。手前が工場、奥が住まい。左に麹屋がある。】

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【壁に組み込まれた無双窓】

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【「離れ」まで通じる回り縁側。手前は8畳の座敷。壁は木ずり下地の漆喰。一間は柱芯で6尺4寸のグリッド。】

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【8畳の座敷にある床の間、床脇、付け書院。天井は敷き目板の目透かしの張り】

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【場所を移して祝賀会の様子。お祝いにかけつけた渡具知 武清名護市長。場所違いだったが、さい帯血による再生医療に挑戦することを明かしたら、理解していただき、途中退席時に家内に激励の言葉をかけてくれた。優しい方だった。】

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【久しぶりに会った文化財建造物保存技術協会の田村さん。現在、群馬県で同じような文化財関係の仕事をされているらしい。】

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【津嘉山酒造の代表社員、瑞慶覧 實さん。修理費の5%は持ち主負担と聞いた。厳しい経済事情もあったろうが、この日を迎えて大変嬉しそうだった。これからは国の文化財なので、誇りをもって保存してほしいと願った。】

 さて、これからは家庭の話。

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【中1の長男・朴然は、週6日ラグビークラブに通って鍛われています。体も一段と大きくなりました。6月30日、初のタグラグビーの試合。まだ、正式のラグビー試合には出られません。3チームのリーグ戦で彼らの「合同チーム」は2勝1敗の2位でした。(ボールを持っているのが朴然)】

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【応援に行った妹二人組は、試合前、初めて見た会場の沖縄市陸上競技場のトラックで走ってみました。】

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【4年生の「こはづき」は、結構、ラグビーボールに慣れています。】

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【完全無農薬の稲も徐々に育っています。白くて小さな稲の花がつき、やっと穂が膨らみ始めました。】

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【万然が通っている特別支援校からいただいた熱帯スイレンの花が咲きました。】

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【やんちゃな2歳の「わかみこ」ですが、完食は上手にできます。一粒、一滴も残さずにポーズしています。】

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【今年は実をつけない我が家の梅の木。しかたなく和歌山から10sの青梅をとりました。毎年家族で梅酒や梅酢、梅干しを作ります。小学校組の二人がお手伝いして梅を洗い、布で拭いたうえでヘタをとります。この過程で雑菌が入ると失敗です。】

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【油断すると、小さい巨人がいたずらします。青梅はしょっぱいだろうに、顔をしかめながらも食べてしまいました。】
posted by 塾長 at 10:07| 建築

2018年06月16日

ホテルライカム(昭和の建築文化)見学会 報告速報!

 本日(6月16日)、北中城村にある築後50年をこえるホテルライカムで「昭和の建築文化」をテーマに見学会を開催しました。(主催:公益社団法人 沖縄県建築士会中部支部)

 ちょうど、台風6号が最接近した午前10時にスタート。雨台風の脅威にもめげず、約30名の老若男女の方々が県内からお集まりいただきました。
 
 趣旨に賛同いただき、貴重な営業時間を割いてご協力いただきましたホテルライカムのオーナーやご親戚の方々をはじめ、主催者の建築士会中部支部、歓迎のご挨拶をいただきました北中城村、ご参加いただきました皆様に感謝申し上げます。

 以下に簡単ですが、速報としてその様子をご紹介します。

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 【台風6号がもたらす雨が降りしきるので、ロビーにて趣旨や特徴をまず説明。ロビーで見学できる人造石研ぎ出しやひさし裏のモザイクタイル貼りなど手作り感を彷彿させる建築技術や木造建築のモジュール(一間を6尺3寸とした平面計画)などを作成した復元図をもとに説明しました。】

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【雨が小降りになったのでこれをチャンスに外で外観デザインについて説明。当初建築の2階建ての部分は、部屋の内部に柱を見せないように設計しているので、外部に柱や梁が見えるデザインになったこと、さらに出窓やひさしを設けたため外部がその分、凸凹になったこと、3階は逆に壁芯を柱の外側に移動したので柱型は消えたこと、しかし、出窓やひさしは残したデザインになっていることなどを話しました。】

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【この後、客室内に移動。オーナーの計らいで2階のシングル2室と3階のツイン1室を開放していただきました。ここは3階のツインの部屋。柱型が出ていますが、部屋の面積は2階より広く、またこの部屋は階段室分を利用した唯一のツインで一番人気。アイドルや俳優が撮影に使う部屋のひとつです。外国人が書いたと思われる壁への落書きも、ここではベトナム戦争などを経た沖縄独自の歴史を感じさせる足跡として違和感がありません。】

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【各室の浴室。36(さぶろく)タイル(1枚のタイルの寸法が3寸6分(約109ミリ角)の団子貼り。モジュールの行く着く先は細部のタイル寸法でした。また、コーナーや上部の仕上げとの見切りには役物(曲線を持つ竹割りタイルなど)が使われており、浴槽も背もたれ付きの大型で洋風になっています。】

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【もうひとつの人気スポット・屋上。大型の鉄製看板や沖縄特有の突き出た柱型などと、周りの風景、自然との関係が絶妙の雰囲気を醸し出しています。あいにくの雨でしたが、熱心な見学者は雨にも負けず、風にも負けず・・・。】

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【客室内の黒電話やラジオ、受付にある電話交換機、ホテル裏にある業務用洗濯機、乾燥機、アイロン台など建築以外の機器も「昭和」を感じさせました。いったん説明を終えたのち、アンケートを書いていただきました。その間、この日のために来ていただいたオーナーのご親戚の方が、建設当時のエピソードを語ってくれました。設計者や施工者のことや当時の社会背景など、これまで知らなかったことを聞いて、さらに奥が深くなりました。見学会のあと、おかげで楽しく解散まで時間を過ごすことができました。】

 雨の中でふつつかな説明を耳を澄まして熱心に聞いていただき感謝いたします。アンケートの回答の中に新聞掲載のタイトルになった「無重力の文化」について、安易に「チャンプルー」に収れんされない奥深さに共感の意を示された方もいらっしゃいました。

 建築士ではない方々は「手作り感、人間味を感じた」、「レトロだけではなく、オーナー以下スタッフの思いやりがありがたかった」などの感想がありました。また、構造劣化への対処、石綿除去などへの課題もありました。

 アンケートから見えてきたことは、今のホテルは人間味が少なく、機械的なサービスであるということでもあります。ただ共通して言えるのは、時代を感じさせる建築物を簡単に解体せずのこしてほしいということでした。何を残すかというと、建築物を通した「沖縄の歴史・文化」ではないかと思います。

 「無重力の文化」を感じさせる貴重な建物「ホテル ライカム」。これからどのようにしてのこすか、今、できることは「国の登録有形文化財」として登録することが先決と考え、職能とかつて住んでいた肥薩線・旧国鉄矢岳駅駅長官舎を登録文化財にした経験を生かして、無償の報酬で取り組みます。

 本日は、ありがとうございました。 
posted by 塾長 at 21:00| 建築

2017年12月15日

新聞連載 第三話「几帳面(きちょうめん)な人」。

 本日(12月15日・金曜日)付けタイムス住宅新聞に、連載「細部(ディティール)から文化が見える」の第三話「几帳面な人」が掲載されました。

 次回は「タチが悪く、ロクでもない」の予定です。

 明日はいよいよ、歩いて登校・・交通安全標語看板の製作活動です。小中学校から約30名の参加があるようです。自分たちの都合で見通しの悪い塀や建物を作った建築士へ反省を促す意味もあります。
 伝統建築技術の応用を子どもたちがどう感じるのか、客観的に見てみたいと思っています。

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posted by 塾長 at 08:18| 建築

2017年10月20日

新聞連載がスタート!

週刊タイムス住宅新聞で新連載がスタートしました。
毎月第3週の金曜日発行の新聞に2ページ掲載予定です。

タイトルは「細部(ディティール)から文化が見える」です。
建築細部に隠された日本の文化を現場写真や図面、絵などを織り交ぜて紹介します。

第1回目は障子、次回はふすま、3回目は几帳面、第4回タチが悪くろくでもない・・・と続きます。

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【10月20日付け、タイムス住宅新聞のコピーです。タブロイド判2ページですが、画面の関係上、上下でつないでいます。連載は「木暮らし」、「生きもの・建もの紀行」、「新木造考」、「木霊のひびく家々」に続き回目ですが、今回は視点がまったく違います。伝統構法に秘められた日本人の技・文化を細部(ディティール)から見ていきます。】

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【毎年、家内が作ります。日本人は渋皮まで楽しむんですね。】

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【手作りの渋皮煮を食べる第八子の「こだまこ」。】

先日の朴然の自由研究は、毎日新聞社主催の「自然科学観察コンクール」に応募することにしました。応募総数は昨年度、12,500点を超えています。オープン参加なので気楽に応募してみます。
posted by 塾長 at 15:39| 建築

2017年05月24日

白銀比・反射率・・・

日本建築の基本にある「白銀比」や日本人の色彩感の根底にある「反射率」などをまとめた記事が掲載されましたので、添付します。

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【平成29年5月19日付け タイムス住宅新聞より】
posted by 塾長 at 08:38| 建築

2017年04月05日

「日本人の色彩感覚と伝統構法」(建築士会中部支部会誌「紫微鸞駕」への寄稿)

 今年も建築士会中部支部の会誌「紫微鸞駕」へ寄稿しました。
 総会時に配布されますが、経費の関係で写真はすべてモノクロなので、カラー写真の原稿を掲載します。

 レイアウトの関係で、一部変更して掲載します。


1、 建築の基本は「木造」にあり

 鉄筋コンクリート造が主流の沖縄。しかし、設計も施工もいきなりRCから学ぶと、いつかどこかで技術の根拠が見えなくなる時があります。それは、建築の基礎である「木造」をしっかり学んでいないからです。
工業高校や大学、専門学校でも「木造」のカリキュラムが少なく、学ぼうにも学べないのが現実です。だったら社会に入ってから学びましょう。

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【瓦の連なりと重なりが日本の伝統を醸し出す那覇市具志の伝統構法のY邸。】

 建築技術の基本は木造にあります。例えば、住宅を設計するにあたって広さをイメージするのは、木造で使われている8畳、6畳、4.5畳という空間
です。
 木造住宅の階高や軒の高さの目安は、柱の長さである4mか3mの木材の定尺で決めていきます。内法(鴨居の高さ)は2mの定尺内で決めるのが一般的です。

 いまはメートル法が当たり前ですが尺間法が裏にあって、窓の大きさはだいたい1尺(約300o)ごと、木材の縦横の寸法は1寸か5分(約30oか15o)ごとに製材されます。
 例えば、洋間の腰窓は6尺×3尺(1,800o×900o)、和室のひじ掛け窓は6尺×4尺5寸(1,800o×1,350o)、柱は4寸角(120o角)、軒桁は4寸×6寸(120o×180o)、垂木は1寸5分×2寸(45×60o)などです。
また、和室における各部材の寸法や間隔も木割り法でほぼ決まっています。
 基本は使われている柱材の寸法です。鴨居や長押(なげし)の成(せい・高さ)は柱の0.4掛けや0.8掛け、床の間の落とし掛けは鴨居より柱の約2,5倍上げて取り付けることなどです。柱が3寸5分角(105o角)であれば、鴨居や長押の寸法もそれに応じて変化します。

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【H28年度 日本建築士会連合会賞 奨励賞受賞作品。(北中城村仲順H邸)】


 このように住宅のディティール(細部)は古来より定尺や木割り法、尺間法で無駄のないように作り上げられてきました。住宅設計を目指す若い方々は是非、「木造」を学習なされてください。10倍、奥が深くなります。

2、 木造の歴史

 木造の歴史は古く森林が7割を占める日本では約4千年前から木組みが使われており、富山・桜町古墳から貫穴やエツリ穴を持つ部材が発掘されています。
 世界遺産にもなっている奈良・法隆寺五重塔は約1,300年以上も前に建てられた世界最古の木造建築です。

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【唯一神明づくりの伊勢神宮内宮。木造技術・循環システムの原点】

 三重・伊勢神宮は20年に一度の式年遷宮を繰り返し、その歴史は法隆寺と同じです。一方は「長寿」、他方は「循環」をみごとに木造の技術で今に伝えています。同じくらいの歴史でも「仏教」と「神道(しんとう)」の違いが伝え方を表しているように思います。

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【国指定重要文化財・中村家】

 沖縄で一番長く存在するRC造建築は大宜味村にある旧役場で1925年竣工(87年前)ですが、木造では北中城村にある中村家も18世紀半ばの建物なので約280年間前に建てられた住宅です。
 技術と維持管理がしっかりしていれば、木造は長持ちするという証です。普通はこのままこの勢いで技術論に進むのですが、今回はこよなく木造を愛する技術者として別の角度からみてみます。

3、 肌の色と反射率

 なぜ、これほどまで日本人が木造に親しみを持つのかというと、実は肌の色に関係しているのかもしれません。
 海外に行くとわかると思いますが、欧米人をラテン系と北欧系の民族に分けると、ラテン系は皮膚が浅黒く、目と髪の色が黒(茶)で体系はずんぐりむっくり、色彩では赤や暖色系を好み、性格は明るく外向的です。
 北欧系は一見して皮膚が白く髪が亜麻色(金髪)で目が青く、体系は背が高く長頭で色彩は青や緑を好み性格は物静かで内向的です。
 赤道に近いラテン系は可視光線の長波長の赤色視覚が発達し、北欧系は短波長(紫・青・緑)に反応する緑色視細胞が発達し、紫外線不足から目が弱い人が多いとされています。
 では日本人の色彩感覚はどうか?平均して彩度の高い純色は敬遠され、ややくすんだ色や中間色が好まれます。

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【我が家のおせち料理の食器】

 日本人の衣食住は比類のない歴史と伝統によってつちかわれてきました。衣服では能衣装をはじめ、呉服の色は華麗な振袖から地味な紬(つむぎ)まで、食においては懐石料理からおせち料理、寿司まで食器で味わいます。
 住では神社仏閣から数寄屋造りの茶室にわたって住まいに取り入れています。
 その背景には四季の変化や花鳥の美しさ、水の清らかさなどがあります。日本人の色彩感覚は「その色」を見せるための「捨て色」の使い方が上手といえます。衣食住のどの分野でも色は色相、明度、彩度を抑えています。
 例えば、茶器の渋さと帛紗(ふくさ:茶の湯で茶碗をふいたり茶器を鑑賞するときの敷物)、茶室と和服の関係です。
 そこで考えられるのが反射率。日本人の色彩感覚は反射率50%が基準であること。反射率50%といえば無彩色では障子紙、ふすま紙、漆喰など。色がつけば木綿や麻の生地、畳表、そして杉やヒノキなどの木の色。
それらは「その色」を引き立たせる「捨て色」として機能しています。極めつけは肌色そのものが反射率50%であることです。
 日本人にとってベージュ系やラクダ色が似合うのは、色相が肌色に近く、同系色の調和で抵抗なく受け入れられているからでしょう。
 日本女性の和服姿が美しく映えるのも反射率50%の肌色が反映しているのかもしれません。

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【内装の舟底天井・障子紙・ふすま紙・畳・漆喰壁も反射率50%の黄金律。Y邸】

4、 沖縄の色彩感覚と木造

 さて、沖縄の色彩感はどうでしょうか?本土より赤道に近い沖縄では赤色視覚が発達しているので、可視光線でいうと長光波の赤色・橙・黄などの暖色系が好まれ、性格も率直で外向的と考えます。
 RC造、木造に限らず赤瓦を葺くのもその表れかもしれません。外壁は一般に白色系かベージュ系。本土より日差しが強いためか昼間でも照明を点ける家庭が多く、外の強い光とのコントラストを和らげるため明度の高い内装が多いように感じます。
 つまり、日本的な色彩感覚を持つが若干亜熱帯的色彩感覚が入るように思います。

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【木材(杉・ヒノキ)は反射率約50%那覇市具志のY邸(腕木による持ち出し)】

 しかし、全体的には肌の色を基調とする反射率50%の黄金律は変わらないように思います。
 一般的に木造は温かみがあり心身にやさしく、循環型素材のため環境負荷が少ないとされます。
 ただ、沖縄ではシロアリ被害や台風、技術者・木材の不足など不安要素が先行して流布されているので普及させるには並大抵な努力では達成しません。
 しかし、こと、色彩感覚の視点から考察すると、いちがいに沖縄にふさわしくないとも言えません。外の光が強い分、やや暗く感じるかもしれませんが、昔の木造家屋を見ると、どちらかといえば夏の日差しを避けるように寝床は北側に寄せている家が見受けられますが、これは地域の知恵と考えます。
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【反射率の低い透明ガラス、フスマの縁や帯・畳のヘリ、障子の桟が、捨て色で引き立つ。那覇市具志のY邸】

 稲作が盛んだったころは、稲刈り後のワラを畳床に使いました。瓦の葺き土や土壁にも切り苆(すさ)として使いました。木材も土も地元の自然素材を使い、耐用年数が過ぎればまたもとの自然に戻しました。地元で栽培されたお米のご飯をたくさん食べ、米以外の残ったものを生かす暮らしのシステムと、住まい全体が循環システムに組み入れられていたように思います。
 先日、重要文化財になった名護市の津嘉山酒造の修復工事に行ってきました。屋根の葺き替え中でしたが、その葺き土の中には切ワラを1か月ねかせたスサが入っていました。
また、伝統構法で使うのは石、土、木、草、水などの自然素材が主な材料です。
 骨組みに金物を使用していないので解体しやすく、さらに使用材料が「多量少種」なので分別しやすくなっています。

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【土・わら(草)・竹・木・・どれも自然素材で大量少種(津嘉山酒造修復工事)】

 伝統構法に工業製品として使用する材料に「ガラス」がありますが、西洋のガラスと日本のガラスは、そもそも発想が違います。
 西洋のガラスは壁が透明になったもので、日本のガラスは明かり障子が木製のガラス窓になったもの。同じガラスでも紙の進歩と壁の進歩では大違いです。
 日本の木製ガラス窓に使われる並厚(2o)のガラスは顕微鏡実験や標本に使われるプレパラートガラスに転用できるほど薄いものです。

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【窓は西洋では壁の進歩。日本の窓は紙貼り障子から発達した。だから極薄2oのガラスが入る。(北中城村H邸】

5、 これからの住まい

 長い年月によって淘汰されてきた日本の木造技術と文化。木造以外の工法にも応用されるのは結構ですが、木材に限らず、木造で使用されている土や草は呼吸していて、いわば生きものです。木材を同一強度が前提の鉄筋コンクリート造や鉄骨造のような利用の仕方は、いただけません。
癖のある材料を見極め、適材適所に生かしていくのが技術者の力量です。
 これまでの住宅は快適便利な暮らしを求めて「少量多種」の材料で作られてきました。一方で強度を高めた材料も使われてきました。しかし、これでは、解体時分解しにくい、分別するにもコストがかかる、自然に戻る時間がかかりすぎる、再利用しにくいといった弊害があります。これからは、「頑丈だけれど解きやすい」、「自然に戻すコストと時間がかからない」という家づくりに方向転換したほうが良さそうです。その意味において、伝統構法の存在価値は大きいと思います。

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【昭和7年建築の津嘉山酒造の小屋組】

 伝統構法にあぐらをかくことなく、さらに知恵を絞って家の長寿化と分解しやすさを研究、実践していきたいと思っています。
 きっとそれが住まい手の長寿と地球環境への環境負荷低減にもつながると確信しています。
 
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【海老虹梁(えびこうりょう)と三つ斗組(みつとぐみ)を取り入れた伝統構法の住宅。(那覇市首里崎山町のI邸)】
posted by 塾長 at 08:07| 建築

2017年02月26日

重要文化財・津嘉山酒造修復工事の見学会!

2月25日(土)、「伝統建築『これから』研究会」の活動の一環として、2,009年、国の重要文化財に指定された津嘉山酒造の見学会に行ってきました。津嘉山酒造は昭和3年(1,928年・築後89年)に建てられた工場兼住宅です。

私たちが沖縄に定住する前に3年間住んでいた旧国鉄矢岳駅駅長官舎は、明治42年(1,909年・築後108年)。歴史的には30年ほど先輩格ですが、戦前の木造建築工法で赤瓦がのる工場兼住宅の津嘉山酒造の建造物は戦火を逃れて今に残るのは「貴重!」の一言です。

この日は、改修工事として最後の見学会になると聞いたことや、瓦職人さんの講演、総会、その後懇親会もあるということで出かけることにしました。
急なことや遠いこともありましたが、小橋川副会長は参加されました。見学会の現場で顧問の琉球大学カストロ先生の教え子たちとも会いました。構造の研究をしていました。

見学会その他の感想は、写真説明の中でします。

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【この日はかかとに激痛が走り、とても歩ける状態ではありませんでした。急きょ、朝から病院に行き検査、患部に痛み止めの注射打たれ気絶しそうになりました。痛み止めの薬を飲んでそのまま名護に向かいました。修復工事の見学会には約30名ほど参加されていました。雨の影響が出ないように建物全部が仮設の屋根で覆われていました。さすが、国の重文の修復工事は違うなと思いました。】

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【古い瓦は再利用】

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【瓦には番号が打ってあります。これまでも石橋の復元や移転などを見てきましたが、同じようにすべて番号が打ってあり、元通りに組み直します。】

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【沖縄には珍しく、住宅部分には左官による塗り壁があったようです。】

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【説明をする文化財建造物保存技術協会の田村さん。柱間隔と内法高さを質問すると、それぞれ6尺2寸、5尺8寸のようでした。】

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【工場の小屋組みは、トラス式の洋小屋】

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【住宅部分は、和小屋】

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【麹屋は小屋組みが一番興味がありました。和洋折衷のいかにも麹置場の用途に合わせた工法でした。(耐震補強も含めて・・・)】

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【第二部は瓦職人さん・前原 和夫氏の講演会。演題は「琉球建築の屋根−シマジラーのこと−」。復元工事に必要な不足の赤瓦を古式の桶まきづくりで製作している職人さん。一通りの説明があった後。質問形式で講演が進んだので、聞きたいことをいろいろ質問させていただきました。】

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【シマジラーとは棟の両端の鬼瓦部分。卵型と小判型があるようだ、卵は子宝、小判は金持ちの意味があるかも?と推測されていました。そのほか、高強度、高圧で規格型の現代の瓦は馴染みが悪い。手作りの瓦は不揃いだが、馴染みがよく、少々のすき間にホコリやコケなどが詰まって雨漏りはなくなりとおっしゃておりました。これこそ「柔構造」。】

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【講演の後は、沖縄にしか残っていないとされる手作りの「桶巻き」の瓦づくりの実演。】

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【ロクロに張った粘土を回しながら仕上げます。中を抜くと、出来上がり。】

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【ご本人が「一瞬ですからしっかり見ててよ!」といった瞬間、円筒状に形成された粘土が四分割されました。本当に、あっというまで、直後ため息に似た歓声が上がりました。】

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【実演のあと、体験者を募られました。同行した長男・朴然が手をあげ、挑戦しました。微妙に先が細くなる桶巻き。師匠の指導のもと、緊張しながら作業しましたまわりには、お手並み拝見のギャラリーがいっぱい。】

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【がんばって仕上げる子どもへの師匠の心遣いか、「刻印していいよ!」いわれ、名前を彫るボクネン】

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【無事終了して緊張感が緩んだのか、やっと笑顔が出ました。木炭づくりの自由研究の延長にある古来の瓦づくり。初体験はいい経験になりました。前原さま、大変お世話になりました。】

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【実演のあとは総会。その後、懇親会。「津嘉山酒屋保存の会」の岸本会長、津嘉山酒造の津嘉山社長・幸喜工場長、金城建設の金城代表、市文化協会長の大城さま、建築士会の西里会長、北部支部の大城支部長、前述の前原氏、名護市教育委員など多くの方々と交流できました。私にも発言を求められましたので、「津嘉山酒造の建物は津嘉山酒造の財産・誇りですが、名護、沖縄県、日本の宝です。重要文化財の保存の維持管理は経済的にも負担がかかります。もっと建物だけではなく、文化性をアピールすることも大事。多くの人たちに理解・周知していきましょう!」と言いました。
今回のイベントを企画された「津嘉山酒屋保存の会」の皆様に感謝申し上げます。また、当「伝統建築『これから』研究会」は、現存する伝統的建築を学ぶとともに、これらの構法をもっと進化させていきたいと思いました。「これまで設計した」、『これから設計する』伝統技術が全部、「文化財」の価値として後世評価されるように・・・。】
posted by 塾長 at 09:44| 建築

2017年02月21日

「伝統建築『これから』研究会」の発足式!

2月11日、「伝統建築『これから』研究会」の発足式を行いました。

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【初会合には、設計・大工・教育などの立場から、建築士、大工技能士・職業訓練指導員・大学教授・国の重文・中村家の12代当主中村様などが参加されました。また、伝統的な技術で建てた家の施主(全国レベルのコンペで受賞した住まいに住む方々)もオブザーバーとして参加願いました。
伝統建築の課題と解決として、伝統建築の仕事をしたい、伝統建築のメンテナンス不足、住んでみてわかる長短所、後継者確保のための今後の対応などを話し合いました。
伝統構法の継承のため、各分野の情報を一元的にとらえた研究会を今後とも充実していきたいと思います。】

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【これまでの伝統的な建築の技術や意義をスライドで説明しました。】

研究会の立ち上げのきっかけは、先日、今回副会長になられた小橋川さんの来訪です。伝統建築の仕事をしたいが見つからず、インターネットで検索するうち私にたどりついたという訳です。

小橋川さんは私と同じ一級建築士ですが、「大工」が仕事の中心で、「一級大工技能士」であり、沖縄県の「ものづくりマイスター」にも登録されている方です。
話しを聞けば、県内の施工会社をあちこち当たったけれど、どこもいまいちで、カンナ掛けひとつまともにできない大工さんが多く、ほとんどがプレカット工場でできた加工材を現場で組み立てる方法だったそうです。

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【立派な仕事をするには立派な道具が必要。小橋川さんが持参されたのは名工・碓氷健吾氏(故人)とその弟子・ 船津 舟弘氏製作の鉋(かんな)。】


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【鉋(かんな)かけする小橋川さん。】

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【研究会の案内チラシの上に置くと、かんなくずから透けて字が見える。鉋屑とはいいがたい。まさに「芸術品」】

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【子どもたちも体験。鉋くずが出るたびに「お−ッ!」と声が上がる。周囲にヒバの香りが漂う。】

沖縄県も木造の住宅が増えつつありますが、そのほとんどは住宅メーカー製。手刻みによる木組みは限られています。

話木造建築を進化させることを目的とした活動を実践することになりました。話し合いの結果、伝統的な建築を次世代に伝えるため研究会を立ち上げ、後継者育成を念頭に沖縄にふさわしい

木造建築を進化させることを目的とした活動を実践することになりました。

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【表面がツルツルに仕上がったヒバの木。集成材や合板ばかりの現代の仕上げ材。けずればベニヤが現れる。伝統建築を残せば、道具も残せる。つまり、伝統的な建築の疲弊は、日本文化の衰退。】

伝統構法は乳児期、幼児期を含め、子育て環境にいい影響を及ぼす、循環する素材なので環境負荷は小さい、そして何といっても世界一の木の文化「これから」先の世代に伝える義務がある、との認識で一致しました。

「木の文化はすなわち、「日本の文化」でもあります。木の癖を見極め、適材適所に活かすことなどは、人間社会でも通用します。
また、相手が「命あるいキもの」なので、粗末にすることはなく、やさしく接することになります。

様々な利点があるにもかかわらず、伝統的な木造建築が敬遠されたのは、建築業界にも押し寄せた規格化・機械化・数値化の波でした。商品化された住宅は効率化のもと、低価格、工期短縮の憂き目にあい、現場からカンナやノミが消えていきました。

国の方針も影響がありました。昭和25年制定された建築基準法は自然の力に対抗する考えが底辺にあります。その後も高気密・高断熱の流れが住宅建設に取り入れられ、住まい手も自然からだんだん遠のいていきました。自然の恵みと脅威は表裏一体です。そんな自然をいいとこどりして、スイッチひとつで室内環境をコントロールするという人間中心主義が蔓延しています。もっと自然と共生し、自然から多くのことを学ぶべきだと思っています。

これまでの日本で培われた伝統技術にあぐらをかくことなく、さらに多くの分野の方々の意見や技術を取り入れながら、進化していこうと思っています。

来週土曜日11時より、国の文化財に指定された名護市の津嘉山酒造さんの見学会があるようです。この目で沖縄の伝統建築を見てこようと思っています。時間が取れる方は、どうぞご参加ください。

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【農業も然り。機械化・化学化で省力化されたが、日本の文化や自然環境の劣化が進んだ。さらには健康被害も危惧されている。今年も無農薬米の栽培がスタートしました。】

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【苗床に種もみをまく。】

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【しばらくは育苗箱で芽と根を伸ばします。田植えは今月末か?】


posted by 塾長 at 12:43| 建築

2017年01月30日

近況と「伝統建築『これから』研究会の発足準備!

 大関・稀勢の里が千秋楽で横綱・白鵬に土俵際まで寄られながらも良く残し、逆転勝利しました。日本人横綱の誕生にやっと結びつきました。一番心が熱くなったのは、表彰前の国歌斉唱。大関・稀勢の里はさすが「日本人」。これまでの外人力士とは異なり、はっきり口を開けて「君が代」を歌っていました。
 国技である大相撲。国歌斉唱は観客と心がひとつになります。すばらしい態度。サッカーの国際試合などでも国歌斉唱がありますが、まともに歌っている選手を見たことがありません。
 久々、すっきりした一日でした。これからも優勝を重ねていただき、大いに国歌を斉唱してもらいたいと思っています。がんばれ、稀勢の里!

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【花が咲いた白梅。香りも楽しめます。春だな・・・】

 さて、わが家の梅にも花が咲きました。第九子の「わかみこ」は、昨晩から高熱を出し、今日病院へ行きましたが、インフルエンザではなかったようです。自分自身も先週から風邪気味です。しかし、春遠からじ・・のようです。

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【子どもの頭より大きい晩白柚。約1.5キログラムあります。】

 先週の沖縄は結構寒い日が続きました。とはいっても、最低温度が15度以上ですので、雪国の人からしたら「何を寝ぼけたことを・・」とおっしゃるかもしれません。ところが慣れると、寒い!と感じるものです。
そこで、普段ぜいたくをしない家族のために、今が旬の「晩白柚(ばんぺいゆ)」を熊本の八代の農家から購入しました。
 子どもたちはその大きさにびっくり。そして味に二度びっくり。さらに皮を湯船に入れて「ゆず湯」にびっくり。またまた、厚い皮下を砂糖に漬けてできた「晩白柚漬け」に舌鼓を打ちました。何度も楽しめたので元値はとったようで満足です。

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【「ゆず湯」ならぬ「晩白柚の湯。ヒノキ風呂に浸かる第八子「こだまこ」と第五子「さわみこ」。家族中はいったので晩白柚の香がいっぱいになりました。こころなしか、肌はツルツル、いつまでも温かい気がしました。】

 また、以前飼っていたヤギが寒さで亡くなったので、今度はベランダ下のヤギ小屋の壁のすき間をみんなで埋めました。隙間風が入らなくなったので、少しは暖かくなったと思っていたら、当のヤギはそんな配慮はどこ吹く風。この島ヤギ、ロープでつながれるのが嫌いらしいので、今は屋敷内放し飼い。どこに寝ているかと思いきや、昨晩は玄関前でご就寝。番犬ならぬ「番ヤギ」となっています。

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【「番ヤギ」になった島ヤギの「シーマ」。夜わが家を訪ねる人はさぞかし、びっくりするだろうな?】

 最後にお知らせです。懸案だった伝統構法の継承を解決するために、ひとつの活動を起こすことにしました。団体名は「伝統建築『これから』研究会」。
来る2月11日(土・建国記念日)の午後5時から発足式を行います。伝統構法の設計者、施工者、研究者が集まり、当日はカンナけずりの実演やこれまでの実績のスライドショーも行う予定です。
オブザーバーには伝統構法で建てた建て主様や国の文化財・中村家の十二代当主の中村様になっていただく予定です。技能オリンピックに参加予定の若い大工さんも来る予定です。

以下に、主旨文(案)を添付いたします。(後日、ご報告いたします)

 世界最高といわれる日本の伝統建築技術。しかし近年、住宅建設に関しては規格化・機械化が急速に進み、今ではいわゆるプレカット材による木組みが主流となり、伝統建築技術に秘められた多くの知恵や技が消滅しつつあります。
 伝統構法には木の文化と自然との共生・調和を活かしたが技が生かされています。だから、伝統構法でできた住まいでの暮らしには、日本の文化が備わっています。つまり、伝統構法の疲弊は日本文化の衰退に連動します。逆に伝統建築の継承は日本の文化の継承ともいえます。
 自然の外力を吸収・分散する柔構造。伝統構法の魅力を設計や施工、研究の立場から視座し、ただ単に過去にあぐらをかき保護・保全にだけ傾注するのではなく、伝統構法継承の課題を抽出し解決策を提案し、さらなる伝統構法の進化を図る必要があります。日本をしょって立つ「これから」の人たちに、伝統構法を手段とした日本の文化の継承を目的とした研究会を発足いたしました。
 どうぞ上記の主旨をご理解のうえ、ご協力くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
posted by 塾長 at 20:17| 建築